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ただ一人、但馬は席に戻った保を時代劇の悪役のような目つきで横睨みした。いいところを見せつけられた但馬とすれば、不愉快、極まりない。それはともかく、これで自動補足機の全パーツが、それぞれ完成に近づいたのである。あとは、最終チェックと組立だった。
「やっと、完成の域に近づいたな」
「そうですね。楽しみです」
小判鮫の但馬が教授にヨイショする。
「ありがとう。…しかし、実用化されんのが残念だ」
山盛教授は、また目を潤ませて涙声になった。この男、非常に涙もろいのが玉に瑕だった。その教授を横目に、保は、この程度では…と思えたが、顔では愛想笑いして場の雰囲気に合わすことに努めた。
「いいと思いますよ。完成すれば、学術誌への掲載は間違いないんです。世界にない機械の登場なんですから、きっと実用化を考える企業も出ますよ」
出来の悪い後藤としては、上手く言ったな・・と保は思った。まさにその通りだった。ジョギング思考とは真逆ながら、障害者を中心にヒットすることも有り得るのだ。自動車とかの乗り入れが利かない場所での活動も重宝しそうだ。上松電気の実用化見送りは、どうも採算ベースに乗せるには、製造コストがかかり過ぎる、との判断だろう。となれば、安価な材質か…と保は巡った。




