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21. ウミカミの愛し子



海の底に陸地の美しい花々が咲き乱れるという、何とも華やかな結姻式から一週間ほどが経った。



本日、私はシェリとユーリ、ナプティムウト、そして三従士たちと共に海人騎兵団本拠地の中にある、とある場所を訪れていた。




「リリィ、ここが海人騎兵団の共同墓地だよ。墓碑ぼひには歴代殉職者たちの名前が記されてるんだ」




ユーリがそう説明をしてくれた墓碑というものは、私たちの背丈ほどの高さで厚みが五十センチほどある、とても頑丈そうな石碑である。



等間隔に掘られた名前を順にたどっていくと、一番最後の箇所に、私たちが本日会いに来た人の名前が記されていた。




「…… "シリスハム・バクナワ" 」




元・海人騎兵団第一部隊隊長でありながらも、一時は罪人となり表舞台から離れていた彼。


だが、海魔戦での功績が大いに認められ、海人騎兵団の殉職者たちが眠るこの共同墓地に、名を連ねることになったそうだ。



とはいっても、シリスハムには遺体がない。


そこで、ナプティムウトたちは彼の遺族が住む罪人塔に赴き、遺物の一部を分けてもらったそうだ。



シリスハムの母親が手渡してくれたものは、彼の乳歯。


数百年もの間、大切に保管されていた息子との思い出の品を両親から借用するのは忍びなかったが、彼の母親が是非これを埋葬してやって欲しいとナプティムウトに申し出てくれたそうだ。



「守護者たちとの話し合いが難航してなかなか殉職者名簿にシリスハムを加えることが出来なかったのですが、五日前にようやく許可が下り、すぐに彼の名を記しました。

遺品も埋葬済みです。


……これで、ここに来ればいつでもシリスハムと語り合うことが出来ますよ」




ナプティムウトは穏やかに微笑みながら、墓碑に記されたシリスハムの名前を見つめている。


私は皆と共にその墓碑に手を合わせ、殉職者たちの魂が今後も安らかに眠れるように祈った。そして……




「……シリスハム様、お久しぶりです。今日は約束していた例のモノを持ってきちゃいました」



私はそう言って、両手に抱えていたお弁当箱をそっと、その墓碑の前に置いた。



実は先程まで、私は女神の間にこっそりとルビとパル、メノウの三人を招待していた。


彼らにはアランフォルスの本城で本当に世話になったことだし、王国に帰ることが出来たならば何か絶対にお礼をしたいと常々思っていたからだ。



王国に戻ったばかりの最初の一月は、彼らは療養のために王都郊外にある施設を出ることは叶わなかったし、その後も皆それぞれが仕事を受け持っていてなかなか日が合わず、半年後の今日になってしまったのだが。



もちろん、女神の間にはシェリとナプティムウト、ユーリの他に、侍女であるモネとルル、それにアリィもいた。


私はモネとルルに手伝ってもらいながら大量の陸地料理を作り上げ、皆に振る舞うことにしたのだ。


ちなみに、海人騎兵団の人たちに向けての帰還祝いはとうに済ませている。



「女神、これすっごく美味しい! レシピ知りたい!」


「こら! ここでは手掴みで食べるなルビ! 行儀が悪いぞ」


「……パルだってこぼしてる」


「う、うるせーぞ、メノウ!」


「パル、手掴みはダメって言いながら、あんたが手に持ってるその "テバモトの照り焼き" は何?」



「分かった。女神の料理が美味すぎるのがいけねえんだな」




結姻式ぶりに会った三人は、やはり相も変わらずの仲良しぶりある。



「あはは! みんなが美味しいって言ってくれて嬉しい。遠慮せずいっぱい食べてね」




私が皆の分のお茶を注ぎながらそう言うと、



「なあ女神。これって全部陸の料理なんだろ? どれも美味いけど、何か種類もすこぶる多くないか?


