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第一次ロヴァノリヤ革命の夜明け Ⅴ

「チェラーグラード?そんな名前は認めん!!此処は革命指導者達の名を取って、レナーグラードにしろ!!」

「今は、そんな事考えている場合ではない!!今や、ロヴァノリヤは脆く散った砂塵と同じ状態だ。曖昧で十人十色の思想家が各地で台頭し、自称国家を建てている。其れに、我ら朱軍の軍勢の大半は都市型革命軍。この大熊と称される広大なロヴァノリヤの地の僅かしか掌握出来ていない!!此処は機動力のある朱軍の騎馬隊に、泰西の機械機動社が製造した、大型車を兵員輸送車として、大勢かつ即効性の有る農村への進行をするべき」

「そんな事言って、完璧に掌握できるのかね?我らの軍勢は、亜人も人間も大半異常が無学文盲で戦闘には長けていない。旧帝国軍人も僅かで教訓もまだまだできていない。我らの様に学校や大学、軍人学校に通っていた者しか攻撃性は無い。今の朱軍は、弱い。之では、忌まわしき帝国の残党や其れを支援し、我らのロヴァノリヤを干渉する穢れた泰西の軍勢に負け、亦、憂鬱で毎日、人民が搾取され、苦しむ日々が戻ってしまう」

「しかし、時間は無い。此処で論争するのは、敵の思う壺だ。今は掌握が必要。此処、旧帝都から東部へ滅ぶべき人民の敵を殺すのみだ」

「我々の最優先課題は、ロヴァノリヤの掌握。開放の革命は此処で終わらせない。亜人も人間も女も男も等しく戦い、平等を掴み取るのだ。暴力革命!!暴力革命!!」

「...王亡き賊軍、穢れた泰西の反動は野草に沈み、我ら平等で自由たるロヴァノリヤの人民はこの地ロヴァノリヤの陽に当たる存在なのだ」

「王を亡き者にし、宮殿を攻め落とし、我らはロヴァノリヤに平等をもたらす存在。反動達の波受けず、広大で壮大なロヴァノリヤを統べるため、戦う。そして、闘争は続くのだ」

「今すぐ、馬人の手綱に跨ぎ、野砲に機関銃、民衆に武器を持たせ、行進するぞ」

「そう言えば、朱軍の軍服が出来たそうだな。之で我々は改革の烏合の衆では無くなったな。朱い星を刻んだ軍帽、この朱星は平等を印す、我らの象徴にしてこの革命の証に相応しいな」

「で、都市名の改変に戻ろうか、やっぱり、レナ―グラードが嗜好」

「今、切りのいい所まで行ったに雰囲気壊しやがって...」


此処は朱軍の本拠、冬宮、ロヴァノリヤ=ツィーリ宮。直訳はロヴァノリヤ皇帝の宮殿。文盲の人民達に紹介する時に使うから、需要?は有る。無駄に長い宮殿に其れに属する青緑と雪の混在色の園。園の中心の噴水、噴水の頂は鮮やかな朱旗が揺れ、宮殿の一部の窓からも朱旗が垂れている。


宮殿近くの街には、新しく新調した朱軍の軍服を身に纏う人間に亜人。馬人に獣人・獣半人、巨人にエルフ、ドワーフ達が民衆の声援を受けながら、行進して居る。勿論、行進歌を流しながら、男女ともに凛々しい顔立ちで、平等の為の覚悟を皆々に出している。観戦する民衆は、拍手喝采に歓声を上げ、朱旗を大きく振る。


朱い星が刻まれたウシャンカ、山岳帽。陽に当たり、絢爛な光りを放つ。其れは救いの光である。過去に人間も亜人達も手を指し合い、手を掛け合い、互いを牽制した。しかし、棲む所違えば、文化も風習も違う。人間も亜人も手を差し伸べる関係でも有れば、外観を穢し合い、戦う仲の國も在る。ロヴァノリヤは民族の大監獄で在り、地方や州で文化も人種も風習も外観も違う。かつて、”差別の華弁”とまで称されたウラテリンブルクでは、人間と亜人は主と奴隷の関係が強く、亜人には劣悪過酷な生活水準で、餓死に病死が蔓延っていた。その文化は周りの都市とは全くの別物で在り、孤立していた。


ウラテリンブルクの周辺都市、ペラルにウラーニタギル、チョルコスクは人間と亜人が手に取り合う関係で在った。現在のウラテリンブルクはかなり、差別や奴隷も無くなり、比較的安定した都市にはなったものの、其れでも心と体に傷や後遺症を残した亜人達が彷徨っている。


