21. 海に咲いた勿忘草
第三章 『古の海の魔物編』
"この先2000年間、カリュブディスただ一人のために、自身の生涯をかけて祝福を行い続ける"
"生命の礎となるポセイドン海男神を救えば、私の祝福など海陸国は必要としない"
呼吸が、しづらい。
身体が小刻みに震え続ける。
曾祖母が亡くなり天涯孤独となった時も、
普通のカフェウェイトレスだった私が突然女神の愛し子として海で生きることになった時も、
怪魚に遭遇した時も、
海魔に襲われた時も。
恐れを感じた時はいつもそばに、大切な人たちがいてくれた。だから乗り越えてこれたのだ。
だが、今はたったの一人きり。
なのに、ノワルがさらなる追い討ちをかけてくる。
「正妃となられるからには是非、アランフォルス様の御子をご誕生させて下さい。
閣下は、自身の神力を受け継ぐ御子がいないため、なかなか海神を引退出来ないと常々ぼやいていますので。
ああ、でも、全ての御子が海神の力を受け継いでいるとは限りませんので、それこそ "間引き" が必要となるでしょうが。
"セイレーンの女たち" ではやはり、我が主の子は孕めない。
神の子を宿すことが出来るのは、やはり女神の血を受け継ぐ貴女だけでしょうしね。
もちろん、子を成すのは祝福の "ついで" で構いませんので」
ノワルは相も変わらず嫌な笑みを浮かべ、淡々とそう言い放つ。
……さらに。
「ちなみにもうお気付きかとは思いますが、祝福の吸収は、毎日の "閨事" によって行われます。
ふふ、頑張って下さいね、リリアナ女神様」
プツン、
と、ついに私の堪忍袋の緒が切れる音がした。
……限界だ。私への脅迫も、女性を卑下する度重なる物言いも、
そして。
「絶対にお断りです。
それに、あなたは子供を何だと思ってるの?」
先程から繰り返される、"子供たち" への辛辣な言葉の数々も。
私はノワルを睨めた。ドレスを掴んだ両の手が、怒りで震えている。
「……リリアナ女神様。貴女はきっと恵まれた環境でお生まれになったのだと見受けられますが、子供は一族の塵でしかなり得ないこともあるのですよ」
ノワルの笑みがすっと消え、その青い瞳が私を捉える。
「止めよ、二人とも」
睨み合う私たちに、小さく息をついたのはカリュブディスだった。
「リリアナ。もし、毎日の情事に気分が乗らぬと言うなら方法はもう一つある。
テティスの娘である其方が正妃を名乗り、余の側に置く大義名分が出来れば、正直なところ、子は為さなくても構わぬ。
しかし、それには条件がある」
「……条件?」
「今この場で、其方が新たなる "女神の秘宝" を創り上げ、それを余へと収めるなら、閨事は強制ではない、ということよ」
……女神の秘宝を、新たに創る? 私の首にかけられた、これではなくて?
「其方が新たなる秘宝を創り上げた後は、その首に下げる "古物" をマーレデアムの国王へと返還せよ。
古物であろうが、初代愛し子であるアキレアが作った秘宝があれば、あの王国も少しは "もつ" であろう。
元の汚濁した王国へと舞い戻るやもしれぬが、100年で滅びるわけではない。
余が再び完全なる不死神となった暁に、
我が姉を殺害し、テティスの子々孫々を侮辱し得るマーレデアム王国が、数千、数万の時をかけて滅亡への道をたどっていく有様を見届けてやるとしようかの」
そう言って、カリュブディスは私を見下ろした。
「姉上とテティスは唯一無二の友同士であった。
……我々の父親同士が定めた "婚約" という縛りがなければ、余にとっても、テティスは姉同然の存在だった」
そしてほんの少し、その黒い瞳を伏せる。
彼の実姉である前カリュブディスもまた、マーレデアム王国王家を恨んだ一人。
友の一族を滅亡へと追いやる原因を作った王家を憎み、二代目愛し子を彼女の望み通り海魔へと変化させた。
それが要因となり、海底戦争へと発展してしまったほどに。
「リリアナよ、其方も覚悟を決めよ。
余と共にその2000年の生涯を歩むか、
其方が生涯をかけて行う祝福を、今のこの一時に新たなる秘宝に込め、それを余へと納めるか」
……一生分の祝福を込めた秘宝を創り上げる。それは、つまり。
「秘宝創作に伴う代償は、其方が人間としての生を終える以降の "生命時間"。
つまり、其方は海人族と同様の時を刻むことは叶わなくなり、普通の人間として生き、そして死ぬことになる」
……つまり、私は普通の人間たちと "同じ" 生命時間になるということ……?
