表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/29

第一次ロヴァノリヤ革命の夜明け Ⅶ

「逃げろ!!」

「援軍はまだなのか!?」


ドゴン、バゴンと無情な砲撃が花開き、建物は崩れ、天からは瓦礫の雨が降る。瓦礫の雨は激雨で、弾丸で、敵の攻撃から逃げる民間人に容赦無く、降り注ぐ。頭を壊し、脚痛めた怪我人の跡始末、子供を傷つけ、民間人は悲鳴や断末魔の大波と成る。


そんな悲劇の中に、響くのは、感情を持たない冷酷な機関銃の群れ。慌てふため逃げる無防備な民間人に向け、放つ。子供も大人も老人も赤子も、等しく殺される。助けの声も救いの手も無い。残るのは、運悪く死んだ骸のみ。


此処は、ペラル。朱軍の拠点だが、本拠である、旧帝都よりも、遠く孤立した朱軍の拠点で、周辺は混乱した軍閥や民族の群れに、敵である、王党派の残党と干渉する泰西軍。そして、今、干渉泰西軍の大軍が此処、ペラルの地に侵入してきた。


隣町のウラテリンブルクは、泰西軍と他の派閥の戦闘。近くの朱軍拠点まで、時間が掛かる。援軍の派遣を承諾したが、一向に来ない。もう全滅したのか?こんな時、魔法と言う物が使えれば...泰西軍の兵士は、奇怪な攻撃を使って来る。手から炎を出したり、滅茶苦茶だ。

「我々に勝ち目は有るのだろうか...」

「...広大で激しいウラルの雪、冬将軍が舞い降りてくれれば、勝算はある。我々は慣れた、冬将軍の加護を奴ら、邪悪な泰西の連中には、凍死の道しかない筈だ」

「もし、耐えたらどうするんだ!?」

「その時は、”その時だ”」


亜人も人間も銃握りては、双方躊躇なく引き金を引く。朱軍の司令部からの伝達は不定期で、物資は鹵獲で補っている。我々の祖国はどうなるんだ。

「...!?敵兵だ!!」

「銃を構えろ!!」

「撃て!!」


また、激しい銃撃戦。嬉しみも悲しみも欠如した冷酷の戦場。愉快な民謡の様に、銃が奏でる殺しの行進曲。叫びは、全て、悲哀。此処百年は戦争の見通しなのか?大祖国は不滅なのか?辛うじて読める字を読んでも、載るのは端的な言葉のプロパガンダの新聞。周りは文盲だからだ。明日に希望は在るのか?勝ちはいつなのか?

「発射用意!!......発射!!」


鉛玉の砲撃音、太鼓の一種だ。銃声は弦楽器に笛の様だ。何もかも、音楽が聞こえる。敵味方の声が、彩りを感じる。何だか、楽しくなって来た。

かつては、笑みで溢れた家宅も即時の塹壕と要塞の一部に成り、不端麗な廃墟と言う死を迎える。故郷ペラルはこの”聖戦”で生き抜けれるのか?我々は、此処で屍に成ってしまうのか...死んでも勝てぬ祖国の戦争に成ってしまうのか...

「俺たちは、このまま、死んでしまうのかな」


そんな不吉な想像してしまう。俺達は、幸せの暮らしがしたいのに、出て来るのは不幸の連続。そして、今日も禽獣(冷酷な闘争)唸る(続く)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ミュハの作った料理、《《意外》》と美味しい」

「美味しぃ~《《意外と》》」

「お前ら、一言余計だ。美味しいだけにしろ」

「だって、イメージ湧くか?こんな肉食獣の狼が器用に料理する何て、想像できない」

「お前も...って、二人とも草食か...《《可哀そうに》》」

「何だよ、可哀そうって!!」

「馬も《《肉食》》!!」

「そんな訳有るかい、お前らは木の実か草しか喰わないだろうが」

「そう言うって、ミュハさんも意外と草食系狼では?」

「喰ってやろうか」

「やめろ、幾つかの意味に分れる」

「食物連鎖だからセーフ」

「馬喰う狼は居ない(此処では)」

「そんな事より、早く肉喰いましょう」

「之で私達、草食系も肉食系の一員だな」

「其れは無い」


そんな愉快な会話と同時に、迷いが生まれる。こんな事している場合なのか...今、絶賛、国内が混乱している。其れに、さっきだって、戦闘が始まっていた。之からが重要な歩みだ。


