どう足掻いても墓穴である
「いいんですか?女の子にあんなコトやこんなコトをしてもらう一生に一度歩かないかのチャンスですよ?」
マジで何言ってんだ。誘ってんのか
「いやだから、いいから」
俺は少しムカついたような声で言い返した
ピロン
スマホの通知が鳴った。
『ごめーん、帰りお米買い忘れたから買ってきてくれる?』
お母さんからだ。お米、めんどくさいな…おそうだ
「お願いしたいこと、できたわ」
俺は虹咲さん、ひなたさんと一緒にお米屋に行った
「本当にこんなんでいいの?」
お米を重そうに持ちながらひなたさんが訊ねる
「別に他に頼みたいこともないから」
俺は苦笑いした
「ひなたさん、大丈夫?」
虹咲さんが心配そうに問いかける
「し、心配ご無用!ええっと…」
「あ、えっと。春瑠。虹咲春瑠」
「じゃあはっちゃん先輩って呼んでもいいですか!?」
ひなたさんが目をキラキラさせる
「女の子っぽいから嫌」
虹咲さんがプイッとしながら言った。そうだ、女の子な扱いされるの嫌なんだった
「じゃ、じゃあ虹咲先輩で」
困り顔で右手人差し指をピンと伸ばしながら言う
「それならいいけど」
「じゃあよろしくお願いしますね。虹咲先輩」
「へへ、先輩。かっこいい響き」
にちゃりと笑う虹咲さん。ちょっと怖いぞその笑い方
「ところで、虹咲先輩と優先輩はどういうご関係で?」
「どういうって、どう言う?」
俺は問い返す
「例えば幼なじみで仲がいいとか…それとも恋人…とか」
「…!ち、違う!そんな関係じゃない!!」
顔を真っ赤にした虹咲さんがあわあわと両手を振りながら否定する。その否定の仕方は誤解を招くぞ
「そうなんですか?優先輩」
ひなたさんがキョトンとして俺の方を向く
「ああそうだ。ただ俺の家に居候しているだけだ」
俺は冷静に答えた
「そうですか〜ただ居候させてるだk…先輩?今なんて言いました?」
「あっ…」
ひなたさんから目の光が消えて全てを察した。まずい、これは墓穴を掘ってしまった
「恋人とか幼馴染とか、そういう深い関係でもないのに普通居候させますか??」
詰められる。やばい。どうしよう
「た、確かにうっかり虹咲さんの裸を見てしまったりしたこともあったりしたけど…別にやましいこともしてないし…」
「…」
やめろ、そんな怖い顔をしながら俺を無言で見つめないでくれ。虹咲さんに弁護してもら…あ、顔から湯気が上がってる。これはもはや八方塞がりだ。俺たちは何も言わず、気まずい空気の中ただ家の方角へと歩み続けた




