蜂蜜溢れる骸の微笑み。
【シナリオに巻き込まれるのはごめんです。~いつの間にか攻略対象を攻略していたみたい⋯~】
https://ncode.syosetu.com/n0037lx/
⬆️こちら新作の小説でございます⬆️
【どうも、木⋯⋯の妖精です。】と同じ現実世界に存在する、乙女ゲームの世界にNPCとして転生した獣人兄妹のお話です。
繋がっていないけれど繋がっているかも?
なぜなら〈Mystery Of Life〉シリーズを開発した会社と同じところから出ているゲームだから⋯。(3話からそれらしい話が出ます)
『じゃーんっ』
「ワー!フー!」「お、おぅん⋯」
時間を置かずにナブラ君の後ろから出てきたのは、セルンさんと同じ声を発するモンスター。見て見てと両手を広げ笑う顔は骸である。
骨同士がぶつかりカタカタと鳴っていた。
「ヤッパリ、カワイイノナニカツケタホウガイイヨ。ヴェステルノハンノウガワルイ。コワインダヨキット」
『頭ツルツルだしね』
ポアポアした感じの柔らかい不協和音みたいな声を出し、自分の頭を撫でる骸骨。その声を聞いているとなぜか勝手に涙が出てくる。ゾゾッと鳥肌が立った。
見た感想ですか?怖ぇよ。これです。
口調が乱れるほど驚いたし怖かった。ナブラ君正解です。
髪がないから怖いのではなく、所々乾いた血と土が付いているからか、埋められてた死体が蘇った。みたいな感じに見えて怖いんです。
髪があったからといって可愛いとはちょっとならないし、逆に恐怖が増しそうな気がする。
なぜよりにもよってリアルの骸骨なのか⋯⋯デフォルメされてたらおかしいけども⋯。
残念なのは、いくら着飾ることができようとも骸骨の時点で怖いというバッドステータスがつきまとうので、どんなに頑張っても死後数十日経った白骨死体にしか見えないということ。
髪や皮や肉があれば、場合によってはなんとかなるのかもしれないけど、それをするだけの知識も手段も私は持ち合わせていない。
所謂、よからぬ事というやつですね。死体を使って新たな人間を生み出すとか、キメラを生成するとか、悪魔を降臨させるとか。
このゲームでそんなことができるのか分かりませんし、仮にできたとしてもやるつもりはありません。⋯⋯が、生前の肉体を再現できるとして、それを彼女が望むのなら、きっと私は手を貸すのでしょう。
死ぬリスクを下げたいので面倒ごとはごめんです。けど、セルンさんは友達ですから。話を聞くついでに望みを叶える手伝いくらいしても構わない、そう思うのです。
「セルンさん、なんですよね⋯?」
ナブラ君がそのように接しているので間違いないんだろうけど、一応確認。これで違うとか言われても、ああそうなんだで終わらすことはできないけど⋯⋯違わなくても同じか。
『そうだよ!ヴェスちゃんがいない間にできるようになったの!ね、ね、すごくないっ?』
「⋯⋯そうですね。頑張りましたね」
事情は聞いてるから、自分の骨をどうにか家に持って帰ろうと努力したのは分かる。結果も出てるしすごいと思う。
でもやっぱり怖いが勝つ。笑う彼女へ笑顔を返したいが、引き攣った笑みしか出ない。
なぜよりにもよってリアルの骸骨なのか⋯(二回目)。
ダンジョンに出てきたスケルトンもやけに生々しかったのを覚えている。人間だった頃の現実世界で、実際に死体を拝むことなんてなかったけれど。
死んだら現実と同じような死体になるというのが〈Mystery Of Life〉シリーズの、リアルを追求したゲームの行き着く先なのだろう。生きている間も然り。
そういえば血って、目玉とか肉とかと一緒に消えたりしないんですね。分解?腐敗?でしたっけ。
スケルトンに血とか付いてた記憶がないんですけど⋯⋯記憶違い?
