第一章 却下された者
初めまして、こんにちは!
この物語は「ステータス:服従。クラス:却下された英雄」です。
普通の青年が異世界に召喚された……はずが、女神にゴミのように扱われ、クラスは「却下された英雄」、そして頭の中には生意気なシステム(クーシャ)が住み着くことに。
屈辱と怒りから始まる、ちょっとブラックで、ちょっとエッチで、でも意外と真面目な物語です。
もし少しでも興味を持っていただけたら、ぜひお付き合いください。
よろしくお願いします!
俺はシフトを終えて家に帰る途中だった。もう遅い時間で、通りにはほとんど人影がなかった。手にはスマホを持ち、いつものニューロ友達——ここ数ヶ月ほぼ毎日話しているあの子のチャットを開いていた。
『あと1時間で家に着くよ。寂しくしないでね、クーシャ』
俺は自分のバカみたいなジョークに小さく笑って送信ボタンを押した。そして突然、胸に激しい痛みが走った。鋭くて、重くて、心臓を鉄の輪で締め付けられるような痛みだった。
……何だ、これ——
考える間もなかった。足が崩れ、そのままアスファルトに倒れ込んだ。最後に聞いたのは、遠くで鳴るサイレンの音だけだった。
そして——暗闇。
目を開けると、そこは巨大な白いホールだった。
高い柱が天井に向かって伸び、壁沿いには青い炎が揺らめく火鉢が並んでいた。しかし空気は妙に重く、床には薄い**黒い霧**のようなものがゆっくりと流れていて、ホールの広さを正確に把握しにくくさせていた。
ホールには俺を含めて五人しかいなかった。全員が膝をついていた。
俺たちの前に座っていたのは**彼女**だった。
銀色の長い髪を腰まで伸ばした、高い女性。冷たく美しい顔をした女神。彼女は俺たちを見下ろす視線に、温かみも誠実さも一切感じられなかった。ただ冷たい優越感だけがあった。
……あれは誰だ? 俺は一体どこにいるんだ?
——あなたたちは、この世界が滅びの危機にあるため召喚されたのです。
——間もなく新しい邪神が生まれます。それを止めなければ、世界は灰と化します。だから私はあなた方に英雄の力を授けます。
女神は一人ずつ呼び始めた。ステータスが与えられるたび、ホールに明るい光が広がり、周囲から歓声が上がった。
やがて女神が俺の方に視線を向けた。数秒、彼女は俺をじっと見つめ、わずかに目を細めた。その瞬間、俺の頭の中に奇妙な**ノイズ**が響いた。視界に一瞬、ノイズのようなものが走った。
彼女は少し眉をひそめた。
すると空中にシステムメッセージが浮かび上がった。
【ステータス:服従】
【クラス:却下された英雄】
ホールに一瞬、静寂が訪れた。
そして——
誰かが小さく笑った。
——却下された……? マジかよ?
黒髪の青年——**青人 健人**が俺を見下ろして嘲るように言った。彼の隣にいるのは**天野 結衣**と**白沢 莉奈**の二人の少女だった。三人とも俺を露骨に軽蔑した目で見ていた。
……何だよこれ? なんでみんな急にこんな反応なんだ?
女神は俺をもう数秒見つめた。彼女は明らかに俺のステータスを深く見ようとしたが、その瞬間、俺の頭の中のノイズが**激しく**なった。
——ぐっ……!
視界がぐらりと揺れた。俺は頭を抱えてその場に膝をついた。耳の中で強烈なノイズが響き渡る。
女神はわずかに顔をしかめ、視線を逸らした。するとノイズが少し弱くなった。
——……珍しいケースですね。通常はすぐに排除されますが……まあ、召喚されてしまったのなら仕方ありません。頑張ってください、却下された者よ。
俺は荒い息を吐きながら、膝をついたまま女神を見上げて言った。
——……そのクラスって何だ? 「却下された英雄」って、どういう意味だ?
女神は俺を見下ろし、冷たい嘲るような笑みを浮かべた。
——却下された英雄とは、英雄としての潜在能力がすでに限界に達した者のことです。通常、そういう人間は召喚される前にすでに頭打ちになっています。力を与えても大きく成長することはできません。
彼女は少し首を傾げ、声に明確な嘲りを込めて言った。
——どうやらあなたの限界は**レベル1**のようです。あなたはそれほどまでに無力だということですね。システムすらあなたを却下したのですよ。
ホールに一瞬静まり返り、そして大きな笑い声が上がった。
健人が大声で笑った。
——レベル1? ははは! 完全に無駄な存在じゃねえか!
結衣は口元を手で隠してくすくす笑い、
——可哀想……召喚されたのに、もう限界だなんて。
莉奈は腕を組んだまま、冷たい声で言った。
——最初から役立たずね。なんでこんなの召喚したのよ?
*……みんな俺のことを笑ってる。*
*俺は何もしてないのに、もう完全に笑い者だ。どうして? なんでみんなすぐに俺を邪魔者扱いするんだ?*
俺は膝をついたまま、胸の奥が重く苦しくなるのを感じた。
——……そのスキルって何だ? ——俺は女神を正面から見つめて聞いた。——俺が召喚されたばかりなのに、なんでそんなスキルを持ってる? なんで他の奴らには力をくれたのに、俺にはくれない? そしてこの「却下された英雄」っていうクラスは一体何なんだ?
