赤ずきんちゃん
話しの展開が見えなくなったので、短編に逃げます(笑)
赤ずきん:琉峡
オオカミ:憂麻
お母さん:至軟
おばあちゃん:領可
猟師A:麻矢
猟師B:類香
これは赤ずきんちゃんを元にしたララによる妄想作品です。原作の世界観を大事にする方は戻るボタンを推進します。それでもおっけの方のみどうぞ→→→→
「りゅー……いや、赤ずきんちゃん、領がさぁ、オレがいじめすぎたせいで腰砕けになっちゃってな?見舞いに行ってきてくれないか」
「至軟にぃ……最早赤ずきんちゃんどこにもないよ?」
顎に指を添えて首を傾げている至軟、もといお母さんに赤ずきんちゃんは正当な突っ込みをしました。流石です。
「ほら、とりあえずアップルパイ持って行ってこい。憂麻には気をつけろよ。あいつ最近お前に会えなくてたまってるみたいだから、本物のオオカミよりよっぽど危険だぞ」
「だから……オオカミさんはオオカミさん。憂麻って言いません」
ぷんぷんしながらお母さんを人差し指でびしっとさして再び注意。物分かりの悪いお母さんは本当に大変です。
何はともあれ、赤ずきんちゃんはおばあちゃんのお家へと向かう事にしました。
草ぼうぼうの道を歩きながら、赤ずきんちゃんは少し憂鬱な気分でした。先日会った時に愛しの恋人オオカミさんとケンカ別れのようになってしまったのです。
胸が苦しくて苦しくて仕方ありません。会いたいけど気まずい。仲直りしてオオカミさんとぐちゃぐちゃになりたいけれど、どうしたら良いのか分からない。
赤ずきんちゃんはとうとう涙を流してしまいました。
「ゆ…うま……会いたい、会いたいよぉっ!!……ふ、ぇえ…」
あまりの悲しさに大きな雫が頬を流れ落ちた時、赤ずきんちゃんを呼ぶ声が。
気のせいなのか……、オオカミさんの声だったような気が……。
「りぃ……りぃっ!!」
気のせいではありません、オオカミさんです。ケンカ別れのようになってしまったはずのオオカミさんが赤ずきんちゃんを呼んでいるのです。
赤ずきんちゃんは嬉しくてぱっと表情を明るくしました。
「ゆーまっ!!」
一方、家にいるはずのお母さんは……
ブーーーーン!!!!
なんと、バイクをかっ飛ばしていました。最早可愛らしいお母さん崩壊です。
キャラ崩壊にも程がある。赤ずきんちゃんの作者さん、ごめんなさい。
しかも家にいる時していた赤と白のギンガムチェックのエプロンはどこへやら。全く見あたりません。それ所か何故かオオカミコスプレ。自分を何だと思っているのでしょう。
「よし、この調子でいけば琉峡よりも先に着けるか」
この調子も何もバイクの方が速いに決まっています。このお母さん、ばかだねぇ。
「ばか言うな」
はいすみません。
どうやらお母さんは赤ずきんちゃんよりも早く着いて、おばあちゃんといちゃこらうふふするつもりのようです。赤ずきんちゃんをお見舞いに出したのは道端で会うであろうオオカミさんと仲直りしてもらうため。
何て優しいんでしょう。
「よっしゃ着いた」
お母さんはにやっと笑って、おばあちゃん家のドアをノックしました。
「おばあちゃん、赤ずきんよー」「はいどうぞ」
がちゃ。
「領、会いたかったぞー!!」
そう叫ぶとおばあちゃんに抱きつきました。
「のわー?!オオカミ、憂麻っ?!!……じゃなくて、至軟?」
「はい正解。ほら、このほうが雰囲気出るだろ」
びっくりしているりょ、おばあちゃん。開いた口が塞がらないとはまさにこの事です。
少し経って落ち着いてきた頃、質問をしました。
「お前お母さんの役だったんじゃねぇの?」
「だったぞ。けどな、このノリでいくとだな、領が憂麻に喰われちまうわけだ。オレとしてはそれはたえられない。だからオレがオオカミ二号になって二号が襲いに来た」
「めちゃめちゃだーー!!」
そんなおばあちゃんの叫び声は、オオカミ二号以外に届く事はありませんでした。
水鉄砲、もとい拳銃の銃口をおばあちゃん家に向けている人影が二つ。猟師Aと猟師Bです。オオカミさんを退治しようと構えていたのですが……
「あれ……憂麻じゃなくて至軟だったよな?」
「うん……。至軟だった。て事は、お母さんがオオカミさんコスプレをしてるって事だから、退治しなくて良いん、だよね?」
少し戸惑いながら猟師Bは言います。猟師Aはというと、すっかり疲れきった顔をしていました。
「…………退治する気にもならない」
はぁ、とため息を小さくつきます。相当疲れているのでしょう。
「鬼畜だったら遠慮なく退治したんだがな……いや、あの節操なしにも遠慮は必要無いか」
かなり酷い事を何でもないように言います。これは日頃面倒くさい目にあっている証拠なのだと分かります。ご苦労な事です。
「とりあえず退治は止めだ。それにこんな水鉄砲で鬼畜と節操なしが倒せるとは思えないしな」
「……確かに」
琉峡、いや赤ずきんちゃん程では無いにしても、二人の武術もたいしたものです。返り討ちに合うのは目に見えています。
「やーめた」
「お、オレも……」
―続く。