『でしょでしょーっ』
「あ、うん」
血みどろ量産機の雀もどき、おどろおどろしい顔のナブラ君ときて、今度はリアル幽霊時々骸骨死体のセルンさん。
妖精の森は一体いつからお化け屋敷になったのでしょうね。心霊スポットがお似合いだとでも言うのですかAI。
「⋯それで、何が何とかなるんですか?」
『そうだった。えっとね、今ヴェスちゃんって状態異常になってるんでしょ?この体になって出来るようになったことがあってさ、それでなんとかなるかなって。ちょっと待ってね⋯⋯』
両手をくっつけ、器を作るように手のひらを上に向けて念じるように集中する彼女。
『⋯⋯っはいできた』
「ぅおっ⋯⋯おお?甘い、匂い⋯?なんですかそれ」
しばらくして手のひらの中心から溢れ出してきたのは、濃い橙色の粘液だった。
使えるようになったばかりで制御が難しいのか、手のひらに生まれてはこぼれ落ちを繰り返し、足元の草花に降り注いでいる。
『蜂蜜だよ。パパの好きなやつ』
「あれ、それって⋯」
『うん。さっき二回目の説明したじゃん?毎年お父さんの誕生日に作るスイーツに使ってるのがこれなの』
カナディルから妖精の森へ到着した後、記憶をすり合わせた時に、辛いことを二度も話させるという悪行を働いている。
セルンさんについての記憶を失った私に再度、現在の姿になるに至った理由を説明してくれていた。
「そういうのって分かるものなんですか?なんというか、その⋯」
『何を言いたいのか分かるよ、大丈夫』
腕を組んで頷くと、『まさにね、その通りなんだよ』とビシッと人差し指をこちらに向ける。
『見た目通り、この姿だと匂いも味も分かんないんだよね。だから、落ちてる葉っぱに垂らして、骨から抜け出てから嗅いだわけ。匂いで分かったけど、食べてみたらやっぱそれだった』
幽霊体には嗅覚も味覚もありますからね。しかも、人や物に触れられるのに痛みはないという不思議。⋯私も似たようなものでした。
不思議なことはもう一つある。
雀もどきと二度目のやり合いをした時に、攻撃が当たらないし当てられなかったと言っていた。
元々幽霊などは、聖魔法やそれに準ずる効果のものしか効きませんから、それ以外の攻撃を受けた時はーとか戦闘中だけはーとかいう理由でそうなったのかもしれません。本当のところはどうか分かりませんが。
『てことで、はい。食べて?』
「え⋯」
ずいっと差し出された蜂蜜が溜まった骨の手。
ここに顔をつけて飲めと?善意からくるにこやかな笑みをポカンと見つめる。
ちょっと見慣れてきたからか、ほんの少し可愛く感じた。
『大丈夫だって。毒とかじゃないんだから』
「それは心配してませんが⋯」
彼女が毒を盛るようなことをするとは思っていない。じゃあなにを躊躇っているのか。分からずに自問自答。
『この蜂蜜ね、癒しの効果があるらしいよ。なんでかは知らないけど、そうだって分かるの』
魔法とかスキル⋯⋯もしかして種族特性スキル、か?
