復讐劇だいいち
「お前の執事、料理もすごいな」
「はい、テオの料理はうちの料理長よりおいしいですわ」
「でもお前、魔王城にきて飯って……」
「食事の時間は守りませんとな、お嬢様の成長に関わります」
テオは隣で控えています。
お茶のお代わりは? と聞いてくれますが今は大丈夫ですわ。
魔王様はなんで俺こんなところで飯食っている? とため息をついています。
食堂とやらで今食事中です。うわ、広いですわ。城よりすごいです!
「あのさ、お前この執事変だと思わんか?」
「いえ思いませんわテオはテオです!」
「まーいいけど、お前、これからどうすんの? 俺、公爵令嬢をさらった魔王って称号ほしくないんだけど」
お茶をする私達、しかし魔王様の部下って頼りないですね。テオを恐れるように見ていますよ。
弱い人達ですし、これで復習できるか不安です。
「私、王太子様に復讐しますの!」
「ん、だから俺は女をつるしあげるってしたくないけど」
「王家を滅ぼす手伝いを!」
「だから俺は平和主義者で、親父の後をついだのはいいけど、そういうの加担したくないっての!」
名前はえっと確か、ローンバル・ユーリウス・アクト・えっとなんでした? 名前を聞きましたが長すぎましたわ。
適当に手を振ってロッドって呼べと言われました。
あう、扱いが酷くないですか?
「ロッドさん、どうして魔王なのに世界征服を狙わないのですか?」
「だから、俺は親父と違ってそういうの面倒なの、日々飯を食えるだけでいいの、部下を養えるだけでいいの」
親父さんという人は強い魔王で勇者に倒されたそうです。
まだ10歳だというのにお気の毒に……というと一応これ人間換算だからな? と念を押されましたわ。
「取りあえず、その執事連れて帰ってくれ」
「嫌ですわ!」
「復讐するなら、もう少し年数がたっていい女になって逆に王太子奪い返してやれよ」
「だってそうなったら結婚して子供さんが生まれてなんて!」
「お前一応公爵令嬢だろ? 王妃になるのなら身分があったほうがいいじゃん。後5年もすればお前一応結婚できる年齢だしさ」
成人は17歳ですが、13歳から結婚は可能です。
でも一応成人したら結婚しようって決まっていましたの。
「この肉うまいなって、どこから材料を!」
「ふむ、この辺りは獲物が多いですな……」
「ってあの最強豚をどうやって倒したんだお前!」
「あなたの部下といい、弱すぎます……」
そういえばぶひぶひ大きい豚さんが走っていました、大きな角がありましたが、テオが手をふったら倒れましたが強いのですか?
拳だけで倒されるとは弱すぎるとかため息をついてますわよ?
「復讐するのなら、今したいのですわ!」
「なら、俺よりその執事……」
「お嬢様、この弱い部下達とやらを鍛え直す役目、私にご命令を……」
「許可しますわ!」
「勝手に決めんな!」
人型は魔王様だけで、後は角や翼がある人や、大きな獣さんが沢山おりますわ。
震えあがってますけど、テオは怖くありませんわよ?
私達が食事を終えると、では鍛え直してまいりますとテオが一礼して、部下さん達をひっぱっていきましたが……。
「お前これからどうすんの?」
「そうですわね、復讐計画を練りますわ!」
「練ってから来いよ!」
突っ込むロッドさん、だって思い立ったらすぐ行きましょうってテオが言うんですもの。
腫れものに触るように皆が扱うから館にいたくなかったのですわ。
私の目から涙が溢れると、おい泣くなよとロッドさんが慰めてくれます。焦っているようですが。
「おい泣くな、頼むから……俺、女の涙には弱いんだ」
「だって復讐、でもしないと私、私……」
「わかった。手伝ってやるから!」
これでロッドさんの協力をとりつけました。うーん、しかし王国に復讐ってまず攻め入ることからはじめたいですが……。
でもあまりお父様にご迷惑をかかることはしたくないのですよね。
それを言うと、お前やっぱり短絡的とロッドさんがため息をついたのでした