160/180
156.閑話休題~新八編~
気がつくと、俺は新八さんの前に座らされ、新八さんは娘さんに世話をされながら、酒を飲んでいた。
「おらー、何も悪いことなんかしちゃいないよ。時代が時代だったんだよ。」
ごたぶんに漏れず、酔っ払っての長話を聞かされることになった。
「人斬り以蔵だって、総理大臣の伊藤博文だって、同じ人殺しじゃねえか、ああ? そもそも江戸幕府を作った家康はどうなんだよ?」
「そこは流石にノーコメントで。」
「かといって美化やお涙ものにするのもいけねえ。そもそも戦争ものを除いたら、いったいどれだけの映画や文学が残るって言うんだ。ああ?」
「しかし、新撰組さんは当時から人気があったんじゃないんですか?」
「アホ。同じ日本人同士の殺し合いなんて気分がいい訳ないじゃろ。」
「今は幸せですか?」
「ああ、ひとりぼっちだから、なんとも言えねえなあ。」
そう言うと新八さんは横になってしまったので、娘さんが布団を掛けてやっていた。
俺は別室に布団を準備してもらったが、色々と考えて、なかなか寝つけなかった。