関羽の嘘
ヨッシー公国に来るときには、いつも誰かが準備してくれた宿に泊まらせてもらっていた。
今回もランケが宿を予約していると言ってくれたが、俺はできればユーコと泊まったことのある宿にジローも連れて行き、色々と経験を共有したいと思っていた。
ちなみに、ジローも出会ったころとは全く違い、肉体の強さも精神力も神様のお供に相応しいものになっていた。
・・・・・・
次の日は、新八さんに紹介してもらった人物に会いに行った。
幸いにして、その人物ジャックは城兵隊員だったので、演習場を使わせて貰った。
「よし、じゃあ、ジャック、兵を出してみてくれ。」
「対戦!」
ジャックがそういうと、5x5の25マスが現れて、歩兵と将軍を呼び出した。
(あれ? マスが少なくないか?)
と俺は思ったのだが、ジャックはずいぶんと誇らしげだったので、俺は演習場では、それぐらいしか出ないようになっているのかなと思いながらも、
「対戦!」
と、俺も始めて言ってみた。すると、なんと、90x90の8100マスが現れた。
(おいおい、また聞いてないよ。)
関羽は9x9の81マスしか出さなかったが、わざと力を抑えたに違いない。
(関羽め、最後の最後まで手の内を隠したな。)
俺がひとりでブツブツと言いながら考え事をしていると、回りはいつのまにかドン引きしていた。
「リョータ様。これでは対戦にはなりません。」
しょうがないので、俺も5x5の25マスを出して模擬戦をしてみたが、
「ま、まいりました。」
歩兵も将軍も、強さが全然異なり、戦いにはならなかった。