だが、今はこの大雪が止む迄、待機だな。其れに、此処から何処に行こうか...内戦って事は、何処にも安全地帯は無い訳だ。逆手に取れば、旨く命を保つ方法(先制殺人・賄賂)が解禁された訳だ。この世に生き残る手段は何だ?傍観者?其れはな、出来る限り、他者を気に居掛けない事だ。非日常の時、皆、自分を優先する。死にたくないだとか、被害に遭いたくないとか、其れで、自分を守るため、焦る。


其れが好機。餓狼の如く、心身に貪れ。攻め、煽てろ。安心させて相手を傀儡マリオネット化させるんだ。失敗すれば切り捨てればいいだけの話だ。ただ、傀儡マリオネットは、大量に持っておくと、良いぞ。囮でも臓器売買の糧に成る。


疑似的な群狼が出来る。屍でも骸でも、此の大きな煙の手に収まるなら、糸の操り人形と同等だ。剣でも斧でも古い火縄銃でも産業大革命黎明期の装飾巨砲ツァーリ・プーシュカでも燻り殺した資本家の財産でも武器として使える。


此の殺伐とした世の中で金は重要。今の収入源は強盗殺人で得た資本家・銀行員系の資金に裏のルートの臓器売買による金。どう思う?傍観者?之が空想ファンタジーの主人公かって?こんな裏社会感が常識の盃から零れまくっている、私を?


だから言っただろう?此の物語は貴様らの世界と似てる部分が有るって。全てが新しくて、神秘にロマンを感じるなんて何時から妄想してた?文化、風習、外観、世界観、国家、何が貴様らの世界と違う?名前の文化か?食文化か?種族か?まぁいい。今は、此の混沌で正義と悪が複雑怪奇と化した此の、多民族国家の弾薬庫、ロヴァノリヤで生きる術(生活)を見せようか。

「...これから、どうするんですか...?」

「......如何するんだ?」

「...これから、先、戦争に巻き込まれる可能性が高い、周辺国へ亡命する?其れともこの群雄割拠のロヴァノリヤで生き残るため、戦う?...」

「ミュハ、私が言った事覚えてる?”もし、革命などが起きたら...亡命する国を決めてるんだ”って」

「...あぁ...だが、東方の国家だろう?混沌とした国内を縦断する必要があるぞ...其れこそ、命が危ない」

「...あのぉ...その東方の国って言うのは何ですか?」

「イデナの母国が東方の一国なんだよ」

「あぁ...なるほど...其れなら、他国通って、その東方の一国へ行くのはどうでしょう...?」

「...第三国経由か...だが、入国を許可してくれるだろうか...今、私達は言わば、難民と同じだ...」

「難民、正規の入国では、受け入れが難しいかもしれないな...なら...」

「不法入国って事ですか...?」

「其れしかないな...」

「ですが、何処の国に行くのですか?」

「...此処から南、同じ騎兵民族コサックの文化圏のヴルジアはどうだ?一先ずの安心は確保できそうだが...」

「あそこら辺は...一応、馬人も居るし...良さそうですね...」

「だが、其処からどうやって、東方へ行くんだ?」

「其れはまだ、決まってない、でも、其処で情報を集めるつもりだ」

「...まぁ、私は良いよ...革命は良いけど、結局は自分が生きない限り、意味は為さないけど、今のロヴァノリヤはうんざりしてるんだ、だから付いていくぞ」

「私も、行きます、ロヴァノリヤの騎兵民族コサックが殺される中で、こんな国に居れないです...だから行きます」

「...そうか...じゃあ、目指すはヴルジア、生きて目指すぞ」

「...大丈夫?其れ、フラグになるタイプの奴じゃ...」

「ユジノー...気にするな...」

「ㇵィ...」

「早速、行きたい処だが...ユジノー...足の調子はどうだ?」

「かなり治って来てますし、普通に歩けますよ」

「なら良かった...じゃあ、行くとするか...」

「もう...行くのか...?」

「そりゃあ、何時、敵に見つかるか解らないだろ?早く行動した方が良いだろう?」「...まぁそうだな...」

「じゃあ、行きますよ!!」

「はいはい...」


こうして、革命や蜂起や戦闘で荒れるロヴァノリヤを脱すため、隣国にして、同じ騎兵民族コサック文化圏の国、ヴルジアへ行く事に成った。亡命生活の幕開けである。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