思わず、下方へと視線を移した。
私の右手薬指には、大好きな恋人から贈られた、とても美しいリングがはめられている。
「初代愛し子・アキレアは、女神の力を直接に引き継いだ最初の娘だ。
しかし、その血が濃すぎる所以に、テティスの呪いまで色濃く受け継いでしまった。
アキレアはマーレデアム王国に来てからは、女神の間からほとんど出てはいまい。
何故ならあの娘は、"マリンクロード" の名の下、名実共に極端に下肢が弱かったからだ。海底では歩くことすらままならなかった」
カリュブディスがゆっくりとこの場を立ち上がった。彼の影が、私の右手へと差し掛かる。
「時は過ぎ去り、人間の血が多く入った愛し子である其方は、遊泳は難しくとも、マーレデアムの地を歩くことは容易いであろう?
しかし其方は、初代愛し子とは逆にその女神の血が薄まっている所以、秘宝創作には犠牲が生じる。
アキレアが簡単に創り出せた女神の秘宝は、其方では自身の命を削って創作せねばなるまい」
私は右手を胸へと当て、もう片方の腕で自分自身を抱きしめた。
(……言わないで。これ以上、聞きたくない)
しかし、カリュブディスの言葉はこの後も容赦なく、私へと振りかざされる。
「リリアナが秘宝を創りマーレデアム王国へと戻った場合、王国に在れる期間は長くとも数十年。
其方は、若く美しい伴侶を残し、一人老いて死ぬことになる」
目前の景色が、闇色に染まる。
思い描く大好きな恋人の顔に、黒いもやが纏わりつく。
……シェリと、同じ時を過ごせなくなる。
"ずっと共に在ってほしい"
その約束が、守れなくなってしまう。
「選択権は其方にある。
マーレデアム王国民の、子々孫々の未来に目を瞑り、自身も共に滅びゆく運命を選ぶのか。
それとも。
自身が犠牲となり、あの王国の子々孫々の未来を繋ぐでいくのか」
震える身体をさらにきつく、きつく抱きしめた。
もうその答えなど見えてしまっているのに、カリュブディスはさらに私へと残酷な言葉を言い放つ。
「安心するがいい。あの王国でたった一人、時の違う人生を歩むのは辛かろう?
よって、リリアナが人間としての生を終えるまでは、余が面倒を見てやろう。
贅沢をするも、美しく着飾るのも好きにするが良い。たかが数十年ほどとはいえ、ずっと辛気臭くいられては敵わんからの。
……新たなる秘宝から2000年分の祝福を得られれば、余の力は完全に戻るであろう。
リリアナの尊い命が、海人族を含む海の全生命へと受け継がれるのだ」
もう一年以上前になるが、トリンティアたちから私がこの先2000年も生き続けると聞いた時、それこそ驚きすぎて一瞬全ての記憶が飛びそうになった。
でも、そのことを受け止めた後は、生涯をマーレデアム王国で過ごしていくことに、何の疑いも違和感も持たなかった。
……しかし本当は、人間の私が2000年も生きるということ自体、自然の理から外れていたのだ。
人間としての寿命に戻ることは、陸上国で生まれ育った私には、それこそ正確な時間軸へと戻されるだけだ。
…………なのに。涙が止まらなくなっている。
「待って欲しい……!」
私たちの後方で、ナプティムウトが悲痛に満ちた声を上げた。
「確かに、我が祖先の行いは賛同できるものばかりではない。でも、そのためにリリアナ様が犠牲になるのは違う……!
