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「おっ? おお…。よく知っておるのう、保。そのことを、いつ知った? まだ、誰にも言っていないことじゃが…」

「ああ、まあ…」

 保は誤魔化したが、長左衛門は怪訝けげん眼差まなざしで保を見た。離れで停止しているはずの三井を、保が知っている訳がないというサスペンス的な疑問が浮かんだのだ。しかし、長左衛門は話を大きくすればまさる達からいらぬ疑問を抱かれると思い、えて聞き流すことにした。秘密裏に製造したアンドロイド三井のことを家族はまったく知らないからだ。で、長左衛門は話題を変えた。

「奈々はいつ帰るんじゃ?」

 イギリス留学している奈々は、近く帰ると勝宛てに手紙を送ってきていた。卒業レポートと卒論があるから、電話代を少しでも浮かせて研究費にてるの…と書かれた文面を読み、家族の者は誰も信じてはいなかったが、近々、帰るから…と末尾に追伸された文面は全員、信じた。奈々はちゃっかりしていたから、無賃で泊れ、美味い料理が食べられる自宅への帰宅は確実だと皆、思えたのである。

「帰るとだけ言ってきましたが、それ以上は…。あっ! 私、事務所がありますので」

 勝の事務所は岸田家から数分のところにあり、勝は歩いて通っていた。勝がいなくなると夫人の育子もいなくなり、長左衛門と保、沙耶の三人になった。

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