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「岸田君、なんだったら、休んでいいよ」

『先生! ホテルへ戻りませんと…』

「あっ! そうであった。教授、保はそのままに…。待たせた者がありますから急ぎ、ホテルへ戻りますでな」

「そうですか。だ、そうだ、岸田君」

「教授、孫を、なにぶんよろしくお願いいたしますぞ」

「いやいや、こちらこそ。今や岸田君抜きでは研究室が成り立たぬ有りさまでして…」

「わっはっはっはっ…、左様なことはござらぬでしょうがな。では!」

「おじちゃん、またあとからね」

 三人? は入口での会話のみで研究室を出た。

 教授が言ったとおり、長左衛門はその夜、保のマンションへ来襲した。むろん、里彩と三井を従えて、である。ホテルでゆったりとくつろいだ三人? は、夕食を早めに済ませるとタクシーで外出した。便宜上、昼間の研究室では適当な作り話で引き揚げたが、別に待たせる者がいた訳でもなく、戻ってからは物足りないくらい、ゆったり出来たのだった。

「たぶん、じいちゃん達が、そろそろ来るだろうから、心積もりは、しておけよ」

 保も長左衛門の行動は予測できたから守備態勢を敷いていた。いわゆる、目に見えないディフェンス網である。彼らのタッチダウンだけは避けねばならない。

『長左衛門と、その子分か…』

「今回の子分は、これだ」

 保は、そう言いながら指を二本立て、Vサインを出した。

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