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「この速度以上には走れんだろうが、君…」
改めて、教授が全面否定した。
「いや、確かに見ました!」
但馬も面子があるから意固地に主張する。
「君の見間違いさ。んっなこと、ある訳がない、ははは…」
「そうでしょうか…」
教授の小判鮫的存在の但馬は、少しトーンを下げた。保が気がかりなのは、沙耶が保の命令を無視して猛スピードで通過したことである。しかも別ルートならともかく、目の前を! なのである。むろん、保はその姿を見た訳ではなかったが、但馬が言ったとおりだろう…と思えた。そこが、教授達とは違った。
その頃、沙耶はすでにマンション近くまで戻っていた。そのとき、ふと保の言葉が沙耶の記憶回路に戻り、慌てて走行速度をジョギング並みへとダウンした。この時点までは当然、多くの通行人が沙耶の猛ダッシュする姿を見ていたから、恐らく巷の噂からマスコミへと話が流れ、報道対象になるのは必然に思えた。沙耶はそのことを解析システムの予測分析で分かっていたから、スピードを落としてからは人の気配がない路地伝いにマンションを目指した。
『ヤバいわ…』
沙耶から呟きが漏れた。




