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「いやあ~、そう言われましても…。僕は結構、遠いんですから」

「遠けりゃ早く出りゃいいじゃないか。それがやる気だよ」

「はあー、そりゃまあそうなんですが…」

 教授に関して後藤は、青菜に塩だった。

「今日は国立競技場での試運転実験なんだからな。さあ、早く準備しなさい」

「はい!」

 但馬と保は、すでに自動補足機の衝撃回避の梱包を始めていた。その二人に、後藤は合流した。

 新館前の駐車スペースには昨日、研究室が大学から借りたライトバンが停車していた。当日の朝ではと、昨日借りて一晩、駐車させておいたものだ。ならば、試験の機械も積み込んでおけば朝の手間が省けるじゃないか・・ということになるが、精密機械である上に登録がされていない開発製品である点から、盗難を避けるため、朝一で積み込もうという話で研究室は纏まっていたのだ。そんな訳で朝一から後藤は怒られたのである。

「ほう、皆さんお揃いで、お出かけですか?」

 新館の出口では案の定、老ガードマンの受付員が笑いながら見送った。「お世話になっとります。ちょっと出ますんで、よろしくっ!」

 いつもは足を引っ張る後藤が、ロックシンガーの永ちゃんばりに親指を立てた。おっ! 頭以外は、かっこいいぞ! と、保は思った。このときだけ後藤のアフロヘアーが新緑の葉で、身体が若木のように輝いて見えた。

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