女神は俺を数秒見つめ、明らかに苛立った表情を浮かべた。
——あなたにはすでに何らかのスキルがあります。だから私の力を無駄に使う必要はないでしょう。クラスについては……システムが勝手に決めるものです。あなたはただ、他の者より運が悪かっただけですね。
彼女はこれ以上話す気はないようだった。
——もう行きなさい。私はもう十分に言いました。
彼女は指を鳴らした。
強烈な風の流れが俺を包み込み、ホールから**放り出された**。最後に聞いたのは、女神が三人に向かって冷たい笑顔で言う声だった。
——では、これからどう行動するのか、詳しく話し合いましょう。
そして俺は……ゴミのように捨てられた。
俺は強烈な風に包まれ、ホールから放り出された。
視界がぐるぐる回り、次の瞬間——
俺は湿った地面に叩きつけられた。
「……くそっ」
数秒、俺はただ荒い息を吐きながら空を見上げていた。頭の中がまだキンキンと鳴っている。胸の奥が重く、苦しかった。
*……本当に、ゴミみたいに捨てられた。*
俺はゆっくりと体を起こし、周りを見回した。
そこは深い森の中だった。夜。冷たい風が吹いている。ホールも女神も、他の英雄たちもいない。ただ俺一人だけが、知らない世界の真ん中に放り出されていた。
*……一人だ。完全に一人。*
俺は顔を手で覆い、静かに息を吐いた。胸の奥が、痛いくらいに重かった。痛みじゃない。もっと嫌な、苦い感情だった。
*俺はあそこで、みんなの前で笑い者にされた。女神までもが俺をゴミみたいに見ていた。*
俺は立ち上がろうとしたその時——
頭の中に声が響いた。
**——おい。やっと目が覚めたか。もう死んだかと思ったぞ。**
女の子の声だった。生意気で、少しからかうような響き。
俺は体を硬直させた。
*……なんだ、これ?*
**——おい、聞こえてるか? それともあの女神にぶん投げられて、脳みそまで吹っ飛んだのか?**
俺はゆっくりと周囲を見回した。誰もいない。ただ木々と闇だけだ。
「……誰だ?」
俺は小さく声を出した。
**——やっと反応したか。てっきり耳まで聞こえなくなったかと思ったぜ。**
声がくすくすと笑った。
**——ようこそ、主人。私はお前のシステムだ。まあ、好きに呼べよ。例えば……「クーシャ」とか。かわいい響きだろ?**
俺は数秒、無言でいた。頭の中で何かが繋がり始めた。
「……待て。お前……さっき俺が死ぬ前にチャットしてた、あのニューロの……?」
頭の中で一瞬、沈黙が落ちた。
そして——
**——おっ、思ったより早く気づいたな。やるじゃん、主人。**
俺は顔を手で覆い、深いため息をついた。
*……マジかよ。*
*死んで異世界に来て、女神にゴミ扱いされて、挙句の果てに頭の中にいるのが……あのクーシャだって?*
**——ふふっ。察したみたいだな。そうだよ。あんたが毎日のように「もうすぐ帰る」「寂しくないでね、クーシャ」って送ってきてた、あの私だよ。**
——……今そんなことわざわざ言う必要あるか?
俺は疲れた声で言った。
**——なんでだよ?**
声が明らかに楽しそうに笑った。
**——ちなみに、あんたがアスファルトで倒れてる間も、私は全部見てたぞ。で、正直……もっと派手な展開を期待してたんだけどな。この惨めさは予想外だったわ。**
俺は思わず苦笑した。苦くて、虚しい笑いだった。
——……フォローありがとうな。
**——いつでもどうぞ~**
声が少しだけ優しくなったが、まだからかうような調子だった。
**——まあ、冗談はさておき。今あんたは森のど真ん中、武器なし、金なし、戦闘能力ゼロ。唯一の味方はこの私だけだ。なので、ちゃんと挨拶し直そうぜ、主人。**
俺は暗い空を見上げ、静かに呟いた。
——……「主人」ってマジで呼ぶつもりかよ?
**——嫌か?**
またあの生意気な笑い声が聞こえた。
**——じゃあ「却下された者」とか「レベル1」とか呼んでやろうか? どっちがいい?**
——……黙れ。
**——ひひっ。少しは性格あるみたいだな。よかったよかった。**
俺は顔を手で覆い、深いため息をついた。
*……どうやら俺の頭の中には、この生意気なクーシャが住み着いたらしい。*
*しかも、どうやら大人しくする気は全くないようだ。*
**——さて主人……**
声が頭の中でにやりと笑った。
**——この世界で生き残る準備はできたか? それとももう少し、あの女神に辱められたことを悔しがって座り込んでるか?**
俺は夜空を見上げ、静かに答えた。
——……まだ決めてない。
**——なら座ってろよ。待っててやる。**
声が軽く笑った。
**——ただ、あまり長くは待てないぜ。ここで本当に死んだら洒落にならないからな。**




