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新部員と夢の過去を知るという話。その3

「……嫌な予感がするな」


俺は、鳥肌がたつ程に悪い考えが頭を駆け巡っていた。

扉の前、床に点々とある水滴の跡。

夢は……泣いていた。


「香織? 夢と仲直りしたいって気持ちはあるか?」


「…………それは、もちろん」


「なら、行こう。 で、ちゃんと謝ろう」


「……優も、来てくれる?」


「当たり前だ。 ついて行くよ」


「ありがと……」


ありがとうの一言と共に魅せた、曇りのない微笑みに俺は細やかな幸せを感じた。

だが、それどころではないのだ。


「行こう。 夢のところに!」


俺と香織は、パイプ椅子から勢いよく立ち上がる。

ドアノブに手を掛け、扉を開こうとしたそのとき、部室の奥から声がした。


「待ちなさい」


永海の冷静で、いつもは落ち着く声。

が、今は少し震えているように聴こえた。


「優、香織。 あなた達は夢の家を知っているのかしら?」


「それは……電話で……」


「無理ね。 あの状況で電話に出てくれると思う?」


「……無理、か」


「……天才プログラマーの娘、侮らないで」


永海は、パソコンの画面を見つめては、キーボードをあり得ない程のスピードで叩く。

そしてすぐにカタカタという音が止まった。


「夢の携帯には、とあるデータを埋め込んであるのよ。 あ、あなた達の携帯にもね。」


「……後で詳しく説明を要求する。 で?」


「それで確認してみたら、窓から見えるあの高級マンションよ。 ただ……」


深妙な面持ちで、永海はこう告げた。


「ベランダの端にあるわ。 それも、かなり不安定な……そう、細い足場に……」


「優! 走るぞ! 俺も行く!」


「雷……! 心強い!」


「天町……。 ありがとう……」


俺達三人は、部室から駆け出した。


頼む。 もう少し、早まらないでくれ……!


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