カリュブディスよ、他に何か方法がないか、
どうかもう一度考えて欲しい。考えさせて欲しい……!」
苦し気に眉を寄せたナプティムウトが膝を付き、カリュブディスにそう懇願している。
いつも冷静で、穏やかで、私にとっても優しい兄のような存在のナプティムウト。
……彼にもこんな顔をさせたくはない。それに、未だ身体が辛そうだ。
皆が皆、もう限界に達しているのだ。
私は手背で涙を拭い、立ち上がった。
そして、カリュブディスに向き直った。
「創り出した秘宝をあなたにお渡しすれば、海底戦争を誘導しないと約束して下さいますか?
マーレデアム王国が滅びゆくのを見届けるのではなく、ちゃんと王国が発展していくように手助けをして下さい。
女神の秘宝に込める祝福を、十分にマーレデアム王国へと届けて下さい。
あと、もう一つ。
このお城には海人騎兵団のみなさまがいらっしゃいます。それに戦闘鮫魚たち、私の愛獣も。
彼らだけは絶対に、無事にマーレデアム王国へお帰し下さると約束して下さい」
カリュブディスの、私を見据える黒い瞳がすっと細められた。
「其方の "交渉" を受け入れよう」
「……ありがとうございます。
"譲歩" は私の生命時間でよろしいですか?」
涙はすでに、止まっていた。
「……ほんに。その肝の座った所もテティスによく似ておるの」
カリュブディスは片側の口角を上げ、私へと手を差し出した。
「リリアナ。余の手に其方の手を重ね、愛し子の祈りを三度唱えよ。
其方はそれだけで良い。後は海神である余の仕事だ」
「……分かりました」
私はテティス海女神の愛し子。
マーレデアム王国の皆を守り、この海の命を未来へと繋いでいかなければ。
グッセンスタシューンや、私の生まれ育った母国を守らなければ。
「……っリリアナ様! どうかお止め下さい!」
「……ナプティムウト様」
悲痛な面持ちでそう叫ぶナプティムウトに向けて、私は精一杯の笑顔を作る。
「大丈夫です。……元の寿命に戻るだけですから。
では、お祈りを唱えます」
私はカリュブディスの手に自身のものを重ね、彼に言われた通り、お祈りを三度唱えた。
すると次は、カリュブディスがそれに続くよう言葉を紡いでいく。
「我が大海よ。リリアナの元に、新たなる女神の秘宝を創生せよ。
材は、余の幾ばくかの神力と、テティス海女神の娘であるこの者の、愛し子として在る生命時間を使え」
浄化と祝福を行う時と同様、私の頸にある女神の紋章が光りを放つ。
しかし、一つ違ったのは、私の首にかかる女神の秘宝からは何も光を放たなかったこと。
その代わりに、カリュブディスと私の重ねられた手の内に、何かコロリとした物体が出来上がっている。
私がカリュブディスの手をそっと離すと、彼の手のひらにはキラキラと輝く水晶のようなものが乗せられていた。
「……全く。未来の夫への初めての贈り物が、"シェル" 型の玉とはな。
違う男を想って創り出したものを贈るとは、何とも残酷な新妻よ」
ドクリ、と心臓の音が鳴る。
( RAD "SHELL" IUM。
……ああ、本当だ。"シェリ" だ)
私の心に、愛おしい人の顔が浮かんだ。
「…………リリィ!!」
しかし今度は、耳奥にその人の声が響いた。
私はゆっくりと、後ろを振り返る。
「…………シェリ」
取り引きを終えた私の元に、世界で一番大好きで、今、一番会うのが辛い人が駆け付けてくれていた。
「おのれカリュブディス! 貴様、リリィに一体何を……!」
私の腫れた足首と、シリスハムの血が滲むドレスを見たシェリが、カリュブディスを厳しく非難する。
「リリアナが自身の生命時間をかけ、新たなる女神の秘宝を創った。
それを余が受け取った、というだけだが?」
「生命、時間だと……?」
「この娘は人間としての生涯を選んだ。
海人族と共には在らず、余と共に歩む決心をした、とな」
「何……? どういうことだ」
