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 この夜の記者会見は但馬の周到な根回しによるもの、というより、内容そのものが興味深かった…ということもあり、大盛況のまま終息した。しかし、物事はこれだけでは済まない。次の日から京東大学大学院・山盛研究室がある新館入口には多数の報道陣が入れ替わり立ち替わり詰めるという事態に至ったのである。当然、そうなれば、朝の出勤は入館前に記者団の取材攻勢にさらされる状況となる。保もその例外ではなかった。

「あっ! 岸田さん! ちょっと、お話を…!」

「学会発表はいつでしょう?」

「タイアップ先は?!」

「えっ? ああ、すみません、ちょっと、急いでるもんで…」

 追いすがる報道陣を振り切り、保は逃げるように新館の出入口から去った。他の者にもいてるんだろう…と報道陣の姿が見えなくなると保は思った。

『お帰りなさい』

「えらい騒ぎだよ、沙耶。なんか、いい知恵はないか?」

 マンションへ戻るとドアを入るなり、保はたずねていた。

「マスコミ除けの特効薬か…。こういうのって、有名人は嫌うのよね。嬉しいときもあるのに・・人って不思議よね。よく分からない」

「分からんか…」

『あっ! それ? それは、分かるわよ。教授しか知りません! の一点張りでいいんじゃない』

 沙耶が即答した。

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