第018話
すごく遅くなってしまいました。
その割には短い話になってしまいましたが。
親善試合が終わった私達は、カっちゃんの部屋にお邪魔していた。この部屋は家族や親しい友人と過ごす部屋なのだそうだ。
「リリンお姉様~」
ナナコちゃんは、あれからすごく私に懐いてしまった。カっちゃんもちょっと苦笑いしている。カリーネさんは私に続く新たな妹枠の出現に狂喜しているようだ。ちょっと性格変わってない?
部屋には、私達、カっちゃん夫妻、ナナコちゃんの他に三人の人物が居る。一人はナナコちゃんより少しだけお姉さんな女の子、もう一人はまだ三歳くらいの男の子と女の子だ。
「紹介するよ。こっちは僕の妻でマリー、そっちのお姉ちゃんが第一王女でアリス。あと、双子のカズヒコとミスズだ」
「初めまして、リリンさん」
「初めまして。お会いできて光栄です」
王妃様はとても優しそうな人だ。しかし、末の子の名前、私の前世の名前だよね。どういうつもりでつけたのかしら。
カっちゃんは私のその思いに気付いたのか、こっちを見て言った。
「私は別の世界からこっちに来た転移者でね。末の双子は、元の世界で随分お世話になった人の名前を頂いたんだ」
王妃様も頷いている。私の名前は分かるけど、男の子の方は?
「あ、因みに男の子の方は私の働いていたところのトップ、女の子は上司の名前だよ」
あぁ、所長の名前かぁ。そう言えばそんな名前だったね。忘れてたよ。懐かしいなぁ。
「で、その上司とは恋仲だったんですか?」
「いや、そんな事はなかったよ」
カリーネさん、何聞いているんですか。そして即答ですか、カっちゃん。
「とても綺麗な人ではあったけどね。やることなす事ハチャメチャで、よくその後始末させられたものさ」
私がじろりとにらむと更にフォローを入れてきたが、それはフォローになってない。それじゃ私はただの常識はずれじゃないか。
「なーんか、魔王様に親近感わくわね」
「そうだな、その上司とリリン、ほぼ同じ性格に思えるな」
「もしかして、その上司ってリリンちゃんの前世だったりして」
言いたい放題だな、おめーら。そして、クワイト当たってるよ。
「実はその通りだ、クワイト」
「「「えぇっ?」」」
まぁ、ここでばらしても問題は無いだろう。多分、カっちゃんもそれを見越してあんな紹介をしたんだろうし。
「ま、ついでだ。私がどうやって転生したのか、カっちゃんがどうやって転移してきたのか説明しよう」
私は神様の気まぐれですませられるが、カっちゃんの方は説明しないといけないだろう。あのクソ王がどんだけ酷い奴かが分かるというものだ。
「私の転生だが、これは本当にたまたまだ。向こうの世界で私が死んだとき、丁度こっちの神様が私を気に入ってくれてこちらに転生させてくれただけだ。
その時、前世の記憶とその時のステータスをそのまま引き継いで転生したので、生まれた時から他の子どもより強かっただけだ」
「こっちは、鈴の姉御が死んで暫くしてから、そっちの国の王に無理矢理召喚されてきたんだ。最初は勇者だ何だと言ってきたが、うさん臭くて逃げ出したんだ。
そして、王都から離れて旅をしている途中、違法奴隷狩りに捕まりそうになっていたマリー達を助けて、こちらの国を建国するに至ったというわけ」
こうやって境遇を見てみると、カっちゃんの方が主人公っぽいよね。私の方、内政チートとかしてないし。あれ、皆黙ってるけどどうしちゃったのかな?
「ねぇ、リリンちゃん。魔王様の言われる事って本当なの?」
「嘘をつく意味はないと思うよ。あ、神様に聞いてみれば良いんじゃないかな。神様ー」
『はいはーい。この念話、そっちの神官さんにも聞こえるようにしておくわね。
彼の言ってた事だけど、全て本当よ。異世界召喚なんて普通じゃできないけど、違法奴隷とかを何人も生贄にして無理矢理魔力を集めたみたいよ』
「ありがとう。カリーネさん、これで分かった?」
「え、ええ。あの王が酷いという事は分かったわ」
そのままカリーネさんは他の二人にも説明する。二人とも苦り切った表情だ。そりゃそうだよね。
「で、だ。これからどうするんです?」
「いや、何も考えてないよ」
今後の事はノープランだ。取りあえずはあっちこっち行ってみたいという気持ちはあるが、お金もそう沢山あるわけでもないし、何より他の三人がどうしたいか分からないので、一緒に行くのかどうするのか決めきれない。
「相変わらずの出たとこ勝負っぷりですね。特に予定が無いなら、しばらくこちらに居て国を見て回ってもらっても良いですよ。それに、ちょっとお願いしたい事もあるし」
私は三人の方を見る。三人もどうしようか決めかねているようだ。
「今すぐには答えられそうにないから、皆で話し合って今後の事を決めるよ。それより、お願いしたい事って何?」
「あぁ、うちの軍の隊長格に稽古をつけてもらおうかな、と。いくら平和が好きでも最低限の軍は必要だからね」
「それくらいならいいよ。期間は話し合う内容に含めよう」
「ありがたい。何しろ、いつも僕が稽古つけるわけにはいかないからね」
そりゃそうだわ。部下も居るんだろうけど、カっちゃん程の強さの人なんてそうそういないもんね。
「それじゃ、私達は…」
「クワイト達も一緒に訓練すれば良いよ。敵じゃないんだし」
「いや、元々敵のはずだったんだが」
「それは嘘だったんでしょ。敵じゃないのが分かったんなら良いじゃない」
皆も一蓮托生だよ。(暗黒微笑)
初評価も頂いて頑張ろうと思いつつも、風邪をひいたり中々良いネタが思い浮かばなかったりしてて書き上げるのが遅くなってしまってます。
皆さん、風邪はホント気をつけましょう。