其れに、安定した都市と言えど、全国的に民衆は貧しい生活を送らされている。人間・亜人が手を取り合うのも、穢し合い、争う合うと言う出来事の源で在る。皆々、誇り高き魅力がある。人生を彩る価値有る力がある。自らを友を救える精神力と金も絢爛豪華な宝石でも取引できない程の命と言う格を持つ生命体が有る。しかし、そんな壮大な力も貧しさ一つで砕けてしまう。


幸福は何時しか、金で買う嗜好品に成り下がり、夢は病魔に仆れた者の様に腐り、希望は、朝には消える白く浅い霧と成り、我らに残ったのは、病に犯され、労働に従わされ、死に着れない、自分と言う物しか残らなかった。


だが、夜明けは起きた。光が満ちた。本来、暗雲の黒色に塗りつぶされる希望の白色が勝った。今の我らには、この革命しか希望は無い。勝てば天国、負ければ地獄。我らはもう搾取の足枷を外して、自由を手に入れるため、多量の激雨の血を流すだろう。しかし、悔いはない。もし我らが負け、死んでも我らが自由を取る為、命賭けた証は残る。誇り高き歴史の一頁に成るのだろう。

「我らは名は無い、我らの闘い、我らの功績、我らの存在は不滅である」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「よし、何とか此処までは来たぞ」

「...ミュハ、此処から何処へ行くんだ?私はそのクラスノコプ?何て場所、何処にあるか、知らない解らない」

「...今は、この草原、丘陵、山岳に渡って、安全地帯へ行くしかない、私だって此処等は全く土地勘無いし、状況が訳わからない」

「...(そうだよね...)と..とにかく、何処か安全な所で休みたい...」

「私だってそうだ。でも今は苦労するしか無い、此処を乗り越えれば休めるはず」

「...頑張るしかないね...」

「...」


明らかに私達は疲弊している。今迄のデモ、ストに叛乱では無い、世紀の大出来事だ。私達は所詮、歴史の裏舞台にしか舞えれない、ボロ人形だ。

憂鬱か何かに近しい感情が心に広がっている。流石に私も眠たいし、腹が減っている。まるで、酒で流し消した稚児時代の記憶を連想させて来る。そう思う、謎にグツグツと怒りが沸騰して来る。

「...イデナ」

「?如何した、ミュハ?」

「早く、歩くぞ。こんな塵みたいな処抜けて、さっさと休みたい、イライラする」

「...」


時刻は不明。雪が蕭々と降り始めて来た。ユジノーを負ぶりながらの移動は疲れる。ユジノーも私と比べたら筋肉質だし、其れなりに、重みが有る。其れに今日は朝食食べてないし、腹が減っている。何か肉が食べたい、魔獣でも人間でもいいし、生でもいい、私は餓狼状態だ。


孤狼で餓狼な人狼だ。野性的本能と人間的知能が、余計に私を苛立たせる。野性の狩ると知能が狩りからの料理で頭の中には想像上の飯が映し出されている。之が私の腹を空かして来る。何とも罪深い物なんだ。

(はぁ...雪も降ってきて、本格的に移動が疲れて来た)


雪は蕭々ながらも、降雪するぐらいの寒さと地面に積もる雪が歩行に障害を課す。人を負ぶって、脚が上がりくいのに、雪が邪魔で前進が遅くなってる。其れに今の私は血塗りの白襯衣シャツしか着てない、ちゃんとした防寒具を纏っていないのだ。直ぐには凍死しないが、其れには凍えで身体の感覚が遮断してしまうかもしれない。...まぁ、一応、予備の防寒具は煙にして保管している。だが、ユジノーを負ぶってる状態では確実にユジノーに煙が諸に当たる可能性が高いから、一旦休憩か何かしないといけないが、辺りは未だ原野、さっき迄居た所みたいに何かしらの樹か建物が有ればいいが、目の前は何も無い。絶望的だ。


未知の土地を眠るユジノー負ぶりながら、イデナに一部の荷物持たせながら、広い迷路の様な草原を歩いている。辺り一面、何もない真っ平の原野。馬人も人間も誰一人として、目の前の風景には居ない。

(...このまま、彷徨うのか...?)


時間は刻々と沈む、疲弊が日射の様に体に当たり、紫煙の様な白い吐息を吐き、一歩一歩に力を入れる。目的地は未だ無い、樹々も廃屋も無い、この原野。

(本当にいつまで歩かされるのだろう...)


地面を見ながら、そんな事、思っていた矢先、イデナが何か見つけたかの様に言う。

「あれ、視て」


地面から前を見る。其処には、大きな大樹が聳え立っていた。どうやら、一時的な目的地に着いた様だ。

「よし、あそこまで急いでいくぞ」


雪を脚で薙ぎ払いながら、大きな一歩を踏み出す。イデナも続けて、城壁を粉砕する大砲の如く、雪を前に蹴りながら進む。


そうして、何とか大樹まで着けたのであった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・



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