其の九十四「幽霊斡旋サービス」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
私は怖い話が好きです。怖い話を聞いて、怖い情景を想像することが好きなのです。
ですが、怖い映画や心霊スポットは大の苦手です。
“目で見るもの”の怖さが苦手なのです。
それはそれとして。
先日、取材の帰りに車を運転していると、ふとこんなお話が私の“怖い情景の想像の世界”に降りてきました。これは、完全無欠、一点の曇りもない、私の考えた「怖い? 作り話」です。
それはこんな短いお話。
◇◆◇
来てくれる幽霊をご存じですか?
それは、とある会社が運営するホームページ上に存在する「幽霊斡旋サービス」。
そのホームページの予約フォームに日時や場所などの要望を入力して送信すると、
その場所に本当に“要望どおりの幽霊”が現れるというのです。
ただし、ここで注意しなければいけないのは「要望どおりの幽霊」ということ。
強くて怖い幽霊を要望したりすれば――お分かりですね?
なので、ご利用の際は“ほどほど”に……
◇◆◇
車を停めて、思い浮かんだアイデアをノートに3行で書いているあいだ、
私は思わず吹き出しそうになっていました。
「幽霊斡旋サービス? ネット予約? 来てくれる幽霊って(笑)」
自分で考えたアイデアですが、これは怖い話ではないだろうと、
我ながら馬鹿馬鹿しくて思わず笑ってしまいました。
そのとき時計は8時59分。そこで私は、こんな想像をしました。
「4月1日9時。風間咲良の車、国道〇〇号線〇〇交差点付近の退避場に停まっている赤いスバルインプレッサWRXの運転席の窓をコンコンと2回ノックするとても可愛い猫の幽霊をお願いします」
――その1分後、何が起きたかはご想像におまかせします。
ただ、この時私の背筋がゾゾゾとしたことだけ、お伝えして――
この話、本当なんです。
にゃん♪




