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剛腕JK  作者: ロキ
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硬式女子野球部同好会 部活ミーティング  西国分寺 昴(すばる)視点


「もう、こんな話しいいじゃないですか! ミーティングしましょうよ!」


「そうだな。

では、気を取り直して、第一回硬式女子野球部同好会、部活ミーティングを始める」


先生がそう言うと、レビンさんと、トレノさんが、わーと言いながら、

パチパチ拍手をしていた。

つられて小金井さんと、ヤムさんも拍手してる。


「今日、部活の練習を見学した訳だが……」


「今まで、どこにいたんだ?

わたしは職業柄、色々な選手を見てきたが、君たちの事は知らなかったぞ。

ストラックアウトにしても、マシンバッティングにしても、超高校級だ。

スカウトが来ててもおかしくない。

今まで、野球はやってなかったのか?」


小金井さんと、お嫁さん達は、顔を見合わせて、言うか言うまいか? 

悩んでいる感じだ。

先生もそう感じたのか、話しかけている。


「何か、隠し事があるのか?

先生で良ければ、話してくれないか」


先生の顔は真剣だ。


小金井さんが、みんなを見回して、うなづき合っている。

何かを言いそうだ。


「あたし達、実は……」


「男だったりするのか!?」


小金井さんが言う前に、先生がそんな事を言った!


ずこっ

先生以外全員がずっこけた。


「先生! そんな訳ないでしょ!

こんな可愛い子が男の子なんて、そんなファンタジー、あるわけ……」


「いや、あるのかな?」


190キロの球を投げる女子高生……

それだけで十分ファンタジーだ。

わたしは、小金井さんをみて、ワンチャンあるかもなんて……思ってしまって

言葉があいまいに……


「にしこくさん! そこはちゃんと否定して!」


お嫁さん達も、

さうすちゃん、男の子だったの!?

とか言い出すし。


「なっ! みんなまで!

一緒にお風呂入ったでしょ!」


「なんだ、お前達、一緒にお風呂入ってるのか?」


先生がそんな事を聞くもんだから、わたしも見ちゃったよ。

小金井さんとお嫁さん達を。


「修学旅行でですよ!

いつもは入ってない……です」


顔を赤くしてそんな事を言うもんだから、


「ほう、たまに入ってると」


こんなツッコミが入る。わたしも思ったよ!

これは入ってるなと。


「入ってないです! それより、あたしは女の子です!

そうだよね?」


あまりにも必死だったから、お嫁さん達も、からかうのをやめたみたいだ。


「うん、さうすちゃんは女の子だよ。

わたし、全部見たもん」

「うん、わたしも見た」

「わたしもわたしも」


とか、言ってるのを聞いて、わたしは心の中で鼻血を吹いた。


「ふむ。そうか……

そうなると、筋肉の異常発達……

いや、そんな訳ないな。

だが、一応確認しとこう!

すば、西国分寺さん、小金井の腕の筋肉を触ってみてくれ」


「また、すばるちゃんって言おうとしたよね」

「うん、うん」


小金井さん達は、また、小声でそんな事を言ってる。

これ毎回言うのか。

先生もそろそろ間違えるな!

わたしは、そんな事を思いながら、先生に話しかけた。


「それなら、わたしじゃなくて、お嫁……トレノさん達にやってもらっても

いいのでは?」


危ない危ない、あやうく、お嫁さん達って言いそうになった。


「それでもいいんだが、身内の証言はなぁ……」


先生はそんな事を言いだしたけど、刑事ドラマじゃないんだから!

身内の証言は証拠にならないとか、そんな事を言いたいのかもしれないけど

面倒くさいので、わたしがやる事にした。


「わかりました。わたしがやります」


「小金井さん、腕をまくってください」

「うん、いいけど」


小金井さんが腕をまくってくれたので、触ろうとしたら、

ヤムさんが、横から出てきて、小金井さんの二の腕をつついてた。


「ぷにぷに」

さうすちゃんの二の腕ぷにぷになんだよー


とか言ってる。


「ヤムちゃん、ダメだよ、にしこくさんが触るのが先!」


はぁ、なんだろこれ。

わたしもイチャコラしてる気になってきた。

いかんいかん!

