デザインバトル
「雷様!
おへそ! おへそと同じに! じゃなかった、おへそと逆に出来ませんか?」
「なぬ?」
「あたしのおへそって、あたし以外にはある様に見えてるんですよね?
触ってもある様に感じてる。
それの逆にしてもらえません?
あたしにしか見えないし触れないってしとけば、全部解決するんですけど」
「ふむ。なるほど。
となると、角もここに置いておく事になるが構わんのかの?」
「何か問題があるの?」
「まぁ、力の制限とかが出るな」
「力が弱くなるとかそんな感じ?」
「そうじゃな」
「うん、そのくらい大丈夫! あたし以外に見えないし触れない方がいい!」
こうしてようやく、角のデザインが決まったのだった。
ちなみに、伸縮自在で透明な角をおでこの髪の毛の生え際に
出来るだけ小さく生やすってのも決定だ。
念には念を入れてね。
それに、透明な角ってカッコイイよね!
「あとは、肌の色。
これは当然、あたしと同じ色。緑じゃないからね!」
「うむ」
「髪の毛もあたしと同じ。黒ね。緑じゃないから!」
角と違ってどんどん決まっていく。
「羽衣って何?」
「これを纏うと、空を飛べる様になる」
「へー凄いね!」
「まぁ、半分人間のお前には飛べんけどな」
「えー!」
そうなのか……残念。
うーん、見た目がショールっぽい。でも細いからマフラー?
身体の周りをふわふわ浮いてて、透き通っていて綺麗なんだけど、
小学生のあたしには似合わない気がする。
高校生になれば似合うのかな?
うーん……
包帯にして身体に巻き付けるか。
怪我してないのに包帯なんか巻いてると、変だよね。
マフラーにして首に巻く?
冬はいいけど、夏はおかしいし……
ハチマキ? 運動会でもないのに、もっと変。
あーこれも、あたし以外には見えないし触れないってするしか無いか……
デザインはいっそこのままでもいいかな。
あたしの周りをふわふわ浮いてる感じだし。
「雷様!」
「なんじゃ、決まったのか?」
「はい!
デザインはこのままでいいんですけど、これも、角と同じで
あたし以外には見えないし触れない様にお願いしたいです!」
「これもか?」
ふむ。
まぁ、お前の周りをふわふわ浮いてる物があったら、人間には
おかしく見えるか……
「いいじゃろう。羽衣もこっちに置いて置くことにしよう。
ただし、お前が飛べる様になっても、羽衣がこっちにあるかぎり
飛べんがの」
「え? どういう事ですか?」
「羽衣は実体化しないと使えんのじゃ」
「実体化……」
「雷人にならんと、実体化は出来んし、そもそも雷人に
ならないと飛べんのだから、それまではこっちに置いておいても
問題ないといえば無い」
「はぁ。
よくわからないけど、問題がないなら、いいのかな?
じゃーそれでお願いします!」
「うむ」
あとは、太鼓か。
この絵を見ると、でんでん太鼓よね。
これはカッコ悪いなぁ。なんとかしないと!
「雷様、太鼓なんですけど……」
と言った所で、かぶり気味に話を遮られた。
「太鼓はそれ一択じゃぞ。
半分人間のお前が選べるのはそれだけじゃ」
「えー!
カッコ悪いんだけど!」
「文句を言っても、こればっかりはダメじゃ」
「じゃあせめて、大きさだけでも小さくして!
髪飾りにするから!」
「ふむ。
それくらいならいいか」
さらさらっと、スケッチブックにでんでん太鼓の髪留めを描きあげる
雷様。
「こんな感じか?」
「うん! ありがとう」
意外と可愛い。これなら付けてられる。
さてと、ここからが本番!
へそ出しとはいえ、肌の露出が多過ぎる!
ほぼ水着じゃない。プールならともかく、普通に歩ける格好にしないと
変な人って思われちゃう。
男の雷神さんのデザインも見せてもらったけど、上半身ハダカで、
腰巻きひとつって、どんだけワイルドなの!
このイメージが、水着にさせてるんだわ。
絶対に変えさせないと!
雷様との壮絶な戦いが始まった。
ミニスカは外せないと、のたまう雷様に、じゃあスパッツを履かせて!
と言ったら、ぐぬぬぬと言いながら、スパッツかぁーと唸っていたけど
黒ストでどうかと逆に提案された。
黒ストってのは、黒いストッキングね。
ミニスカートで、パンツが見えちゃうのが嫌だったから、スパッツって
言ったんだけど、黒いストッキング履いてるならいいかと、妥協した。
雷様が目をつぶって、拳を握ってるのが気になったけど
まぁいいか。
上は、ブラジャー一枚だったのを、和服っぽい上着を着る事に
成功したよ。
へそ出しだけどね。
履物は草履っぽく見える靴って感じ。
うーん、なんかあたしがいるだけで、祭りがあるのか? って思われそう。
最終的にはそんな感じに仕上がった。
「ふぅ。
やっと、デザインが決まったのぉ」
疲れた顔をしていた雷様だったけど、
キリッとした顔をあたしに向けた。
「これからは、雷に打たれる度に、雷神養成ギブスは、
このデザインで固まっていく」
「はい!」
「お前が17才のどこかのタイミングで落ちる最後の一発。
それと共に人間としてのお前は死ぬ」
こくりとあたしは頷いた。
「ここでの事は、あちらの時間に戻ったら全て忘れてしまう。
雷神養成ギブスの事も、お前の寿命の事もな。
じゃが、ここに来た時には、あちらの時間の事も、ここでの事も
全て思い出せる。
また会う日まで、さらばじゃ」
「はい!」
「8年後、お前が雷人になれる事を待っている」
そう言うと、雷様は、手を差し出してきた。
あたしは握手をしようと手を掴んだとたん、ビリビリビリィ! と
猛烈な衝撃を受け、あたしは気を失った。
気がついたら、いつものように、ずぶ濡れのまま、突っ立っていた。
あれ? 何してたっけ?
何かしてたような気がするけど、なんだったかな?
なんて思ったけど、ずぶ濡れだったから、走って帰った。
結局、何も思い出せなかった。
12回目以降もあたしは雷に打たれた。
いつも周りには誰もいない。
人がいたら大変だよなぁとか思いながらも、ずぶ濡れになって帰る日々が続いた。
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