○月□日 休日
連休。部屋でのんびり過ごす。引きこもりサイコー。
ニンゲンはテッシュにもぐりこんで顔を出さないが、餌と水はすぐになくなる。足りないのだろうか。4テーランに一度は餌をやっている。体の割に大食いだ。
ケージの隅にティッシュの一部が切り離されて置かれていた。
湿っているので取り除くと、中に排泄物が付着していた。排泄場所を決めて、ティッシュの中に隠していたらしい。そういう生態があるのだろう。なかなか合理的だ。
掃除して、新しいティッシュを追加で入れてやった。
しばらく見ているとティッシュの下から顔を出したが、私に気づくとすぐに引っ込んだ。怖がっているようだ。
暇つぶしにニンゲンの生態を検索してみた。
それなりの知性があることは知っていたが、割と面白い。
昔はいろいろな模様のついた人工皮毛をまとっていたようだ。種によって体色も違っていて、私が買ったのは白っぽい方だ。貴重な色だが、最近の業者はこっちを増やしているらしい。
体色を変えずに人工皮毛で色を変えるのは不合理だが興味深い。
ニンゲンが動き出したことをPCが教えてくれた。
驚かさないようにそっとニンゲンの様子を覗いてみると、ケージの隅で古い方のティッシュを折りたたみ、四角いカップ状に成形していた。
カップ状にしたティッシュの壁は一部分だけが低くなっている。その壁の上に、切り取ったティッシュを被せて蓋をした。
ニンゲンの小さな体ではティッシュを折るのも大仕事だろう。
何の目的があってそんなものを作るのか全く分からなかったのだが、出来上がったものの中にニンゲンが入ってしばらくすると、やっと意味が分かった。
カップ状のティッシュが作られた場所は、朝に掃除してやった排泄場と同じ場所だった。ニンゲンはニョーゴを作ったのだ!
壁と蓋は、私から姿を隠すためだろう。ニンゲンは、排泄時に隠れる性質があるのだ。これは検索情報にも載っていなかった。
新発見だ!
それに、ただの壁と屋根とはいえ自分でニョーゴを作るなんて、このニンゲンはかなり知能が高い個体のようだ。すごい。
興奮して見ていると、ティッシュのニョーゴから出てきたニンゲンが私に気づいて、キーッと鳴いた。そして、またティッシュの山の中に隠れてしまった。
面白い習性だ。
ティッシュの排泄施設は、持ち上げてよく見ると三部構造になっていた。蓋部分、壁部分、底部分の三つだ。壁の一部が低くなっているのは、そこが出入り口になるからだ。
底部分には別に切り取って小さく折られたテッシュが数枚重なっていた。そこに排泄して、ケージの床を汚さないようにしているらしい。よく考えられている。
汚れたティッシュを取り除いて、同じように折りたたんだティッシュを代わりに入れてやった。
夜はクリュムルを食べた。
ニンゲンにも少し取り分けて与えてみたが、全く食べなかった。やはりニンゲン用の餌でないと駄目なようだ。
※注
1 テーラン:時間の単位。テムラとほぼ同じ。
2 ニョーゴ:クイシュナー初期文明に作られていたキルル型排泄施設。この時代には必要性が消失しており、衛星居住区からの出土もない。
3 クリュムル:シーエンダ産ダイアトマイト加工食。4-2居住区ではよく食されていたらしい。
読んでいただきありがとうございます。
ニョーゴという単語を思い付いたことにやたらウケました。
自分だけで。