オレたちとポセイドン団長ら以外にも、誰か食いにくんの?」



と、パルが指摘した。



「あ、ううん。そうじゃないんだけど……」




私は皆にお茶を配りながら、



「手料理を振る舞う約束をしてた人がいたから。あなたたちと同じ、海魔族だった人。


……亡くなってしまった、私の友達」




少しばかり、そう弁明する。




「……そっか。残念だね」


「ついてないな。女神の手料理が食えなかったなんて」


「……お弁当箱に詰めて持っていけないの? その人のお墓は?」




俯いていたルビとパルが、メノウのその言葉を聞いてパッと顔を上げた。



「そうだ! お墓に供えてあげればいいじゃない!」


「行こう! 今すぐに行こう!」


「……ボクはまだここで食べていたい」


「言い出しっぺのお前が何言ってんだ! 行くぞ!」



と、彼らの気迫に押された私は言われるがまままに料理をお弁当箱に詰め、海人騎兵団の共同墓地へと訪れた、というわけである。




「陸の味は、シリスハム様のお口にも合いますか?」




お弁当箱を広げながらそう墓碑に問いかけると、海中にも関わらず、陸上に吹く爽やかな夏風のようなものが頬をかすめる。



「……当たり前だろう。シリスハムとて美味うまいに決まっている」



「ふふ。だといいな」




シェリの言葉に励まされ、私が石碑に刻まれた彼の名前をもう一度見やると、そこには先程までなかったキラキラと光る水泡が集まっていた。



(……シリスハム様。きっと今、お弁当を食べて下さってるんですよね。お味はいかがですか?)




心の中でシリスハムに話しかけると、その水泡たちはお弁当箱の周りでゆっくりとはじけるように舞い出した。



それは一粒が弾けるごとに、美味しい、美味しい、と彼の声と重なって、私の耳奥に優しく響いてくるように感じられたのだった。




------




シリスハムの墓地を訪れた三日後、私とシェリはギルとの会談と、月に一度の子供たちに向けた勉強会のためにグッセンスタシューン王国を訪れていた。



国王であるギルや大臣数名の相席にちょこんと座り、彼らの議論を静かに聞いた後は、ギルと共に国立図書館へと移動する。


そこで月に一度行われる10歳以下の子供たちに向けての絵本を読み聞かせ、文字の書き取り練習、簡単な計算方法を教えることが本日の私の仕事である。



「リリィさま、次はこの "シンデレラ" っていうご本読んでー!」


「リリアス兄ちゃん! オレはこっちの恐竜のやつの方がいい!」



「はーい、順番に読むね」




エマを始めとする小さい組の子供たちが私を取り囲み始めたら、読み聞かせスタートのサインだ。



「あんた、そろそろリリアス兄ちゃんって呼ぶのやめなさいよ! リリィさまは女の子なのよ!」


「リリアス兄ちゃんはリリアス兄ちゃんなんだよ! ギルの一番弟子で、世界中の海賊どもを蹴散らしてたかっけー人なんだぞ!」



という子供たちのやり取りを聞いていたギルが、膝を叩きながら爆笑している。



「……ちょっとギル。子供に変なこと吹き込まないでよ。あの子たちは純粋なんだから、あなたの嘘もすぐに信じちゃうでしょ?!」



「いんや? 俺は嘘なんてついてねぇ。

世界中から集めた俺の腹心どもを、いとも簡単に手懐てなずけたじゃねえか」



と、ニヤニヤと片側の口角を上げながら言ってくる。と、まさにその時に、




「姉御ーっ! ご無沙汰っす! お変わりないっすかー?」




息を切らしてこちらへと走ってきたロキが、私の隣に着くなり腰を落とし、片膝を着いた。


彼の背後には、しきりに左右へと振られている大型犬の尻尾のような幻覚が見えている。



「な? 俺の言った通りだろ」


「…………」




ロキが嬉しそうに見上げてくるので、私は他の子供たちにもしているように、彼の短髪の髪をよしよしと撫でた。



(あれ? ロキって確か、私と同い年だったよね?)



