170.ヨッシー王の夢
手術は成功したはずだが、ヨッシー王はなかなか目を覚まさなかった。
コロネットはまだ長時間、結界を張り続けることをやったことはなかったが、なんとか、手術が終わるまで維持出来た。
そして、手術が終わった瞬間に、気を失うように倒れてしまった。
「ユミさんとコロネットが居てくれて助かった。」
ユミさんも一人で助手を務めて、動き回っていたので、疲労困憊の様子だった。
・・・・・・
ヨッシー王が目を覚ましたのは、手術から3日後だった。
「リョータ殿と皆様。私を助けて頂きありがとうございます。」
ヨッシー王は意識はなかったはずだが、
「不思議なことに君達が手術しているのを上から見ていた記憶が鮮明にあるのです。」
また、手術後も、ずっと長い夢を見ていたような感じだったらしい。
「私自身に特別な存在意義はないと感じました。そもそも、自然界になるものすべてがたまたまそこに有るだけであり、人間の勝手な解釈で、様々に意義が与えられているのだと感じました。」
ヨッシー王は今回のことで、何となく感じたことを忘れないために、話つづけた。
「ありきたりだが、死んでしまったら、何も持っていくことはできない。人間の価値は、第一に何を成したかであろうが、実現できずとも、何を想像したかを人間の価値とすることも出来ると思います。」
確かに最後の審判において、「あなたの思う素晴らしいと想像する世界を見せてください」と言われ、自分は何を見せることができるか?
自分の考える理想の世界が、皆に賞賛される世界であったとすれば、それは最高の人生を送れたということもできる。
ここまで、読んで頂きありがとうございました。