はじめに。「一通のお便りから」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
怪談百物語の法則
なぜ怪談は百話まで、という風潮が昔からあるのか。
怪談会では「百話まで」という、昔ながらの慣わしのようなものがあるのか。
百話を超えた先で、何かが起こる。
『これから広まるかもしれない怖い作り話』
私はなぜかこの物語を「全一〇八話完結」と宣言したうえで書き始め、
それを書き上げて終了しました。
なぜ一〇八という数字にしたのか、まったく意図も記憶もなく、
ただそこには一〇八という数字が、スッと差し出されたかのように収まっていたのです。
『これから広まるかもしれない怖い作り話』を一〇八話書き上げてから一か月。
怪談百物語の法則など、そこまで気にしなくても大丈夫だと思いながらも、
やはり、その言葉を知ってしまえば、まったく気にならないというわけにはいきません。
そんな時、読者様から一本のメールを頂きました。
それは読者様が考えた、怖い作り話。
とても短いものでしたが、それは私に新しいアイデアを与えてくれました。
◇◆◇
百話を超えた怪談を記した本の題名に「往路」と記し、
同じ題名で「復路」と書いた怪談を、同じ話数で新たに書く。
来た道である「往路」を、「復路」として振り出しへ戻ることで、
話数は零となり、百物語の法則から逃れられる。
――この話、本当なんです。
◇◆◇
……ある意味「続編を見たい」と言われているようにも受け取れる短い物語。
ですが、これを読んだ時、私は思わずニヤリと笑みを浮かべていました。
では、あと一〇八話、作り上げていきましょう。
嘘と真の境界線が曖昧に見える、怖い作り話を。
こうして私は再び、この創作怪談一〇八話の「復路」へと
歩みを進めることにしたのでした。
また、この物語を読んでくださる皆様と一緒に私も怪談を楽しみつつ
『背筋をゾゾゾ』とさせながら、一歩一歩進んでいこうと思います。
では、良き怪談の「復路」を――
この話、本当なんです。