という疑問が一瞬頭をよぎったが、ロキだからまあいいか、という気持ちになった。



こんな人懐っこい彼ではあるが、半年前の海魔戦の際は、海上でアランフォルスの側妃や海魔族たちと交戦し、大活躍していたと後々にギルから聞かされた時は、それはそれは仰天したものだった。



「ロキも! リリィさまを困らせないでちょうだい! あなたはもう大人なんだから、あっちで本の整理を手伝ってきなさい」


「ひでーエマ! 俺も姉御ともっと戯れたいっす!」


「不可よ! リリィさまは今からお仕事なの!」 




エマにビシッと注意されて仕方なく本の整理を手伝いに行くロキと、腰に手を当てて彼の様子を見張っているエマ。



グッセンスタシューン王国における彼ら二人は今もなお、私がこの国を訪れた時は守役と侍女に徹してくれている。


今日も仕事が終わった後は、ロキが新しく出来た海鮮料理のお店に案内してくれるようだし、その帰りにグッセンスタシューン城に寄れば、エマがデザートのパンケーキを用意してくれると言っていた。



至れり尽くせりで毎回とても申し訳ない気持ちになるが、ギルがやりたいようにさせておけと言うため、今回もお言葉に甘えさせてもらおうと思う。



「あ、そうだエマ。これね、今月分の教材原本。また明日、学校で先生方に渡しておいてくれる?」


「わー! いつもありがとう、リリィさま!


リリィさまが作ってくれる教材ってその問題のポイントがびっしり書かれていて、先生たちにも友達にもすっごく評判がいいの。


あたし、将来はギルの奥さんになるからリリィさまと同じお妃様の立場になるけど、今はリリィさまの侍女ってことがすごく自慢なんだー!」




8歳児とは思えないほどのしっかり者っぷりには、いつも感嘆させられてばかり。


ギルとロキが彼女の尻に敷かれる未来は、そう遠くないのかもしれない。






仕事を終えた後、私はロキに連れられ、とあるお洒落な海鮮料理店へと足を運んでいた。


そしてエマと共に、個室へと案内されると……



「よーお、遅かったな。講義が立て込んだのか?」


「リリィ、疲れていないか? 早く座るといい」




個室に入ると中にはすでに先客がいて、こちらに向かい軽く手を振っている。



「ギルってば早い! ラドシェリムでんか、お久しぶりです!」


「旦那お久しぶりっすー! 相変わらずいい男っすねー」




シェリの素性を知っているロキとエマの前では顔を隠す必要がないためか、今日はシェリもフードを外している。


海人族のことは陸上ではまだまだ秘密事項なので、彼がこんなに堂々と姿を見せていることは滅多にない。



「数か月ぶりにカリギュラとも会ったが、随分と丸くなったものだ。


今回も俺に、熱心に奇術のことについて教えを乞うてきたぞ。そろそろあの "変面" も種を見破られてしまいそうだ」



「カリギュラさん?って、やっぱり奇術の才能があるんだね」




カリギュラとは、ギルの前にグッセンスタシューン王国を治めていた元・王族の人。


珠のような白い絹肌に白髪、真っ赤な瞳を持ち合わせた当時の面影は、今はどこにもないらしい。


本来の彼は地黒で黒髪、瞳の色もどちらかといえばギルのような、紫がかった色味を帯びているとのことだった。



「あいつを中心に、娯楽を目的とした奇術団を作ろうかと思ってんだよ。


だからラドシェリムに頼んでマーレデアム王国のものを盗ませてもらってる」


「俺が奴に教えているのは民でも知ってる簡単な奇術ばかりだがな。


褒めたくはないが、正直あの男は筋が良い」




ギルの言葉を聞いたシェリが、腕組みをしながらうなっている。




以前ギルは、グッセンスタシューン王国にはほぼ娯楽らしい娯楽事業がないと言っていた。


だが、"手品" が今後、グッセンスタシューン王国の経済再生を促すための一つになるかもしれない。



「もーっ、せっかくお仕事が終わったのに、あなたたちはまたそんな話ばっかり!


