其の六十六「心霊現象定期便」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
風間です。
今日は読者様から教えていただいた怪談を紹介します。
「心霊現象定期便」と題されたこのお話。
それは、いつも起こるものではないのですが、必ずその場所でだけ起こる現象というお話です。
私はこのお話を読む中で、おや?とどこか引っかかるものを感じ
それも含めてこのお話の紹介をしようと思いました。
それでは、どうぞ。
◇◆◇
ある街――仮にN市とします。
その街の中心から外れ、隣町に近い工業団地。
夜になれば車通りもほとんどなく、静まり返った区域。
その工業団地の外れに、ぽつんと電話ボックスが一つだけ立っているのです。
工業団地の中心からも離れ、「どうしてこんな場所に?」と首をかしげたくなるほど不自然な位置。
周囲には何もなく、街灯もまばらで、夜は真っ暗という表現以外適切な言葉がないほど。
知らなければ気付かず通り過ぎてしまうような場所。
けれど、気付いてしまうと、その“ぽつんとした存在”が妙な印象を残す。
そんな電話ボックスに、いつからか一つの噂が囁かれるようになった。
深夜、その電話ボックスで10歳ほどの女の子が電話をしている姿を見たというのです。
白いブラウス、赤いスカート、おかっぱ頭。
その姿は、誰もが知る「トイレの花子さん」のイメージそのまま。
そして彼女が現れるのは、決まって――毎月、第三月曜日の深夜。
その規則性から、この現象は「心霊現象定期便」と呼ばれているらしい。
平日の深夜に、幼い女の子がひとりで電話ボックスに入り、誰かに向かって話している。
その相手は誰なのか。そもそも、彼女は“誰”なのか――というお話。
◇◆◇
……仮にN市。
私はこの話を読んだ瞬間、背筋がゾゾゾと冷たくなりました。
なぜなら、私の頭に“ある電話ボックス”の姿が浮かんだからです。
私の出身地(ここでも仮にN市とします)にある工業団地。
そこに、どうしてこんなところに?と思うような場所に、
一つだけぽつんと立っている電話ボックスがあるのです。
それは車で通ればまず気付けないでしょう。
そこを私はたまたま歩いて通ったため、その存在に気付けました。
そして思ったのです。「どうしてこんなところに電話ボックスが?」
その違和感は、私の記憶に妙に強い印象を残しました。
もしかすると――
この電話ボックスは、以前書いた「残された公衆電話」のように
この世にいくつか存在するという
「撤去できない特別な理由のある電話ボックス」の一つなのかもしれません。
そしてもし、私の想像している場所が本当に“その電話ボックス”なのだとしたら――
このお話、真相はわかりません。
なのですが、私の知るその電話ボックスがそこに存在することだけは――
本当なんです。