シェリが疑わし気にカリュブディスを見据える。
「……違うだろう、カリュブディス。
リリアナ様は我々海人族、海に生きる全ての生命のために、2000年もの命を君に預けたんだろう。
ご自身のことは何も願わず、ただただ、他者の幸せだけを想って……!」
ナプティムウトが、掠れた声でそのように叫んだ。
「2000年もの命を預けた……?」
「その通り。よって、リリアナの寿命は他の人間どもと同じ、あと数十年で尽きる。
浄化と祝福を行う神力も、もう持ち合わせてはおらぬ」
シェリの、金色の瞳孔が大きく開かれ、その鋭い眼光が私へと注がれる。
……怒ったのかもしれない。
それでも、私はシェリに向かい笑顔を作った。
「……ごめんなさい、シェリ。約束、守れなくなっちゃった」
約束を破ったのに、それを笑いながら伝えるなんて最低だ。
でも、貼り付けの笑顔をやめると、どうしても情けない顔を見せてしまうから。
……彼に、縋ってしまいたくなるから。
「海人族の王子よ、そう辛気臭い顔をするな。
其方がマーレデアム王国の王位継承者なのであろう?
次期国王ならば、もっと取り繕ってみせよ。その点ではリリアナの方がよほど優秀であるぞ」
カリュブディスはシェリを見やりながら、自身の手に乗る女神の秘宝を "口" に入れ、嚥下した。
「……ほう。やはりテティスの血を受け継ぐリリアナの祝福は大したものだ。
まだ秘宝を取り込んだばかりだと言うに、もう余の神力が再生し始めておる」
祝福の光と同じように、カリュブディスの身体もまた、光を帯びている。
「しかし困った。リリアナは人間 故、秘宝がないと海底では暮らせんの。
その首にかかる古物はマーレデアム王国へと返還する物だったな。
ならば、余の海神としての神力を、今から少し其方に分けてやろう。数十年の寿命を終えるまでは十分に持つ。
来い、リリアナよ」
カリュブディスはだらりと重力のかかる私の腕を引き、
「…………?!」
あろうことか、自身の唇を私のものに押し当ててきた。そして、私の首からもう一つの女神の秘宝を外した。
「なっ、何するんですか……!」
しかし。
秘宝どころではない私は、慌てて身を捩り、足をもたつかせながらも彼と少し距離を取る。
あり得ない。あり得ないにも程がある。
よりによって、シェリの目前で何を仕出かすというのだ。
「余の体液を少し、其方へ送り込んだのだ。これで秘宝がなくとも呼吸が出来る。ほら、どうだ?」
カリュブディスはニヤリと笑いながら、私へと言葉を放ってくる。
「…………貴様。それほどまでに俺に殺されたいか」
シェリの全身に、膨れ上がった血管が這う。
彼の両手拳が振動しているせいか、手に持つ長槍が小刻みに揺れている。
そして……
「……何が海神だ。死んで詫びろ」
シェリの憤りが私の耳に届いた頃には既に、彼はカリュブディスの間合いへと入っていた。
シェリが振りかざした長槍を、カリュブディスが素早くかわす。
「良い太刀筋だ。確か前王も長槍使いであったの。
……忌々しいあの男にますます似ておるわ」
カリュブディスは見下すような目をシェリへと向けた後、自身の手のひらを彼へと向け、神力を放った。
「……っぐ……!」
「どうした、次代の国王よ。余を討つのではなかったのか?」
そう言い放ったカリュブディスの手には、いつの間にか "三叉の矛" が握られていた。
「其方が喰らった余の神力は、そこにいる兄が受けたものより遥かに強力なものよ」
まるで雷に打たれたかのように、シェリはその全身に稲光を走らせていた。
彼は膝を付き、長槍を地に突き立てて身体を支えているのがやっとのようだった。
「やれやれ。ようやく獲物が創り出せるようになったわ。この愛矛を使うのも1000年ぶりよの」
カリュブディスはそう言うと、もう一度、その矛先をシェリへと向けた。
「王よ、何か言い残すことはあるか?