リリィさまは疲れてるんだから、美味しい海鮮料理でねぎらってあげなきゃだめでしょう!」



「……腹減ったっす……」




音声機器で受付と連絡を取ろうとしているエマと、ナイフとフォークを掴んだまま、顔をテーブルへと突っ伏しているロキ。



ギルはそんな彼らの様子に苦笑しつつ、エマの持つ音声機器を取り上げてメニューを注文し始めた。



「リリアナ、ラドシェリム。半年も経っちまったが、今日はてめえら二人の結婚祝いだ。

いっぱい飲んで食えよ。遠慮はいらねえ」



「ありがとう、ギル。ユーリたちも早くあなたと酒盛りがしたいって言ってたから、お仕事が落ち着いたらまたマーレデアム王国に来てね」



「おう。そう言えばあの海魔戦以来、あいつらとも会えてねえな。近々その約束果たしにナプティムウトの執務室まで行くっつっといてくれ。



では改めて。グッセンスタシューン王国とマーレデアム王国の変わらぬ海陸同盟に乾杯!」




ギルがそう言うと、私たちは各自 さかずきを掲げ合った。エマはもちろんジュースだが。





テティス海女神と深い関わりのある両王国。



この先の2000年間も海陸を繋ぐ架け橋となれるよう願いを込めながら、私は杯に入れられた甘いお酒を喉へと流したのだった。





------





また一月後にグッセンスタシューン王国を訪れる約束をギルたちと交わした後、シェリと私はマーレデアム王国へと帰って来た。



本日、アリィはモネとルルにお願いして、女神の間で預かってもらっている。

帰りはきっと深夜になるだろうと予測していたので。


護衛には彼女たちの恋人である、ネレオとオルフェスが当たってくれているようだ。




半年前にシェリと結姻を結んでから、私は王太子妃として王宮で生活するようになっていた。


でも、もちろんそれは住処すみかの話。



半年前と何ら変わらず、仕事の時間になると私はシェリと共にまず女神の間へと出勤し、そこで愛し子のお祈りを行う。


次に海人騎兵団の本拠地へと出向き、ひたすら書類仕事に明け暮れる、という毎日を送っている。



もちろん乳児を抱える身なので、現在仕事は今までの半分ほどに減らしてもらっている。


ネレオとマルフェスには負担をかけて申し訳ないが、海魔が消滅したことにより怪魚の討伐回数は極端に減り、またカリュブディスによる巨大渦潮が皆無となったため、遭難船や沈没船の報告書を作成することもほぼほぼなくなった。


