○月×日 仕事
今どき、わざわざ職場に行かなければ仕事ができないのは不合理ではないだろうか。
休み明けの出勤は5割増しで面倒くさい。トラブルがなかったので良しとする。
ニンゲンの様子を見ると、出かける前に置いていた餌と水はきれいになくなっていた。思ったより食べる量が多いようだ。
トレイ(ニンゲンは排泄施設をそう呼ぶのだと検索で見つけた)の中の汚れたティッシュを取り除いてやると、ニンゲンが珍しくティッシュの山から顔を出した。よく見ると面白い顔をしている。
新しく折りたたんだティッシュを補充して屋根で塞ぎ、トレイを元通りにしてやった。
トレイ以外の場所は汚れていなかった。仕事帰りなので、手間が掛からないのは正直助かる。
新しい餌と水を入れてやったときに、ニンゲンがテッシュの山から出てきて、私を見上げて何か訴えてきた。ニンゲンが自分から姿を見せるのは初めてだった。
「何?」と聞いても、キーキー言うだけでよく分からない。当たり前だが。
だが、ここですごいことが起こった。
このニンゲンはやはり賢い。前足で自分が潜っていたティッシュを示し、2本の前足の先端を広げて、それを交互に入れ替えるという身振りをし、またティッシュを示す。そしてまた私を見上げ、首を傾げた。
試しに新しいティッシュを追加してやると、ニンゲンは前足を伸ばして受け取った。顔つきと声が少し変わって、喜んでいることがわかった。ニンゲンは新しいティッシュを欲しがっていたのだ。
私はPCも介さずにニンゲンと意思疎通ができた。
しかも、古い方のティッシュを取り除こうとしたときには、ニンゲンは私の手に前足で触ってやめさせようとした。古い方はそのままにしろという意思表示だ。
全く違う生き物なのに、私にはニンゲンの希望することがわかった。ニンゲンも満足そうな様子に見えた。
たかだかティッシュのやりとりでしかなかったが、私はニンゲンの要望を理解し、かなえてやった。
これは新鮮な感覚だ。
ニンゲンは最初に見たときよりきれいになっていた。自分でちゃんと身づくろいをしたのだろう。健康状態も良好のようだ。
夕食はミッシンルを食べた。新商品だが、歯ごたえが悪い。
ニンゲンはケージの中でゴソゴソ動いていた。覗きに行くと隠れるので、PCに動きを録画してもらうことにする。
※注
1 トレイ:詳細不明。文脈からニョーゴに似たものと推測される。
2 ミッシンル:炭酸ナトリウム化合シリカ食品。製法は別途記載する。
読んでいただきありがとうございます。
本当に。ものすごく。