わたしは頭を振って、小金井さんの二の腕を触った。


「ぷにぷに」


確かに! すんごいぷにぷに感! マシュマロ……いや、スライム?

いやあんなにベタベタしてない。

なんだろうと思いながら触り続けていたら


「もう、いいだろう」


先生が止めに入った。


「で、どうだ?」


「はい、ぷにぷにでした」


むふー

なんというか満足満足って感じ。


「ふむ。

かちは無かった?」


「はい、ぷにかちじゃなかったです」


「ふむふむ。

ぷにぷにか。

となると、筋肉の異常発達でもないと。

うーん……

190キロの球を投げる女子高生か……」


「は?」


今度は、小金井さんがびっくりした顔をしている。


「190キロ?

まさか、あたしじゃないですよね?」


「何を言っている、さっき投げてたじゃないか」

「はははは、先生、何を言ってるんですか、そんな速い球投げれる訳ないじゃないですか!

人類最速が170キロですよ、20キロも超えちゃってますよ!」


「そうだな。人類最速、更新だな。

すば、西国分寺さん、さっきの動画記録を見せてやってくれ」


「また、すばるちゃんって言おうとしたよね」

「うん、うん」


小金井さん達は、また、小声でそんな事を言ってる。

わたしは、気にしないふりをしながら、スマホをみんなに見せた。


190キロ! の表示がでかでかと写ってる。


「おかしいな、確か女子プロ野球選手の最高速が、130キロくらいだから

あたしは、120キロくらいしか出してないのに」


「それ、間違ってない?」


小金井さんが否定してきた。

わたしは2回目の記録を表示し、みんなに見せた。


189キロ!


「2回撮って同じ様な数字が出てる。それに、実際見た感じ

120キロなんてもんじゃなかったぞ、あれは。

120キロのゾーンで打った事あるだろ?

あれが、120キロ。小金井が投げたのは、190キロだ」


「えー!? そんなわけ……ないです……」


小金井さんは自信が無くなってきたのか、何かを思い出している様だ。


そんな小金井さんを見ながら、わたしは気になったので計算してみた。


120キロが120マイルだったら、何キロかなって。


193キロ!


あー、たぶんこれだ。3キロくらい誤差範囲よね。


「小金井さん、単位、間違えてない?

120キロじゃなくて、120マイルとか?」


「え?」


「120マイルだと、193キロなんだけど」


小金井さんの顔から汗が吹き出してきた!


「そそそそそ、そんな……」


「アプリにもよるんですけど、デフォルトが、マイルになってたりするんですよ。

キロに直さないと」


小金井さんは、自分の携帯を手に取り、調べ始めた。


「ほんとだ! マイルになってる!」


レビンさん、トレノさん、ヤムさんの3人は、あちゃーって感じのゼスチャーをしている。


「120キロの球なら、普通の女子高生だと思ったのに。

ほんとに、もう! マイルなぁ」


凍りついた!

お嫁さん達は、口を開けたまま、固まっている。


「もう、みんな笑ってよ! スマイル、スマイル」


更に、凍りついた!

くっ、追い打ちをかけてくるとは、さすが……


そんな時に、先生が席を立ち、自販機に向かい、コインを入れると


「みんなも、マイルドコーヒーでいいか?」


なんて、おっしゃいました。

マイル落ち、続けるんだ!


トレノさんが、わたし、マイルドブレンドで! と言うと

レビンさんは、マイルドカフェオレをお願いします。なんて言い、

ヤムさんは、わたしはー、マイルドいちごオレで! と。

そして、順番的にわたしの番。

わたしは、マイルドココアで。と言っときました。


そして、小金井さんの番です。


「あたしは、味ぽんマイルドで!」


「そんなのあるかい!」


わたしだけが、ノリツッコミしてました。


どういうわけか、わたしが笑われてしまいました。


そんな事があり、少し飲み物を飲んで、落ち着いた後、ミーティングが

再開されたのです。


お読み頂き有難うございます!

よろしければ、ブックマークと評価の方も宜しくお願いいたします。

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