つまり、書類仕事は以前のように忙殺されるほどではなくなったのだ。



よって、ネレオとマルフェスも比較的余裕が出来たようで、彼らも最近は目の下にクマを作らなくなった。



と、それはさておき。

本日は半年ぶりに二人きりの夜である。




「アリィがいないと何だか寂しいね。今頃はモネとルルと川の字になって寝てるのかなぁ」



「そうだな。でも、こんな夜は滅多にない。

明日は二人とも仕事が休みだし、今から少し海森にでも行ってみるか?」



「え?! こんな深夜に?」


「深夜の海森は神秘的だぞ。真暗闇の海底の中で、発光海洋生物だけが眼に映る。


上方に浮かぶ光だけを見つめていると、不思議と地上の夜空に浮かぶ星座のようにも見えてくるぞ」




シェリのその言葉がとても魅力的で、私の心は思わず好奇心でいっぱいになってしまった。



「よし、行こうよシェリ!」



「……ふ。ああ、行こう。ホメロス、悪いが進路変更だ。真っ直ぐに王宮を目指すのではなく、手前の海森で降ろしてくれ」




予想通りだと言わんばかりに肩を揺らして笑っているシェリが、彼の愛鮫にそのように指示を出した。





シェリの言う通り、深夜の海森はそれはそれは幻想的でとても美しかった。


漆黒のキャンバスに光を帯びる海洋生物たちが、自由に、そして優雅に泳ぐ様は、まるで登場人物が次々と変化していく一枚の不思議な絵画のようだった。



それは遠い宇宙にある天体のきらめきにも、流れ落ちる流星りゅうせいのようにも見える。




私たちはその場で腰を下ろし、二人並んでその "夜空" を見上げた。



「リリィと始めて出会った時も、こんな風に星のよく見える美しい夜だったな」




シェリが懐かしそうに、そう言葉にする。



「俺を見てとても驚いていた」



「そうそう。あの時の私は海人族の人に会うのが初めてで、人間以外の人がこの世界に存在していることにももちろんびっくりしたけど、その後にもっと驚くことがあって……」



「未来の夫をじじい呼ばわりするなど言語道断」


「ち、違う違う! シェリの年齢のことじゃないよ!


あの巨大チョウチンアンコウに会ったじゃない! "ヒマントロフュス・グロエンランディクス" !


もうびっくりしすぎて心臓がまろび出るかと思っちゃった」



「……そうだったな。それがリリィとの出会いだった」




シェリはとても穏やかな表情を私へと向けている。



「あの時、海上で助けてくれたのがシェリで良かったって思ってる。


マーレデアム王国で私の守人になってくれたことも、……好きになった人も、シェリで本当に良かったって」




私が少し緊張しながらそう言うと、




「いや、例え初めに会った海人族の男が俺でなくとも、守人に任命されたのが別の者であったとしても、リリィは必ず、俺のことを好きになる」



と、余裕のある笑みを浮かべながら言われてしまった。


私はクスクスと笑いながらシェリの方へと手を伸ばすと、彼もまた両腕を広げてくれる。



「本当にそう。例えあなたが海人族じゃなくても、人間でも魔物でも神様でも、私はあなたを見つけて好きになった。


でも、それはシェリだって同じじゃない?」



「その通り。海神も言っていただろう? 


俺たちは出逢うべくして出逢ったのだと」




シェリの腕の中がこんなにも温かくて安心出来るものだと知ったのは、もう随分と前のことだ。


でも、この先の未来だって、何度でもそれを感じたい。確認したい。



「リリィに抱かれると安心する。ちゃんと身体がここに在って、其方が生きているのだと実感出来るから。


……俺がただ抱きしめているだけでは、もう足りない」




シェリはそう言いながらも、きつくきつく私のことを抱きしめた。



「大丈夫だよ、シェリ。私は生きてるし、この先もずっとあなたのそばにいる。


私たちが離れる時なんてもう訪れない。身体が無くなっても、心と魂があなたのもとを離れない」




私はシェリの背中を優しく撫でながらそう答えた。




「愛している、リリィ。永遠に」



「……うん、私も愛してる。私と出逢ってくれて、ありがとう」




シェリの温かい手が私の頬に添えられ、優しい口付けが降ってくる。




「 "テティスの娘にして、陸王を守護する神子。海神に庇護されしは、かの乙女。


海の民を導き、海民かいみんの王にされし女神の化身こそ、我が君、海女神の愛し子なり。



大海をすは、ウミカミの愛し子なり" 」




口付けの後、彼は私の両頬に手を添えながら、そう言葉を紡いだ。





「後に人々は其方のことをこう語るだろう。


海の女神に愛された御子は、それ以上にこの海自身を愛してくれたのだと」





夜の海空のもと、寄り添う二つの影はゆらゆらと揺れて一つの大きな影絵となる。


それが星空を描くキャンバスに溶け込んでいくと、影絵はやがて夜の海空の一部となった。




それはまるで、この大海の一部分である私たちは、もとより二人で一つの心魂であり、離れる運命など初めから持ち合わせてはいなかったのだと。




今夜の海空は、それを示しているかのように美しかった。




本日もご訪問いただきありがとうございます。

こちらで最終話となります^^

長くお付き合いいただきまして本当にありがとうございました!


明日にエピローグを公開し、それでもって『ウミカミの愛し子』を完結とさせていただきます!

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