弐拾話 桜が散る時
ー鬼乱sideー
夜が明けて幾分か経ち日が少し真上に近づいたころ社の扉が開く
「おはようございます、鬼乱」
咲耶姫だった
数秒見つめ合ったあと
「・・・少ししたら行きますね」
「・・・あぁ、気をつけて行けよ」
また、少しの間が空く
「では、朝餉でも食べましょうか」
私と咲耶姫は最後の朝餉を囲んだ
「白詠は起こさなくて良いのかい?」
咲耶姫にとっても大事なこの日に白詠を起こさなくて良いのか聞くと
「・・・えぇ、白詠とは昨日別れをすませました。まあ、一方的にですけど」
そのまま時が過ぎた
「・・・では、行ってきますよ」
「あぁ、もどってくるよな?」
そう聞くと一瞬驚いたあと、笑顔で
「もちろん」
そう答えると咲耶姫は日差しの強い空へ飛びたって行った・・・
ー咲耶姫sideー
しばらく飛んでいると目指していた神社が見えてきた
そして、門前に降り立つ
「木葉之咲耶姫様ですね?、お返事の程は考えていただけませたでしょうか?」
下級神が聞いてくる
「・・・返事は『いいえ』です」
『『『『バッ!!!』』』』
下級神が答えを聞いた瞬間槍やらを構えてくる
「では、あなたを消して信仰を得させてもらいます・・・構え!!」
中級レベルの神が空中で弾幕を構える
「あなた達程度ではダメですよ」
懐から2つの鉄扇を出す
「かかれーーー!!!」
『桜花之葬討』
地面から何本もの満開の桜が生えてくる
その桜の花びらが舞い散り神々の体に触れた瞬間爆発する
「この桜に触れるな!爆発す・・・ガッ!」
叫んでいた神を鉄扇で殴って吹き飛ばす
神々は信仰さけあれば時間をかけて復活出来る、だからこそ相手を殺すつもりでも問題なかった
「さぁ、最後の花が散るまで戦いましょう!!」
私は桜を背後にして敵へ躍り掛かった
「敵は一人だ!囲め、囲め!」
次々と出てくる神々は私を取り囲み弾幕を壁のように放ってくる
「・・・ハッ!」
地面を軽く踏み鳴らし、神力で作った桜の木を生やし、それに乗るようにして弾幕の壁を越える
「越えたぞ、突撃ー!!」
乗り越えた先にいた神々がその手に槍や刀など各々の武器を持ち取り囲み突撃してくる
しかし、一度に攻撃してくる人数は決まっているので焦ることなく対処していく
「・・・へ~、頑張りますね」
奥から不意に声が聞こえた・・・
声のした方へ顔を向けると下級神の隙間から綺麗な十二単のようなものをきて、烏帽子をかぶった綺麗な女性が見えた・・・見えてしまった
「天照大御神様・・・」
私はその神の名を無意識に呟く
天照大御神様は神々の住まう高天原においての最高神、私のかなう相手ではないことが見た瞬間に分かった・・・それでも、一矢報いることぐらいはしようと此処に決めてきたのを思い出してもう一度体に力を巡らせる
「舞え、桜吹雪!」
鉄扇で宙をあおぎ桜の花弁を自分を中心に辺りへ飛ばし弱った神や下級神を消滅させる
そこで周りを見回すと奥から数人の神々が歩いてくるのが見えた、その姿を見てまわりの下級神の動きが止まる
「おいおい、天下の神々がこんなざまで良いのか?」
黒い袴を着た男性【素戔嗚尊】が自身の土地の神々に失望したように言う
「まぁ、生まれて間もない神や戦闘向けじゃない神もいるしこんなものでしょ」
ドレスと着物を混ぜたような独特な露出の多い服を着た女性【天鈿女命像】がかばうように言う
「・・・ふんっ、情けないねぇ」
紫色の神に赤い服を着て、注連縄を背負った神【八坂神奈子】はいらだったように言う
「全くだ」
黒い羽を持つ男性【八咫烏】は注連縄の神に同意する
「あらあら、あなた達も出てきたの?」
天照大神が困ったように言うが顔は全く困ってるよいに見えない
「どうにも、下級神達だけでは足りないようだから・・・この地にいる上級神を連れてこれるだけ連れてきた」
そう言った彼の後ろには数百体の神々が募ってこちらに向かって来ているのが見えた
(あ~、とても勝てそうにないですね・・・でも、やるだけやって見ましょうか)
「御託は良いからはやく掛かってきなさい、相手になります」
「ハァハァ・・・フゥ」
私の周りに転がる無数の神々、その中には八咫烏や天鈿女命像もいる、しかし私にはもう気力も神力も殆ど残っていなかった
「姉君、あいつは俺に殺らせてくれ、ここまで面汚しされたら黙ってられねぇ!」
素戔嗚尊が苛立ったように言う
「まぁ、許可します」
天照大神が許可を出すと素戔嗚尊はこちらに向かってくる
「・・・消えろ!」
目の前が神力の奔流で見えなくなる
(鬼乱・白詠・・・・・・ごめんなさい)
空に閃光が走った・・・
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