幽霊体の時ならともかく、この姿で人間族扱いなのかは怪しいところ。種族が変わっていてもおかしくはない。
『ほらほら、遠慮せずに。ナブラもおいしいって言ってたよ』
「スゴイアマカッタ。アノサカナニカケテモオイシイカモヨ?」
「えぇ⋯」
それってパシフィックソーリーのこと?どう考えても美味しくなるイメージが湧かないんだけど⋯。
「でも、そうですね⋯⋯せっかくですから、いただきます」
『どうぞ~』
セルンさんが私のためにとしてくれたことだ。ナブラ君も食べたようだが美味しいと言っている。
気後れしながらもその好意に甘え、顔を近づける。
「お、おいしい⋯⋯おいしいですぅ⋯」
口に含むと甘さが口いっぱいに広がり、豊かな風味が鼻を抜けていく。そのままゴクリと飲み込むが、舌や歯⋯⋯口内には蜂蜜が残り続け、余韻の甘さで出てきた唾液と混ざり第二波となって再び口内を蹂躙していく。
とどのつまり、あっま~い。である。語彙力が低下した。
『んふふ、でしょ~』
「とぉっても甘くてぇ⋯⋯最高ですぅ⋯⋯」
『それで、どう?治った感じする?記憶戻ったりとかしてる?』
あっまぁ~うまぁ~いままでたべてたはちみつよりおいしいぃ~うにゃぁ~あま~い~おいしいぃ~
「ヴェステル?」
「⋯⋯⋯⋯っは。いけないいけない。美味しすぎてトリップしてた」
蜂蜜を食べただけでトリップするってどういうこと?初めての体験だよ。
『なんかトロンッて顔してたね。年相応って感じがして可愛かった』
「あ、あは⋯⋯忘れてください⋯」
朗らかな笑みから、面白いものを見れたという気持ちが漏れ出ているセルンさん。視線から逃れるために顔を逸らすとナブラ君と目が合った。
「ナンデ?」
ナブラ君は本当になんでか分かっていないのだろう。不思議そうな顔をしていた。
実は出せる蜂蜜は一種類だけではないらしく、味や効果が違うからと勧められて飲んでみたものの、どれも状態異常を治すには至らなかった。
期待していなかったわけではないけれど、そうだろうなという感想。まあ、そんな都合のいい展開はありませんよね。
「やっぱり治すには、術者⋯攻撃してきた人なのかモンスター⋯⋯モンスターはないか。を探さないといけないみたいですね」
『そうだね。アタシが治せたらよかったんだけどね。残念』
「その気持ちだけで嬉しいですよ。ありがとうございます」
「イマカラサガシニイクノ?カナディルダッケ」
今からか⋯。暗くなるにはまだ時間があるから行けなくはない、が⋯
「んー⋯⋯でも、誰にやられたのかすら覚えてないんですよ?手がかりがない状態で闇雲に探すというのは、とても労力を要する作業です。特にカナディルは首都ですから」
人がたくさんいるから目撃者の一人や二人はいるだろう。だけどそれは、粉砂糖の山から一粒の塩を見つけるようなもので⋯⋯例えが下手だな。蜂蜜の影響か甘いものに寄ってしまった。
つまり何が言いたいのかと言うと、犯人はおろか目撃者を探すにも、少しくらいは情報がないと何日かかっても見つからないということになりかねない、ということだ。
それに目撃者が必ずいるとも限らず、運良く犯人に辿り着けたとしても、人が多すぎるがゆえに逃げられる可能性の方が高くなるし、もう既に逃げている可能性だって──
『⋯⋯いや、善は急げってやつじゃない?犯人が遠くに逃げないうちに、聞き込みとかして何かしらの情報を集めた方がいいんじゃないかな?時間が経てば、見てたかもしれない人も完全には忘れちゃわないにしても詳細には思い出せなくなるかもだし』
「そ、れは⋯⋯まぁ⋯」
『⋯⋯よし。じゃあ、行くしかないね』
「はい⋯?」
『一緒に行こっか。カナディルに』
「イッテラッシャイ」
手を振るナブラ君に手を振り返し、妖精の森を出発。
飛べないが攻撃を受ける心配がなくなったセルンさんと共に、モワモヤァと魔法的なもので入口が隠された洞窟を潜りカナディルに向けて歩いていく。言うまでもないですが、私は飛んでます。
