休憩?
はっはっはー!!
久々の更新じゃー!?
まあ、多分これが今年最後の更新だと思います。
「~と言うわけでこういう理論となるわけだ。・・・ふむ、もう時間も無いし今日はここまでだ。解散!」
主任がそう言うと生徒は立ち上がり『ありがとうございました!!』と全員で頭を下げながら言った。その後は皆友人と思い思いに話し出したり、先ほどの理論説明で疑問に思ったことを主任に聞いたりしている。・・・・ってか今日の授業内容で質問する事なんてあんのか?騎士の家の俺でも10歳の時にこの辺の理論は習ったぞ?
(寧ろ魔法師の家系だから勉強をしてないんだろうさ)
(はぁ?どう言う事だ?普通は理論を教えてからじゃないと実践なんて危険すぎるだろう。下手すりゃ死んでしまうんだぞ?)
(普通はそう思うだろう?だがな、魔法師の家系には面白い特性があるのだよ)
(面白い特性だ?)
(ああ。実はな・・・)
「あの・・・シャレイル様!」
俺とサンドラの思考会話を打ち破ったのは、先ほど俺を熱い眼差しで見つめていたルンだった。何のようだ?
「・・・何ですか?アレインさん?」
「そんな・・・、私の事は昔の様にルンと呼び捨てにしてください」
「今や魔法師科の期待の星と呼ばれているアレインさんに幼馴染だからと言ってその様に呼ぶなど・・・」
「周りの評価など関係ありませんっ!」
そこでルンは一度言葉を切り周り、俺の悪口を態と大声で言っていた魔法師科の男ども、を睨みながら口を開いた。
「たとえ、たとえ今私が期待の星でシャレイル様が劣等生と言われていようとも!私たちアレイン家を見捨てず、今に至っても面倒を見てくださっているフランブルグ家の恩義に背くような行動は、絶対にしたくありません!更に、アレイン家の主家であるフランブルグ家を悪く言うと言う事は!!フランブルグ家にだけではなく、アレイン家にも喧嘩を売っている事と同じだと理解しなさい!!」
今ルンが言った事に周りのバカどもだけではなく騎士科の奴や主任、そして俺とサンドラまでもが驚いた。何故か。騎士とは誰かを主君と仰ぎ、その者を守る為に騎士と名乗る。しかし、今ルンが言った事はその常識を打ち破る物だ。
今、俺の家のフランブルグ家を主家と言った。つまり、自分は従者の立場であるとこの場で言ったのだった。これは本当にありえないことである。驚きすぎて俺も思考が中々固まらない。
「なっ!何を言っているんだアレインさん!!そんな、劣等生を主君だとでも言うんですか!?」
「いや、待てよ!!今、フランブルグ家が主家と言っただけで、あそこにいるカスが主君とは言っていないだろ!つまり、主家の家の奴をとぼしたから怒っているだけだろ?」
こいつら・・・本物のバカだな。
(全くだ・・・。先ほど、そやつが言った事は騎士の誓いと同義だというのにの・・・)
騎士の誓い。今ではプロポーズの言葉と言う認識になっているが、実際はその名と騎士の謂れの様に主君を自分の身を賭して生涯守り続ける事を誓う言葉。今ルンが言ったのはそれとまるっきり同じことだ。つまりは・・・。
ドンッ!ドンドンドンッ!!
音が四度したかと思うとバカな事を言った二人の足元に二発ずつ何かが着弾した後が残っている。あれは恐らく火の大精霊との契約で使えるフレイムショットだろう。
「な、何をするんですか!?」
「何?ねえ、今あなた何をするのかって聞いた?」
そう言ってバカどもに近づくルン。近づかれた側は恐怖で顔が染まっており正常な判断がつかない様だ。
「私はね、今、私の主を侮辱する輩を消そうとしたのよ」
そう言いつつハイライトのない目を向けて魔法を発動させようとするルン。
「・・・ルン」
「はいっ!何でしょうかシャレイル様!」
俺がルンの名前を呼ぶと先ほどまでの態度を一変させて笑顔で俺の方に向き直るルン。・・・コレが世に言う『ヤンデレ』ってやつなのか?
(それの意味はあまりよく分からないが・・・主にかなり陶酔しているのは良く分かるな)
「やめておけ、ルン」
「どうしてですか?こいつらはシャレイル様の事をよくも知らないのに噂のみで人を判断する愚か者なんですよ?なら、そんな奴大人になっても腐ったままじゃないですか?そんな奴がいるから汚職がなくならないんですよ。だから、今その芽を摘むんですよ」
そう言うと又もやハイライトのない目で先ほどのバカどもに向かっていく。バカどもは恐怖が頂点に達したのか気絶しており、周りの奴もそのバカを助けようとしてもルンに嫌われるのは嫌だし、俺のこと云々は置いといてルンが言ったことは正論であるため止めにくいのである。
そうこうしているうちにもルンと気絶している馬鹿どもの距離が近くなっている。俺はルンが馬鹿どもを手にかける前に行動をした。
「やめろ、ルン。確かにそこの馬鹿どもは愚か者だが、その愚か者を態々お前が手にかける必要はないだろう?お前がレベルを落として相手にする必要はない。だから、やめろ」
「シャレ、イルさまぁ・・・?」
俺がルンを止める為にした事。それは後ろから抱きしめる事だった。正直周りに人が多くてやりたくなかったのだが、昔からルンを止める為には抱きしめるか頭を撫でるかの二択しかないが撫でると止まるまでにあの愚者どもを消してしまう恐れがあったため、抱きしめるしかなかったのである。
でも、本当にこれだけはしたくなかった・・・。今も、周りの生徒の目が驚愕で見開いているし一部の俺の実力を知っている奴なんかはニヤニヤしながらこっちを見てるし・・・。
そして、そこで無常にも授業の終わりを告げるチャイムが鳴る・・・。今日は授業がこれで終わりのためこの後は食堂で飯なんだが・・・ハイエナのような好奇心に満ちた目をしたこいつ等の質問攻めを、俺は耐えられるのかなぁ・・?
(無理じゃな。諦めよ、主よ)