麻矢×類香★
「あ、麻矢。ただいま」
「おかえり。今日はさんざんだったな」
「全くだよ…」
はぁ…とまたしてもため息が零れる。本日3回目…。オレ、相当疲れてるのかも。
「類…」
「ん?」
「おいで…。疲れてるんだろ?癒してやる」
どうやら麻矢には全てお見通しらしい。ここは好意に甘えておこうと思った。
麻矢の傍へ近寄ると、ぐいっと抱き寄せられる。
イスに座っている麻矢の足の上に抱っこされる状態で、少し恥ずかしいけど…、でも本当にこうしているだけで癒されてしまう。
皆には内緒だけれど、この二人はとっくにできていた。
頭を麻矢の胸元に寄りかからせて、ぎゅっと抱きしめる。そうすると、抱き返してくれた。
それが凄く嬉しくて、もっともっとぎゅっと抱きしめると、顎を持ち上げられて今度は唇にキスが返ってくる。頭を押さえ込まれて深いキスとなってしまった。唇の端から唾液が滴るのにも構わず、口の中に舌を押し込んでくる。
「ぁ、ふっ…」
少しばかり息が荒くなってしまって、キスだけでこんなにも感じているんだと自覚させられてしまって。けれどそれは麻矢も同じなんだと気付いた時は、何だかきゅっと胸が締め付けられるみたいになって…しばらくすると、やっと解放してくれた。
「感じてる…」
「…え?」
「オレも…類も、同じくらい」
「っ、うん…!」
少し口下手な所がある麻矢に言われると、余計嬉しかった。
「もっとして」
ふわっと微笑みながら、嬉しさをかみしめて麻矢にお願いをする。
「分かった」
どこまでも純粋な二人は、いつも初恋みたいで。
不器用でも愛し合えているんだと分かった。