骨は大きな葉っぱで包み、基本は彼女が両手で持って運び、モンスターや魔物が出た時は私が念力で浮かせ運んだ。この山、洞窟を抜けた先はトレントの巣窟ですからね。
生前の彼女が攻撃を受けずにここを抜けてきたというのだから驚きである。攻撃されない条件があるのだろうか⋯。
その場の、セルンさんの勢いに押され、引きずられるようにカナディルへと進んでいるが、こうして飛んでいると冷静になってくるもので。彼女はやはりすぐにでも家に帰りたかったのだなと、行動と隣を歩くその横顔を見て感じた。
朗らかに雑談しながらも、その目つきは真剣で、早足といっていいほど景色が流れるのが早い。
「疲れてないですか。少し休みます?」
「ううん、大丈夫」
行動力のすごい子。蜂蜜を買いに妖精の森まで来るくらいだから、相当なものとは思っていたが。
そもそも私がカナディルに行く時に一緒について行って家に帰ろうとしていたが、行き先がそこではないと説明されたことと、ナブラ君の下に骨があってすぐには取り出せないということがあって、その二つを理由に妖精の森に残っていたのだそう。
骨は後日回収という形で帰ることもできただろうに、なぜそうしなかったのかと問うと、
「自分の骨持って帰らないと、ママたちここまで来るかもしれないし⋯てか絶対来る。こんな危険な所に来させて死んじゃったらやだもん」
と少し俯き、
「それに、骨持って帰らないで起こったことありのまま話してさ、そしたら危険視されて⋯討伐隊なんて組まれて⋯⋯全部もしかしたらの妄想なんだけど、それでも、よくしてくれたヴェスちゃんとナブラが殺されるかもしれない。それは、それだけは避けたかった。だから骨が回収できるまでここに残ろうって決めてたの」
と、頬を赤くしながら真剣な目で語った。
件の骨は今こうして手元にあるわけだけど⋯結局どうやって取り出したのだろうか。道中気になったので聞いてみると、どうやらナブラ君がピカッと光ってその場からいなくなった隙に回収したらしい。
また召喚されたのか(恐らく)と思うのと同時に、すぐに帰ってこなくてよかったねと思った。骨を取り出している最中にナブラ君が戻ってきて、中途半端に動かしていた骨が下敷きになってパキッと粉々、なんて最悪ですからね。
ちなみに作業中のセルンさんが戻ってきたナブラ君に乗られて、痛みは感じないけど抜け出せなくて大変。という事態は起こりません。
AI的忖度処理のお陰で、召喚先から彼が戻る時に元の場所に生き物がいれば、邪魔になるその生き物の現在地座標が邪魔にならない位置にずれるようになっているからです。だから、戻ってきたナブラ君とその場にいたセルンさんが合体。幽霊の彼女はなんともないけど彼の体は爆散。なんてことにはならないのです。
以上、図書館で調べた召喚魔法・魔術についての情報。
山を抜け野を進み見えてきたカナディル。
そのまますんなりと門を通って街へ⋯⋯とは当然の事ながらならず、兵士に止められ、併設されている部屋へと案内された。
私の問題ではなくセルンさんの問題。だって透けてるし、どう見ても幽霊だしね。
事情聴取に同席。どうしてそうなったのかなどの質問に答える彼女の隣で支えとなった。
全てに正直に回答したわけではない。若干の嘘も混じっている。彼女が語った、討伐隊どうこうの未来を回避するためだと思われた。
聴取は十分程度。無事に解放されると、門兵付きでセルンさんの自宅へと向かうことになった。
事情が事情だけに、帰宅が優先になるのは予測できていた。
元々手がかりがない状態での情報収集でしたし、どの場所から始めても問題などない。なので、着いた先で情報収集をしようと予め決めていた。
何日かかるか分からない捜査。
「活動拠点としてアタシの部屋使っていいよ。今度は家でお泊まりだね」
とのことで、宿に使うお金の心配がなくなったこと。彼女はやっと家に帰れる、家族に会えるということ。双方が納得した上での判断である。嬉しそうにしていたから、この決定は間違っていない。
