SHOW by ショーバイ
書き忘れがあったので修正しました。(装甲バス販売の件で)
話は決まった。
アエオンでの用事が済んだら、俺とベータは装甲バスにソルティ『ママ』を積み、ハードタンク本社へ向かう。
ヤスデじいちゃんも付いて来たそうだったが、ハードタンク本社まではかなりの距離がある。
流石のじいちゃんでも、その年で長旅は厳しいだろうという話になり、結局アエオンに残ってもらう事になった。
そうと決まれば、さっさとここでの用事を済ませてしまおう。
まずは…、そういえば行商団の人達はどうしたんだ?
「チョウチョ、ウルテさん達はどうしたんだ?」
「ああ、行商団の皆さんは、地下駐車場でトラックの査定中です。ダニさん達と、今回はノミ君も査定に立ち会ってます。」
「ノミも?なんでノミまで?」
「…ノミ君は店長のお孫さんですよ?小さな頃から店長にミッチリ仕込まれてますから。」
…そうなのか?
…ただの糞生意気な子供だと思ってた。
「あ。」
…とてもくだらない事に気付いた。
今、地下駐車場にはミノさんとノミがいる。
…ミノとノミ…。
…だからどうしたと言う話だが。
「どうかしたか?」
じいちゃんが俺に問いかける。
「…いや、何でも無い。…ただ…。」
「ただ?」
「…今さ、地下駐車場には、ミノさんとノミがいるんだなぁ…って。」
「?だからどうした?」
…ですよね〜。
気を取り直して、アエオンで購入可能な物資を補給する。
痛んだ防具の新調や、今やサブウエポンになってしまったスリングショットの球の補給。
弾薬の製造や銃の修理に必要な物と、少量の日用品。
今回からは装甲バスに積み込めるし、寝泊まりもバスで出来るのでかなり気が楽だ。
…余談だが、アエオンへの道中で装甲トラック売却の件はウルテさんに断られてしまった。
トラックの購入でも資金が足りないのに、今はそんな余裕は無いとの事だ。
考えてみれば、第三行商団の手持ちの資金は、ほとんど俺が受け取っていたんだ。
長旅になるそうなので食料や水、予備のガソリンも必要になってくる。
ただ、アエオンで大量に購入してしまうと、ただでさえ枯渇気味のここの物資がマズい事になるので、控えめに購入した。
ベータの話だと、途中で補給ができそうな町も幾つかあるそうなので、あくまで念のため。
買い物が終わり、チョウチョとじいちゃんにベータを預けて地下駐車場へ向かう。
…チョウチョには『解体は絶対するなよ?』と念をおしておいた。
チョウチョは「やだなぁ、そんな事しませんよぅ」なんて言ってやがったが、教会での話を聞いた後だと全く安心できなかった。
まあ、そんな事をしようものなら、ベータ自身に消し炭にされるだろうが。
地下駐車場に到着すると、タイミング良く丁度商談がまとまった所だったようだ。
ウルテさんとダニが笑顔で握手をしていた。
「こっちの話はまとまったみたいですね。」
「おお、サイゴー!トラックは行商団の方々が買い取ってくれるそうだ。二台程はアエオンで使う用に残してくれるそうだがな。」
おお、行商団頑張るなぁ。
そんな大量のトラックを購入する資金があるのか。
…ハチノスのおっさんが俺に払った10000ナットも、行商団からすればはした金だったのかな?
「…そんな事より、ミノ殿から聞いたんだが…。お前が一人で白場庭ファミリーを壊滅させたって話。…流石に冗談だよな?」
「それは話を盛り過ぎですよ。…俺がやったのはアジトを爆破したのと、白場庭のボスにトドメを刺した位かな?襲撃者はチョウチョとベータも手伝ってくれたし、正確に言えばボスだってベータと一緒に倒しましたからね。」
「…いや、そこじゃ無い。そこじゃ無いんだサイゴー…。…え?じゃあ、本当に白場庭ファミリーは壊滅したのか?」
「あ、はい。ちゃんと確認してきましたけど、生き残りは居ないハズですよ。」
「…。」
何故か無言になるダニ。
え?壊滅させちゃマズかったのか?
「…5000ナットなんて大金をポンと出すから、何があったのかと思っていたが…。後で、ちゃんとお前とチョウチョ、あと…ベータだっけか?…三人で何があったのか詳しく報告しろ。…ああ、それと。…今夜は酒宴になるだろうから、覚悟しておけよ。」
「ゲッ!!」
一気に地下駐車場を発見した日の悪夢が蘇った。
…マジか…、あの合成酒はもうコリゴリなんだが…。
ダニは色々報告しに行くと言って町に戻って行った。
俺は気を取り直して、その場に残っていた行商団の三人とノミに話しかけた。
「ちょっとこの場にいる皆さんにお願いがあるんですが、聞いてもらえますか?」
ウルテとミノ、タン、そしてノミが俺に注目する。
「ノブさん、お願いとは?」
「まずはコレを見てください。」
俺はポケットの中から、例のカードを取り出した。
「…この悪趣味なカードは?」
「…え〜と、…趣味で集めてまして。コレと似たカードを見つけたら、俺に譲って欲しいんです。」
一同の顔色が暗い。
…ちょっと言い訳が苦しかったかな?
