至福の時間 至軟と領可☆
「あ、至軟。帰ってたのか」
シャワーに立っていた時間約10分。どうやらその間に帰っていたらしい。
「お帰り」
「ただいま」
そして今は着替え中のようだ。九月といえば完全に夏。そういう領可も私服に着替えていた。
しかもシャツ一枚。いるのは同居人だからといってリラックスし過ぎのようにも見える。
本人曰く、『暑いから仕方ない』のだそうだ。それにこれが夏の領可流部屋着スタイル。誰になんと言われようと変えるつもりは無いらしい…。
「あれ?至軟もシャワー浴びてたのか」
「あぁ。一階は領が使ってたみたいだったから、オレはこの階のを」
「そっか」
実はこの家、階ごとにシャワーとトイレがある。
全部で四階。一階はリビングやら何やら。
二階が憂麻と琉峡の階。三階が至軟と領可の階。四階が麻矢と類香の階。
中高生が暮らすには広過ぎなのだが、それは麗奈姉のおかげ…じゃなくてせいらしい。
けれど中高生といえば発情期…もとい、元気が有り余っている。
喘ぎ声をあげてもばれない…では無く騒いでも迷惑にならない広さ。そういう意味では麗奈姉には感謝している。
「それにしても…至軟って脚長げーな」
「ん?そうか?」
「うん。羨ましい」
そして思わずじーっと見てしまう。
「領」
「え?あ、いや、ごめん!ぁ、えっと」
「あははっ。慌て過ぎだ。こっち来て」
「へ…何?…うわっ」
気まずそうにしながらそろそろと近づくと、ぎゅっと抱きしめられた。
「あのさぁ。その格好やめてくんない?」
「え、あっ、ごめっ…」
「何で謝るんだよ。欲情しちゃうからやめろって言ってるんだけど」
……?
しばらく理解出来ず。少し思考停止……。
やっと理解すると、ぼっと一気に赤くなった。
「自覚してないなら言うけど。領の生足って凄い欲情する。キレイって知らないのか?ならどんだけオレが欲情してるのか、体に叩き込めば分かる?なら今から凄い恥ずかしい事してやろうか。心配しなくてもすぐに気持ちくなれるからさ。大丈夫だか」
「わぁぁぁぁぁあ!!ストップストップ!!」
「え?あぁ。具体的にな。だからお前のそれに直接ローションかけて、オレの掌で思いっきり可愛がってやるから。後は、お前の」
「わひゃぁぁあ!!待て、待て待て!それ以上言うな!!」
「黙って欲しい?」
「うん…」
「なら、今言った事させてくれる?そうありがとう」
「まだ何も言ってないから!!!」
「させてくれないの?」
「…………………………………………オネガイシマス」
「最初からそう言えって」
楽しそうに笑いながら黒髪のくせっ毛を手でわしゃわしゃやってくる。
そうしてくれる事が何だか嬉しかった。
「それなら」
「ベットへゴーとか言うんだろ」
「大正解」
そして仕方ないなぁ、と凄く嬉しそうに言った領可は、至軟にベットへ押し倒された。