もちろん、確実にご実家に泊まれるとは限らない。ご両親の承諾を得なければならないが、得られなかったら素直に宿に泊まるか、妖精の森との往復をしようと思っている。
ここで少し、隣を歩く門兵である兵士さんを紹介しておこう。
彼の名は、ランベック。セルンさんの知り合いであると共に私と顔見知り。
彼女のご実家は〈熊八亭〉という宿屋をやっていて、ランベックさんは若い頃からそこに通っていたらしく、彼女のことも赤ちゃんの頃から知っているのだという。お昼を食べた店もそんな名前だったような気がするな。
私との関係は、カナディルに出入りする時に顔を合わせる程度。本当に顔見知りでしかないが、知り合いっちゃあ知り合いだろう。
そうして黙々と歩くランベックさんについて、セルンさんのご実家〈熊八亭〉という宿屋の近くまで来たのだけれど⋯⋯。
「そんな邪悪な攻撃など、この勇者たる私には効かんっ!何度も同じ手が通用すると思うなっ!」
「くそっくそっくそっっ!!なんなんだよお前えぇぇェェーーッッ!!!」
「善良な民を騙し傷つける元魔王軍の残党っ!!ここで大人しく断罪されるがいいッッ!!!」
宿屋の前では、勇者と名乗る図書館ですれ違ったあの金髪サラサライケメンNPCと、サイズの合っていない少女が着るような可愛らしい服を身にまとった、SPIRITsnackという男性プレイヤーが戦い、
「セルンを攻撃しないで!やめてっ!」「なんだなんだ?」「おいっ!兵士はまだかっ!」「俺の娘に何してやがんだっ!!」「ねえねえーっ!」「ゲスがっ、子供に剣を向けるんじゃねぇ!」「セルンはオレが助ける!!」「あいつの格好やべぇ⋯拡散拡散っと」「わたしのセルンを傷つけたりしたら許さないんだからっ!!」
それを離れて見守る野次馬と、少女装の男性プレイヤーをセルンと呼び、戦いを止めさせようとするNPC達が遠巻きに囲い、
「ヤハウさん違う!違うんですっ!あれはセルンちゃんじゃないっ!頭の上に名前書いてるじゃないですかっ!!なりすました神人族ですよっ!!なんで見ても分からないんですかっ!!!行っちゃダメですっ!!」
「あの人はあなたたちの子供じゃありませんっ!!セルンちゃんじゃないんですっ!!サミューさんの邪魔をしないでくださいっ!!」
その戦いを止めようと、戦う二人に近づくNPC達を押し止めるエプロンを付けた、□□△○という男性プレイヤー。
NPC達が戦いに巻き込まれないように必死に叫ぶ、これまた図書館ですれ違った狐獣人のNPC。
「なんでウチがNPC押さえなきゃならんのっ!あの変態はウチが殺したいのにっっ!」
「おやおや、口が悪くなっていますよ。瑠姫さん」
「ひっ⋯⋯!?も、もう⋯⋯っ!!ヴェステル様に何かしたの知ってるんだからな!この変態プレイヤーッ!!」
「口より手を動かしましょうね」
それを手伝う、教会に所属する者が着るシスター服などを着た、なんか見覚えのあるHIVIタコ2という男性プレイヤーと、るきちーという女性プレイヤー。その他にも数名の同じ格好をしたプレイヤーがNPC達を押し止めていた。
なんという熱気。誰もが金髪イケメンと少女装男性プレイヤーの戦いに集まり、彼らを中心に異様な光景を作り上げていた。
まさにカオス。この一言に尽きる。
それを目の当たりにして、セルンさんがぽつり一言。
「あれ⋯?あの服、アタシが持ってるのと似てる」
元害悪プレイヤーの瑠姫ちゃんは、アバターを作り直し再スタートした際に、名前を、るきちーに変えました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヴェステルは、蜂蜜を食べたことによって状態異常が一つ治ったことに気づいていないし、気づくことができません。
治ったのは、SPIRITsnackにかけられた二つの状態異常(認識改変と記憶操作)の内の、認識改変の方。
気づけない理由は二つ。
