146.マルチタレント?
建築以外にも色々な肩書きを持った。
まずは、『ブライダルプランナー』だ。
俺が魔人たちに結婚式というものを広めたのだ。
最初はプランナー兼司会者みたいな感じであったが、そのうち、スピーチもやるようになった。
日本式のスピーチが受けて、徐々にスピーチ専門になった。
「人生には3つの袋が必要です。堪忍袋、知恵袋、胃袋です。」
「人生には3つの坂があります。上り坂、下り坂、そしてまさかです。」
なぜか、これらが魔人たちに受けて、次から次にスピーチを頼まれ、しかも結婚式には貴賓として出席するようになったのは訳がわからなった。
次は、『音楽家』だ。
はじめは、昔聞いていた歌が効きたくなって、音楽家を探してもらっただけだ。
まずは俺が歌ってみせるのだが、元々が音痴で、歌詞もメロディーもうる覚えだっため、全く違う曲になった。
それが却って、その音楽家のインスピレーションに響いたらしく、俺を忘れて曲作りを始めてしまった。
そして、次から次に歌って見せろといわれ、また違う曲が出来上がるというのを繰り返しているうちに、俺はいつのまにか大先生になっていたのだった。
この2つに全く意図したものではなかったが、意図して成ったものもある。
その一つが『探検家』だった。
以前、ギルバートに作って貰った地図はそれなりの精度であっが、まだまだ秘境の地が多かった。
そもそも、探検をするには時間も金も運も必要だ。
例えば、オーストラリア大陸をヨーロッパ人が発見したのは1606年のことであり、その後、1873年になってようやく、エアーズロック(ウルル)が発見された。
また、コロンブスによるアメリカ大陸は1492年だが、イエローストーンが発見されたのは、1806年、アメリカ合衆国第3代大統領トーマス・ジェファーソンの時代である。
俺も名を残したい訳ではないが、せっかく時間があるので何かを発見してみたかったのだ。