赦しを乞えば、数年は其方の国を助けてやらんこともないぞ」
「……ぬかせ愚神が。リリィを返せ……!」
「声を出すのもやっとであろうに、未だ減らず口が叩けるとは大した男よ」
楽し気に笑うカリュブディスを、シェリが鋭く睨め付けていた。
「この古物はマーレデアム王国へと返してやろう。リリアナにはもう必要ない」
初代愛し子が作り上げた女神の秘宝が、カリュブディスの手からシェリの目前へと落とされた。
……それを見た瞬間に、大切で幸せだった時間が、もう終わりを迎えてしまったのだと悟った。
「……シェリ。約束が守れなくなってしまって、本当にごめんなさい」
私も、覚悟を決めなければ。
愛する人がこれ以上傷つく姿を、もう見たくはない。
「……リリィ。どうして其方は、いつも一人で全てを背負おうとする。
俺たちはずっと共に在ると誓っただろう……!」
まだ、泣いては駄目だ。
「……シェリ。王家を継いで、マーレデアム王国の人たちを守ってね。
私もずっと…… 天に召される日が来るまでずっと、あなたたちの幸せを願うよ」
「やめてくれリリィ……!」
「祝福が、もう送れなくなっちゃって、身体、辛いままにさせてごめんなさい。
……シェリに、嘘をついてごめんなさい」
私はシェリから贈られた婚約指輪に、そっと唇を落とした。
そして、それを右手薬指から外し、ゆっくりと地に置く。
私は自らカリュブディスの元まで進むと、彼に差し出しされたその手に自身のものを重ねた。
「……っリリィ! 行くな……!」
シェリの辛苦な叫びが私の心に突き刺さる。
面倒見が良くて、皆に慕われていて、
槍術が卓越してて、
なのにお医者様のような治療も出来て、
お料理だって上手で、
でも絵を描くのはちょっぴり苦手で。
時々意地悪で、でも、本当はすごく優しくて。
……いつも、心配ばかりかけて。
「ではこれを以て、我が本城へと凱旋しようかの」
カリュブディスが三叉の矛を上方へ掲げると、私たちを取り囲むように巨大な渦が創り出された。
「参りましょう。アランフォルス様、並びにご正妃様」
カリュブディスはノワルの言葉に頷くと、上方へと向けていた矛の先をぐるりと回転させた。
私たちを取り囲んでいた巨大な渦は、さらに大きな渦潮となって、私たちの身体を飲み込んでいく。
「海人族の未来などに興味はないが、我が新妻が駄々をこねるのでな。
マーレデアムの地に平安あれ、とでも願っておこうかの?」
カリュブディスはそう言ってニヤリと笑うと、
「海人騎兵たち、及びあやつらの鮫獣をマーレデアム王都近隣へと飛ばしておけ」
と、その矛の先を、今度はシェリとナプティムウトに向けた。
「やめろカリュブディス……!」
シェリの言葉をかき消すように、彼とナプティムウトの身体もまた、巨大な渦の中へと包まれていく。
「リリィ! ……リィ! ……………」
シェリの声がどんどん小さくなり、やがて何も聞こえなくなった時。
私の頬に、やっと再び、大粒の涙が伝い始めた。
(……私の心にいるあなたに、この先もずっと、何度だって伝える。
シェリ、世界で一番愛してるよ)
あなたの未来が、どうか素晴らしいものになりますように。
あなたが、マーレデアム王国の人たちと共に、どうか健やかな時代を刻めますように。
ここまでお読み下さりありがとうございました!
第三章、すごくダークな所で終わっています。すみません^^;
本日20時頃にエピローグを投稿いたします。どうぞよろしくお願いいたします!




