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━ それが、いい… ━
保は決断すると、炊事場で洗い作業を続ける岸田2号を横目に食卓テーブルの椅子から立ち上がった。そして、近くのデスクトップ型パソコン椅子へふたたび座り直すと、修正プログラムの入力キーを叩き始めた。心なしか指先が快活に動き、保の心は躍った。上手くしたもので、今日の大学研究室は山盛教授が所用とかで出向く必要がなかった。時計の針はグルグルと回り、時は瞬く間に過ぎていった。昼を抜き、ふと空腹感を覚えて腕を見ると、すでに4時は半ば過ぎていた。保は慌てて、何か食べるものはないか、と岸田2号に訊ねた。そういえば昼前に、オヒルハ、イカガシマショウカ? などと問わなかったことも少し気になった。
「腹が減ったな。昼は言ってくれないと…」
『シツレイシマシタ。ヒッシニ、サギョウヲサレテオラレタモノデスカラ、オコエヲオカケシテ、オジャマニナルノモ、イカガカトオモイマシテ…』
そんな細かなところまで気遣ってくれてるんだ…と思うと、その律儀さに保は怒る気分が消えた。ただ、冷静に考えれば、言葉遣いが少し硬いというか他人行儀にも思えた。その辺りも修正しよう・・と、保はふたたび、キーを叩いた。
『コンナモノデ、ヨロシュウゴザイマショウカ?』
岸田はその声に驚いた。まだ数分しか経っていなかった。顔を上げると、岸田2号がサンドイッチとミルクセーキをトレーに乗せて立っていた。
「んっ? …ああ、それでいい。テーブルに置いといてよ」
『カシコマリマシタ』
岸田2号は軽い身の熟しで反転すると、テーブルへトレーを置き、部屋隅に移動して停止した。そして、ピクリ! とも動かなくなった。




