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153.望遠鏡メガネ
荒くれどもの襲撃があって、幸か不幸かサロンに行くものはほとんど居なくなった。
家族を守るため、安全な城壁内に住む気になって、家賃にお金が必要になったからだ。
・・・・・・
俺は久しぶりに農園の脱獄王のところに来た。
農園にはワイバーンが10頭もいるので、荒くれどもも、ちょっかいは出してこない。
「村の方は襲撃されたようだな。」
「ああ、関羽がたすけに来てくれて助かったよ」
「え、関羽ってあの関帝廟の関羽様の生まれ変わりのか?」
「そうらしいな。それよりも村人が少しだらけていたので、いいクスリになったろう。」
そういいながら、脱獄王には望遠鏡メガネを渡した。
色々と使い道を考えたが、脱獄王に使ってもらうのが一番いいと考えたのだ。
「どうだ。それなら、上からでも食物の育ちのいいところと、悪いところが良くわかるだろ。」
「そうだな。今は若い奴に任せちゃいるが、仕事が雑で困っていたところだ。これでフォローできるよ。」
「ああ、これからも頼むぜ。」
脱獄王は愚痴ってはいるが、若者たちの成長期は著しく、ワイバーン部隊の外での仕事も増えてきていた。