砂漠ダンジョン
人というものはそもそも矛盾した生き物である。
例えば、
「あの人は他人の悪口ばかり言っているので、あの人のようにはなりたくない」
と言った時点で、他人の悪口を言ったことになり、自分も同種の人間になってしまう。
したがって、矛盾せずに生きるには、人を褒めて生きるしかないのである。
何も言わないというのは一見、美徳だが、腹の中が黒くてはダメなわけで、やはり褒めるのが一番だ。
それは宰相として、人と接するときの唯一の正解だとリョータは旅の途中ながら考えていた。
・・・
砂漠のダンジョンに来た目的の一つはラクダの調達だが、もう一つ気になっていたのが、砂漠のダンジョンが不毛ダンジョンと言われていることであった。
ドロップはするのだが、価値がないものばかりと、言われていたのだ。
さっさく、一層目でのドロップ品を見せて貰った。
「一見、豆のようにも見えますが、これはとても食べれたものではありません。」
「えっ、これは何て呼ばれてるの?」
「辛くて不味いので、名前もありません。強いて言えば、外れ豆ぐらいなものです。」
「じゃあ、売買もされていないの?」
「もちろん、だれも買いませんよ。」
リョータはそれが胡椒であるとは直ぐにわかったが、それこそ国家を超えた貿易が出来そうな感が働いたため、王都から、役人を読んでダンジョン自体を管理させることにした。