表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうも、木⋯⋯の妖精です。  作者: 夏巻き
蜂蜜片手に笑うは骸
97/112

ハチミツさん物語。2瓶目

(そして初めの出かけるシーンに戻る。)


行くと決心したものの、一人で行くのは少しだけ怖い。

箇所箇所で陽が漏れるところがあるので神秘的に見える部分もあるけど、全体的に薄暗く見通しが悪いから。


今までも冒険する時は2人以上の複数人で行っていた。だから今回もと誘うために友達の家に向かったのだけれど、幼馴染の双子は既に出かけたあと。別の用事で外出中。


用事があるのなら仕方ないと誘う相手を他の男友達へと変え家に向かうが、そちらも残念ながら一人も都合がつく者はいなかった。

皆、家の手伝いがあったり習い事があったりで忙しい。


約束してないしあり得なくはないと思っていたけど、流石に一人くらいはなんて考えていた。

原因は見通しの甘さ。昨日のうちにメッセージ送るなりデジタル端末(スマートフォン的な物)で連絡するなりしておけばよかった⋯。


昨日の(びん)割れ不運に引き続き、今日は友達都合つかずの不運。


「はぁ、しょうがない」


明日は誕生日当日、今日じゃなきゃだめなのに全滅かと、一つため息をついて少し肩を落としトボトボと足を動かす。

結局一人で向かうことなってしまった。






妖精(さん)は街の外。内と外を繋ぐ門を目指してカナディルの街中を進む。状況的には繋ぐよりも(へだ)てると言った方が正しいが。

そこを通って外に出ようとすると、止められることが分かっているから。


13歳の子供が大人を連れずたった一人でモンスターや魔物が蔓延(はびこ)る街の外へ行くというのは大変危険。門から出ようとする行為が問題であるため止められる。

大人が同行、同伴していればすんなり通れるんだけど⋯今はいない。


なので、必要以上に門には近づかず、街を囲う堅牢(けんろう)な城壁に沿()って左方向へしばらく歩く。

いつも使っている秘密の場所から外に抜けるために。


ちなみに神人(しんにん)族は神様からのお墨付きがあるらしく、子供一人でも自由に出入り可能。外に出ることができる。

正直(うらや)ましい。大変羨ましい。何があればお墨付きなんて貰えるんだろうか。

アタシを含め20歳以下の子供にとって、止められることなく堂々と門の外に出られる未成年神人族は憧れの的。子供でありながら大人と同等の扱いを受ける権利を持った羨望(せんぼう)の存在である。


「誰も⋯いないね。よし」


人通りが非常に少なく人目につきづらい所ではあるが見られると(とが)められることは必至(ひっし)なので、誰も見ていないことをきちんと確認してから城壁に()蔓草(つるくさ)を払い()ける。

葉の後ろにはポッカリ中ぐらいの穴。城壁が少し崩れ穴のようになったそれは、ちょうど子供一人通れるくらいのもの。

ここが秘密の場所で、これが秘密の抜け道。

穴から頭だけを出し、城壁外の様子を(うかが)う。


「⋯大丈夫そうだね」


内と外に誰もいないことを確認して穴を(くぐ)り街の外へ出る。

ここから門は遠い。門兵等の兵士に見つかることはまずない。城壁の周りにも人の姿はないので、行く手を拒む障壁は皆無。

しかし目的地に向かう途中、探索者等に子供が一人で街の外に出ている姿を見られるのはまずいので、自宅から持ってきた全身を(おお)う黒いフード付きの外套(がいとう)(まと)う。


