22.人生の下り坂、登り坂
少女の名前はクリスティーナ、従者の名前はセバスチャンといい、クリスティーナは商いをやっている裕福な家の娘で、12歳だが英才教育を受けるために、西側の町の寮生の学校に入り、週末だけ実家に帰っているそうだ。
セバスチャンはその商店の従業員で、今年で60歳になるそうだ。
「私も、もう人生の登り坂です」
こちらの世界では、若いときを人生の下り坂、年を取ってからを人生の登り坂というらしい。
若いときは、容易なほうに流れやすいため、坂道を転がり落ちるように底辺に墜ちやすく、年を取ると、体が不自由になり、普通のことも登り坂を行くように苦しいため、そういうということだ。
「幸い、旦那様がいい人で、私は召し使いの1人ぐらいは雇えますので、片腕がなくても、なんとか生きて行けると思います。生き残っただけでも奇跡ですので、これからは好きなことをやらせて頂きます。」
セバスチャンはそろそろ引退する年であり、今回のこともあって、クリスティーナの送り迎えは屈強な若者がやるだろうとのことだった。
・・・
「ユーコさんは、冒険者なの?」
「いまは只の村人。」
「そうなのですか? それにしても、あんなところに人が村があったなんて、知らなかったわ」
「・・・」
御台のほうでは、女の子2人が途切れ途切れに話をしていた。
ユーコも人間の女の子と話などしたことがないのだから、無理もない。
そして、夕焼け空もだんだん遠くなっていく頃に、町の門が見えて来た。




