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それもそのはずで、保はすでに沙耶を製作完成させた天才工学技師だったのだ。皆はそこまでの才が保にあろうとは、露ほども知らない。後藤は自動回転する接地面ローラーの衝撃感をなくす微細クッションアブソーバーの調整加工をやっていた。だから、彼だけがパソコンを必要としなかった。プログラムが不要なパーツだからだ。

「明日は調達があるから、君達は休んでくれたまえ…」

 後藤からローラースピン・バネクッションの部品を手渡され、それをじっと見据えたまま、山盛教授が口を開いた。教授が調達といえば専門部品である。教授には太いパイプで繋がる専門商の馬飼まがいという知人がいた。恐らくはそこへ行くんだろう…と保には思えた。店主である馬飼の従業員が、実は保の親友で中林と言った。しきえにしといえた。保もアンドロイド製作では様々な部品をこの馬飼商店で入手していたから、ある意味、山盛教授と目的が同じだった。店員で親友の中林は、保がアンドロイドを製作していることを知っていた。むろん、他言無用と口止めはしていたが、いつ奴の口から秘密が漏れるか…と、保は不安に思っていた。

 その日も、但馬以外はまったく作業は進まず、夕闇が近づく頃には一同の顔から精気が失せていた。一人張り切っていた但馬さえ、全体の作業が進まないとなると、次第にやり甲斐がしぼんで蒼白くなっていった。

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