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「しがし…何も食わねえで、よぐ動けっな。皆、不思議がっとるよ」

 沙耶は一瞬、その言葉に危険を感じた。言語認識プログラムが作動し、村人の言葉に不信感を読み取ったのだった。

『私…拒食症で病院通いなんです』

「そうなのが? とでも信じらんねえがな」

 村人は半信半疑ながらも、とにかく納得した。緊急回避システムの作動により窮地を脱した沙耶は足早に、その場を去った。

 夕方になり、保がマンションへ戻ったとき、沙耶はすでに湯夕飯の準備を済ませていた。尋常に考えれば、とても出来ない時間移動である。

 一方その頃、長左衛門は隠れ部屋でアンドロイド三井の機能向上を目指していた。もちろん、長左衛門の傍らには子分の里彩がいて、意味が分からないまま作業を見守っていた。里彩の役割は両親である勝、育子夫婦に気づかれないようにする、いわば見張り役と連絡役、それに雑用係であった。それを一手に引き受けているのだから結構、重要な立場だった。むろん、土、日と平日の下校後で、育子に小言を食らわない程度に、だった。

「よしっ! 今日のところは、ここまでにしておこう」

 そうつぶやくと、長左衛門は三井の背面にある制御電源をONにした。しばらくすると、三井はパチリと両眼を開け、衣服を整えながらズボンのベルトを締めた。

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