商品開発と販促の構想
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マリーが紅茶を、セルゲイがワインを
卸しているという話は聞いていた。
こちらの世界にも葵の世界と同様
ひと通りの種類が揃っていることが分かった反面、
オーソドックスな飲み方ばかりでアレンジはまだまだ未開拓。
葵はここに手を付けられないかと考えたのである。
葵は自分の世界のショッピングモールを思い出す。
マルシェや物産展に並ぶ食材や加工品の数々。
そして、自分が一番目を引かれた雑貨店。
ポーチや文房具、バッグ、時計や一部洋服から
バスグッズ、ちょっとこだわったお菓子まで
20代から30代にかけての女性をメインターゲットに
あらゆる雑貨が並んでいたお店。
自分が良いと思ったものを並べたお店が
作れたならどんなに楽しいだろう。
「アオイの世界では果物で飲み物を加工するのか」
「そうなんです。それで、どんな果物があるのか把握したくて」
セルゲイの畑にはオレンジが植えられていた。
ワインがあるのだからブドウのようなものはあるだろう。
その他にリンゴやイチゴと思われる果物があることも分かった。
日本では酒に何かを漬け込むこと自体が一般人には禁じられていた。
酒類製造免許や酒税の納税が必要だし、
特例で認められているのは飲食業を営む場所のみだ。
果物を入れる場合は飲む直前に入れて、そのまま飲むくらいだった。
こちらの世界では販売や加工などもひとつの資格となっているらしく、
そもそも漬け込むことそのものに前例が無いこともあるだろうが
ひとまず法律的にはセーフのようだ。
「少し甘めになるので、どちらかというと女性に人気なんです」
「儂が酒を卸してるのは主に騎士団だからなぁ。女性、か……」
「こちらの世界では女性がお酒を飲む風習は無いんですか?」
「無いわけではないな。それこそ王族や貴族は一般的に飲んでいるだろう」
「なるほど」
日本では一般の飲食店でも飲めるが、こちらの世界では
まだそこまでの段階まではいっていないのかもしれない。
作るからにはどこにどうやって販売するかも考えなくてはならない。
「映え……はないんですよね…」
「ばえ?」
「いえ、こっちの話です。…その、何か情報を共有するツールとか、トレンド…流行りを仕入れたりとか?そういうのって、何かないんですかね?」
若い女性のファッションなんかはいつの時代もトレンドがある。
葵の世界でも、昔は貴族や有名な人間が使ったものを見て
同じものを買ったり真似したりという流れだったはずだ。
今やインターネットの普及によりSNSで火がつくと一瞬で広まる。
こちらの世界では、そういうツールは無いのだろうか。
もしあるなら、ちょっと良い写真を撮って
上手いこと宣伝すれば火がつきそうなものだ。
「王都では貴族同士で情報を仕入れたりすることが多いだろうな」
王族や貴族に出入りしている職人や商会から購入したものが
いわゆるお茶会で広まったりするらしい。
つまり、この世界はクチコミがメインなのだ。
知人のクチコミは有力だ。
SNSのようにいざ投稿して一気に広まるということはないが、
クチコミもじわじわと複数へ広がっていき、
火がつけばかなりの勢いになる。
最初はこちらの世界のインフルエンサー的な人に
売り込むのが良いだろうか?
だが、何の実績もなくセルゲイたちの人脈に頼って
いきなりこの方法をとるのは気がひける。
そして、本当に火がついた後、それ以外の商品を持っていれば
その後の展開や戦略も広げられるかもしれない。
広報はコンセプトや企業の姿勢が肝要である。
葵は、はやる心をおさえつつ、
まずは最終目標とそこに至るまでのマイルストーンを
しっかり立てようと意気込み、セルゲイと帰宅するのであった。
しっかり計画立てる派ヒロイン。
商品開発パートと販促活動パートが続きます。
恋愛パートまで先が長いですがお付き合いくださいm(_ _)m




