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私、元はあったんです
用を足し終えて、言われた通りトイレ前に行くと例の女の子がいたのだが
「えっと...」
その子は、朝の始業式にて表彰されていた例のボーイッシュちゃんだった
「どうすれば黙ってくれますか?」
顔を真っ赤にしながら、上目遣いで俺に訊ねる。今朝見た強気な少女はどこかへ行ってしまったようだ
「いや、どうすればも何も…」
俺は困った表情で目をそらす
「体ですか!?身を委ねれば満足ですか!?」
話が飛躍しすぎだ。そんな必要ないぞ
「一回落ち着け」
俺はその子の肩に手を置く
「そ、そうですね。優しくお願いしま…」
「いやだからそういう意味じゃないから!」
俺はツッコミを入れるような食い気味な口調でそう返す
「違うんですか?」
涙目になりながら床に向けていた視線を俺の目に向ける
「ああ、違う」
「そうですか…なんかすみません」
左足で小さく円を描きモジモジしながらぺこりとお辞儀される。別に謝る理由もないと思うんだが
「いやまあ…ところで、なんで男子トイレに?」
俺がそう言うとビクッとした。すると小さな声で呟く
「私、少し前までついてたんです」




