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『行くってことね…』
「ああ…」
沙耶は頷くとUターンして部屋を出ていった。当然、朝食の準備だ。保は洗面台で朝を整えながら、今日の流れをシミュレーションしていた。研究室で沙耶がいる設定場面である。
二人? がマンションを出たのは8時前だった。保が起きたのが7時頃だから、小一時間で出たことになる。実のところ、出るまでには、沙耶の服装で10分内外が無駄になっていた。アレにしようかコレを着ようか、やはりソッチだわ…ということである。まあ、そんなこともあったが、平穏に二人は地下鉄に乗り、何事もなく無事に京東大学の大学院新館へと着いた。保ひとりなら無事に着くのは当たり前なのだが、沙耶がいるからドキドキなのである。あんなことがあった昨日の今日だから余計にそう思えた。着いた段階では、一週間後にすればよかったか…とか、他の場所もあったな…などの雑念に悩まされる保だった。
「昨日と同じようにな…」
保は先にひと言、沙耶に注意を促して中へ入った。
『うん!』
素直に頷いて、沙耶は続いた。
「おはようございます。ははは…昨日の続きです。また、お願いします」
「もう、大丈夫なんですか?」
「ええ、まあ…」
「そうですか。そりゃよかった。では、これを…」
老いた受付のガードマンは、外部者通行用の名札を保に手渡した。