これじゃあ俺は、悪趣味なカードを収集している…変な人だ。
「他でも無いノブさんの頼みですから、やぶさかでは無いですが…、何かしらの見返りは期待しても?」
「それも考えてます。行商団の方々には、一枚譲っていただける毎に50ナットか、何枚か譲っていただける毎に『有益な情報』と交換ではいかがでしょうか?」
「…なるほど。失礼ですが、少し話し合わせてください。」
ウルテさんがタン、ミノを集め、駐車場の隅で話し合いを始める。
…ウルテさんの事だ、最終的には『情報』と交換になるだろうが。
…逆に、『一枚50ナット』の方になって、大量に持ち込まれても困るけどな…。
「…おじさん、僕には特に見返りが無いんだけど。」
ノミが不満そうな顔で俺に話しかけて来たので答える。
「50ナットじゃあ不満か?…なんて、一応ノミとの商談用に用意してる物もあるんだけどな。」
俺は背負っていたバックパックを地面に置き、中からある物を取り出す。
「…!!それは…!!」
「そうだ。コレはお前に頼まれてた…、ゲーム機だ。」
エキの村で買い物をしていた時の事だ。
何気なくチョウチョが食いついていたガラクタ屋を覗いてみたら、頑丈なケースに入ったコレが売っていたのだ。
…もちろん一箱5ナットで。
「これは土産だからな。約束通りお前にやるよ。」
ゲームの入ったケースをノミに手渡すと、不思議そうな顔をされる。
…まあそうだろう、今さっき『商談用』って言ったばかりだし。
「…おじさん、何を考えてるの?」
「なあに、別に難しい話じゃ無いんだ。…そのゲーム機はな、単体じゃあ遊べないんだよ。」
俺は更に、バックパックから『ゲームソフト』を取り出す。
ヒゲ面の配管工のアレや、カラフルなスライムを消すアレや、ごまだれ〜なアレや。
数にして13本のソフトを、ノミの前に並べた。
…ちなみに、実はこのソフト、全部ゲーム機と一緒にケースに入ってた。
「この一つ一つが『違うゲーム』だ。…言ってる意味、わかるか?」
「…フー、フー、…ハァ、ハァ…。」
…すっげえ興奮してるぞノミ。
見せておいて何だけど、色々不安になるわ。
「…一つにつき、カード一枚と交換、…だよね?」
「あ、ああ。それでOKだ。」
俺の言葉を聞くやいなや、ノミはダッシュで何処かに行ってしまった。
え?もしかして心当たりあるのか?
…マズったかなぁ?アエオンはこの後千里眼で探索するつもりだったし、どちらかと言うと俺が居ない間にアエオンにカードが持ち込まれる可能性を考えてのノミとの商談だったんだが。
どうせすぐには見つからないとタカをくくっていたのがマズかったか…。
まぁ、どうせ5ナットの出費だ、気にしないでおこう。
「ノブさん、お待たせしました。先程の件ですが、我々は『有益な情報』と交換でお受けしたいと思うのですが…。」
話し合いがまとまったらしく、ウルテさんに話しかけられる。
「分かりました。それでは、カード5枚を譲っていただける毎に『そちらが欲しい情報』を一つお教えします。あ、ちゃんとメモっておきますんで、まとめて納品とかじゃ無くても大丈夫ですからね。」
行商団が欲しがる情報…、ソルティの入手経路か、新しい銃器の設計図って所かな?
…行商団の方も、これで実質出費無しでいけそうだな。
「承知しました。それでは、この件は行商団全団員に伝令してあたらせますので、見つかり次第ノブさん達の後を追ってお届けいたします。」
ちょ…、話がでけぇ!
いや、みんなで探して貰えるのは有り難いけどさ…。
行商団が血眼になって『怪しい男性がドヤ顔してるカード』を探している図が…。
「はいコレ!!カード持って来た!!」
「うぉ!!ビックリした!!」
振り返ると汗ダクのノミが、息を切らせて立っていた。
その手には、紛れも無い『神様ブロマイド』が握られていた。
【神様ブロマイドNo.277】
(キレキレの上腕二頭筋を見せつける神様)
「おおお!確かに。…凄いな、あてがあったのか?」
「…この前、友達が拾ったって言って持って来たんだ。僕に売りたかったらしいんだけど、価値の無い物だと思ってその時は買い取らなかったんだ。だから今買ってきた。1ナットで。」
…流石、じいちゃんの孫。
底値で買ってきやがった。
ノミは俺にカードを渡すと、13本のソフトの中からじっくりと選んで、青色全身タイツ君のアクションゲームをチョイスした。
「…内容の説明とか、聞かなくていいのか?」
「いい、聞かない方が楽しめるし、どうせ全部僕の物になるから。」
そう言うと、ノミは鼻歌まじりに町へと帰って行った。




