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『はい。お蔭さまで…』

 沙耶は当たり障りのない言葉を返した。

「そうですか。それは、よかった…」

『保、ちょっと…』

 沙耶は保を部屋隅へ手招きして呼んだ。保はいぶかしそうに沙耶に近づいた。

「なんだよ!?」

『つい先っきね、長左衛門の書生ってのが現れたのよ』

「書生!? なんだ、それ?」

『保も知らないんだ。私もね、言語認識システムが作動しないのよ。こんなこと初めてだわ…』

「あっ!」

 保には思い当ることがあった。長左衛門は元工学部教授の超エリートだったと兄のまさるから聞かされたことがあったのだ。それを今、保は思い出していた。

『どうしたの?』

「いや…そんなことはないと思うが…」

『なんなの?』

「ひょっとすると、じいちゃん、完成させたのかも知れん、アンドロイド」

『って? …三井はアンドロイドってこと?』

「三井? その書生、三井って言ったのか」

『ええ…。なんか、ここへ来てはいけないとか、訳分かんないこと言って離れへ戻ったわ』

「そうか…。じいちゃんはそのこと知らないな」

『そのはずだけど…』

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