これがあれば大丈夫。顔を見られなければ小柄な大人だと思ってくれる。一回も気づかれたことはない。

ただ念には念を。いつものように周りの身近な草むらや岩や木等に隠れながら山を目指した。






妖精山に入ってからは目深(まぶか)に被っていたフードを脱ぎ、視界を確保して探索。

いつもとは違うルートで違う場所を探す。


「え、なにこれ⋯」


するとどうだろう。まだ来たことがない、獣道さえない山の奥に洞窟(どうくつ)があるではないか。

しかも入口付近をモヤモヤとさせて、なんとも怪しげな雰囲気を(ただよ)わせている。


「これってまさか⋯ついに⋯?」


こんな奇妙な洞窟見たことがない。きっとそうだ、ついに発見したんだと興奮し、その場で飛び()小躍(こおど)り。

探索開始から4時間後の出来事である。


不運が(めぐ)れば幸運も巡る。幸と不幸は隣り合わせ。不幸が訪れれば幸が訪れてくれるのである。

もちろん不幸の中に小さな幸が訪れることもあるし、不幸の中に不幸が訪れることもある。

しかしどれもこれも、逆も(しか)りと注釈(ちゅうしゃく)がつく言葉達。

目の前にあるのは、不運の中にもたらされた幸運。運が向いたようだ。


「多分ここから妖精の町に行けるんだよね⋯?」


洞窟を抜ければ町があって、木に蜂蜜がたくさんあって⋯⋯きっと幻想的な景色が待っているはず。

そして自分は妖精の町を発見した最初の人、妖精の町を初めて訪れる人となる。


「帰ったら皆に自慢しよっと」


『話が聞きたい?いいよ』『やだなーたまたまだってば』『押さないで押さないで、皆にサイン書くから』『え、アタシがテレビに?!』『告白何人目よ。疲れるー』

これでアタシも人気者かーっと、エヘヘエヘヘと妄想笑い。

まるで英雄にでもなったかのような浮ついた気持ち、浮かれた頭で洞窟の中へと入っていく。

入口付近のモヤモヤは見た目通りただの煙。硬くなくなんの抵抗もせずにアタシを通らせてくれた。


誰かが仕掛けた罠の可能性や、高レベルのモンスター・魔物の住処(すみか)という可能性もあったのに、躊躇(ちゅうちょ)することなく進んだ。

この先に妖精の町があるかもしれないという考えが、あるに変わってしまっていたから。

〘動物︰ホーニヒビーネ〙

体長約40cm程の大きな蜂。モンスターなどではない、ただの蜂。

妖精(さん)で妖精族と共生しており、互いに助け合いながら暮らしている。

性格は温厚で仲間想い。思いではなく想いなので注意。

温厚なのは同族と妖精族に対してだけ。それ以外の者が近づくと、ブンブンといつもより大きく羽を鳴らし威嚇(いかく)する。

それでも(なお)近づこうとする者には、自慢の針を使って相手の体を穴だらけにする勢いで攻撃したり、数分で死に(いた)る溶解系の猛毒を浴びせて殺しにかかる。

妖精山に住むホーニヒビーネは、妖精族が近くにいない時に出会うととても危険。見かけたら全力で逃げるべし。


〘クラン︰(バラン)w(バラン)・バラン〙

波界(なみかい)中学校Aクラスの友達、男子中学生6人が立ち上げたクラン。

リーダーの筒井(つつい)(そら)が、「SNSでよく見る草とかwって、これと形似てるよね」と弁当箱に入っていたバランを箸で摘んで皆に見せながら言ったことが、クラン名の由来。

皆で集まるところ欲しいよねー。あ、クランってやつ作れるみたいだよー。へー、一応作っとくかー。なんて、作れるなら作っとくか的なその場のノリで誕生したクランのため、活動目標や目的は特になし。皆でワイワイゲームを遊べればそれでよし。

現在クランメンバー5名+クランリーダー(クランマスター)のそらがねで、計6名在籍(ざいせき)

「あのスライム一番早く倒したやつ飲み物奢りな!」「逆じゃね?!」「俺が倒すぜーっ。ぐあぁッ」「おい、あいつ死んだぞ」「待っててよかった」「うわっ、分裂したっ!?」

装備も魔法も準備不足で彼らは今日も楽しく遊ぶ。


〘クラン︰パンだ!パンでしょ?パン?!パンだね。〙

動画配信サイトを使用して動画をネット(インターネット)にあげたり、配信活動をするパン好き動画配信者、男女4人組グループ「!?パパパパン?!。」が立ち上げたクラン。

モッパンと呼ばれる食べているところを撮影した動画や、AS(エー・エス・)MR(エム・アール)と呼ばれる食事する時に出る咀嚼音(そしゃくおん)等を聞かせる動画、店で買った新作のパンを食べて評価したり、パンを使った創作料理動画等々、パンに関する動画を投稿している。

現在クランメンバー3名+クランリーダー(クランマスター)のHINARIで、計4名在籍(ざいせき)

ゲーム内で撮影した動画のデータを現実世界に持って行けるようにする専用の小型記(USBメモリ)憶媒体(のような物)をVRヘッドギアに接続しており、ゲーム世界でも変わらず同じ活動をしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