其の九「あと八話」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
読者様から頂いた「百話を超える怪談本を書いたときの、百物語の法則から逃れる方法」というお便りから始まった、『これから広まるかもしれない怖い作り話:復路』。
先の百八話に「往路」とつけ、同じ数の怪談を「復路」として書くことで、百八の道を戻り零話の振り出しに戻り、百物語の法則から解放されるという読者様の短い怪談。
それをきっかけに、もう百八話の執筆を始めたわけですが、それももうあと八話を残すところまで来ました。
多分この怪談を送ってくれた読者様は、「続編を読みたい」ということを暗に伝えてくださったのだと思います。それに応える形でここまで来ました。
そして復路を書き始めてから、私の周囲に少しだけ変化があるように感じています。
何と言えばいいでしょう。身近にあるザワザワ感、ヒソヒソ感、ゾゾゾゾ感といったものが、薄くなってきているというか――
私は怖い話を聞くのが大好きなのに、怖いものを見るのが大の苦手。そして霊感はこれっぽっちも持ち合わせていない、怖い話やオカルト話を聞いて楽しむ人です。
なのでこの薄くなっている感覚も、気のせいだと思っています――
気のせいとした上で、実際、復路を書き始めた頃から少しの間、そんな感覚があったなと。そんなことをふり返り思いながら、残り八話となったこの創作怪談物語を最後まで一所懸命書いていこうと思っています。
この話、本当なんです。