一つは、蜂蜜を食べる度にセルンが『どう?記憶戻った?』と聞いてきて、ヴェステルが「いえ」と答える。すると次の蜂蜜を生み出し食べてと差し出してくる。これを繰り返すため、自分に鑑定をかける隙がないということ。
しかも、記憶が戻っていないことは鑑定をかけて確かめるまでもなく分かるため、わざわざそれをすることがない。
もう一つは、認識を改変して自身の姿を別人に見せているのが、SPIRITsnackだということ。
彼が居るのは妖精の森からかなり距離のあるカナディル。目の前にいる状況ではないため、認識改変の状態異常が治っても、セルンからSPIRITsnackのアバターへと見た目が切り替わるところを見ることができない。
少女装の男性プレイヤーとして見れていた、対峙した時の記憶は記憶操作を使って消されているので、SPIRITsnackを見たところで何だこの変な人と思うだけ。
認識改変はその場にいる者の、その時に見えるものを変えるだけの力しかありません。つまり、使用者と別れてから状態異常が治っても、記憶に残った改変後の認識は変わらないということ。
すでに記憶となったもの、しているものが変わることはなく、記憶に残るのは改変された後の姿や光景です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〘蜂蜜骸癒セルン〙
己の死体に取り憑くことで成る、セルンのもう一つの姿であり、イベントモンスター化した姿。
声を聞いた者に安らぎと不安を与え精神を混乱させる。
MPがある限り蜂蜜を生成でき、それを自由自在に操って攻撃したり治療したりする。
ただのスケルトンのように見えるがとても頑丈なので、並の武器では傷つけることができない。魔法・魔術にも耐性があるので、それ以外の攻撃手段を持っていないと倒すことは不可能である。
〘スケルトン〙
主にダンジョンに出現するモンスター。
基本的な攻撃は自前の拳と脚による格闘。骨だけで構成された体からは想像できないほど恐ろしく硬く、素早い攻撃をしてくる。
稀に武器を手にしていたり防具を身に着けている個体が出現するので注意。そういう個体は戦い慣れていることが多いので、通常のスケルトンよりも遥かに強い。倒すなら1対1ではなく、2人以上で当たり数の優位性を保って対処するべし。
〘モンスター化システム︰スケルトン編〙
特定のダンジョンで死んだ者は骨となり、NPC・神人族関係なく、ダンジョンに籠る邪悪な魔力でスケルトンという骸骨のモンスターとして復活する。
・NPCは、生前の記憶や意識がなくなってただ生者を殺す者となる。会話などで正気に戻すことはできず、倒すことのみが彼ないし彼女を救う唯一の手段。
倒すと天へと昇り転生の機会を待つことになるが、倒した際に未練があると、幽霊となりこの世を彷徨うことになる。願いを聞いて成仏させてあげましょう。
・神人族は、記憶も意識も失うことはなく、装備も付け外し可能でログアウトも可能。
しかし、声を発することができなくなり、本来なら頭上にあるプレイヤーネームも表示されなくなる。
(野良のモンスターと見分けがつかなくなるので、万が一に備えて、ダンジョンに潜る前に筆談用の道具の用意や念話の習得をオススメします)
また、モンスター化しているので、村や町などに行けばNPCが倒そうと攻撃してきます。
しかもそれは他の神人族も例外ではなく、倒すと一部の所持金と一部の装備品が貰えるので、レアモンスター並に格好の的となります。
(モンスター化状態のプレイヤーを倒してもPK判定にはならず、カルマ値が上がることもありません)
モンスター化を解除するには、ダンジョンの外で一度死ぬこと。
(ダンジョンの中で死ぬと、スケルトンの姿のままダンジョン内のどこかでリスポーンします。ボス部屋かもしれないし、入口近くかもしれない。全ては運次第)
頑張って耐えて逃げて応戦して、最後には散りましょう。




