表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/310

-18-

保にはその店女が獲物を見つけた蜘蛛に見えた。丁度、沙耶が見ていたのはEMADAのマキシ+SRYのシャツで、結局それにグッチィのバッグとサングラスが加わり、全品お買い上げとなった。支払うのは保である。余裕をもって出たのが不幸中の幸いで、高くついたものの、困らず店を出られた。

『ありがとっ!!』

 すべてをその場で身につけた沙耶は、すごく機嫌がよかった。隣を歩く保は、脱いだ衣類を詰め込んだ袋を持たされ、この姿はなんか今一だな…と思えた。このパターン・・確か、親友の中林と飲みながら笑い合ったことがあったな…と、保は、ふと思い出した。「あんな、ぶざまって、ねえよなっ! ははは…」と、コップのビールを飲んでは笑い合ったんだった。そのぶざまが今の俺かっ! 保は手に持った紙袋を路上へ投げ捨てたくなる衝動を必死で抑えた。これでは郊外試験で沙耶の様子を観察するなどという相場の話ではない。いつの間にか冷静な心が消えてしまっていた。上手くしたもので、歩道の側面に飲料の自動販売機が見えた。保は、思わず片方の手をパンツのポケットへ忍ばせていた。自動販売機までの距離が狭まり、手前まで来た。

「沙耶、ちょっと待ってくれ。喉が渇いた」

 保はそう言うと、自動販売機に硬貨を入れ、出た缶ジュースを一気に飲み干した。缶を屑籠へ捨てたとき、保の心は冷静さを取り戻していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