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まさか聖女だとは思ってなかったので雑貨屋を始めました  作者: しまりす
第一章 雑貨屋準備編
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畑での収穫

紅茶の買い付けが終わった後は、セルゲイの手伝いに回ることにした。


森の一部に畑を保有していて、

野菜や果物を育てているらしい。

自分たちが自給自足をするための分と、

余った野菜は近くの町に卸したり、

果物は都心で売りつけたりしているそうだ。

今日も必要な分だけ野菜と果物を収穫に行く。


「この森って、お2人以外は暮らしていないんですか?」

「いや。森自体はかなり広いからな。儂らだけでもない。だが少ないし、それぞれ距離もあいているから、接触することはそう無いな」

「そうなんですね。都市部やその他の村に暮らすのが主流なんでしょうか?」

「そうだな。貴族や比較的裕福な者、それから手売りでの販売を生業にしている奴なんかも都市部が多い。農業や工業、いわゆる生産側の仕事をしている人間が都市部以外の村に住居と仕事場を構えることが多いかな」

「なるほど」

「これはアウスト国の場合で、カイウス帝国やルーン王国の場合、都市部も複数あったりしてもっと栄えている街も多い」

「そうなんですか。アウスト国は都市部がひとつにまとまっているんですね」

「アウスト国は自然と緑が豊かな国だ。人と自然の共生が当たり前の、のんびりした国でな」

「カイウス帝国やルーン王国は、どちらかというと人の手で開拓が進んでいるということなんですね?」

「まぁそんなところだな」


そんな話をしながら森の奥に進んでいく。

途中、葵が現れた場所もあった。

美しい木々が生い茂り、小さな泉のある場所だった。

遠目に見ると小さな光がキラキラと飛び散り、

恐らく精霊たちがたくさんいるのだと今なら分かる。


「異界の住人はたまに落ちてくる…んでしたよね」

「そう言われている。こちらの世界とあちらの世界が繋がって道ができ、異界から人が落ちてくると」

「世界が繋がる……こちらから、私の方の世界に人が落ちてくることもあるんでしょうかね?」

「どうだろうな。アオイの世界に伝承は無いのか?」

「うーん…無いですね。神隠し……ええと、私の世界から人が消えた場合についての話はありますが、逆は聞いたことがありません」


セルゲイが実際に異界の住人が現れるところを見たのは

今回が初めてである。

伝承の通り、アオイは光に包まれて上から落ちてきた。

細かいところを訂正するならば、落ちてきたというよりはその場に現れた。


一瞬ではあるが、アオイの足元には白い円陣があったように見えた。

それも相当細かく高度な魔術陣が。

剣の腕を叩き上げてきたセルゲイは魔法には詳しくないが、

そこらの魔導師が書けるような代物ではないということくらいは分かる。


世界が繋がる瞬間というのはあんな感じなのか?

少し違和感を覚えながらも、

かといってそれ以上追及できるような情報もなく、

セルゲイは首を傾げるだけであった。


「着いたぞ」

「わぁ!思ったより広いですね」


結構な量の野菜と、少し離れたところに果物の木が植えられている。

葵にとっても見覚えのある形状の野菜が多く並んでいた。

異なる世界だが、食習慣は割と近い。

食にうるさい日本人の葵にとっては幸いであった。


「何を収穫していけば良いですか?」

「うちで使うものはマリーから指定されてる。これを摘んでくれ」


セルゲイに紙を手渡される。

そういえば、葵はこちらの世界に来た時から、

セルゲイと普通に会話ができた。

今手渡されたメモも普通に読める。

どう考えても日本語が公用語ではないだろう。

ではなぜ会話が成立し、文字も読めるのか?


この場合、読めるというより、理解できると言った方が正しいか。


メモの一文字一文字に焦点を当ててみると

すっかり読めなくなるのだ。

内容を理解しようと文全体に焦点を当てると

何と書いてあるのか、内容や意味がすっと頭に入ってくる。


これは、異なる世界から落ちてきても

何とか生きていけるように、という謎のサービスだろうか。

考えても理屈は分からないので、そういうものなのだと納得することにする。


マリーに指定されていたものは、

サラダに使う葉物の野菜や夕食に使う茄子に似た野菜だった。

セルゲイに借りた鋏と籠を使って黙々と収穫していく。

大人になって土いじりや家庭菜園なんかをやると案外ハマるものだ。


「セルゲイさん。果物って、何がありますか?」


野菜の収穫を終えた葵は、早速提案を始めるのだった。


人に呼ばれた時の名前と、葵以外の視点で見ている時は

葵の名前をカタカナ表記にしています。

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