115/310
-115-
そしてしばらくの間、保はプログラムを弄っていた。
『お味噌汁、冷めてしまうから…』
「ああ…」
沙耶の催促の声に、保は仕方なく重い腰を上げた。テーブルには短時間によくこれだけ…と思える美味そうな献立が並んでいた。
「こんなに…。食えるかな」
『少し品数、多い?』
「ああ、二、三品でいいよ」
『明日から、そうするわ』
朝食を終え、沙耶が食器を洗い終えた頃、保は沙耶に声をかけた。
「そろそろ始めるか」
沙耶は頷くとフロアの隅へ行って両眼を閉じ、自動停止した。保は、さっそく沙耶のメモリー回路のICチップを、ゆっくりと引きし出し、パソコンに読み込ませた。しばらくして、ふと気づいたのは聴覚機能に微細dbの誤差が生じていた事実である。正常時の数値は別ファイルに保管してあり、対比ソフトで異常数値が赤色化して表示される仕組みのソフトだった。その修正をした後、保は対音圧バリア(シールド)のプログラム製作を開始した。それが終わったのは約二時間後で、沙耶へ出来上がったチップを組み込んだ。保は沙耶の主電源をオンにした。そして、静かに声をかけた。




