表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/180

141.ファミット王子

すでに仕事に就いている人に、「どんな職業に就きたいか」と尋ねれば、医者や弁護士、先生など、立派な職業を並べるだろう。


一方、既に仕事に就いている人に「今の職業に就いていなかったら、どんな仕事をしていたと思いますか」と尋ねれば、「特に・・」と言った答えしか返ってこないだろう。


ここで、医者、弁護士、先生と答えられる人はそうはいない。


そう答えられる人は、自分の才能をほんとうに活かして働いている人であろう。


・・・・・・


魔人に囲まれてしまった俺は、特に抵抗することもなく、魔人達の後をついて行った。


(一度、魔人とはとことん付き合って見る必要がある。)


まだ何ものでもない俺にとっては、魔人を知る絶好のチャンスであり、これを逃す手はなかった。


連れて行かれたのは、第一王子ファミットの前だった。


現状、この城に王は存在せず、ファミットが実質的な王子とのことだった。


「祖父である前王は、人間どもに滅ぼされ、父はそれを知って激しい怒りのもと憤死してしまった。」


ファミット王子からは壮絶な過去を聞かされたが、俺は全く違うことを考えていた。


(憤死か・・。やはりピンと来ないな。)


俺も一時期は小説家になりたいと思っていたが、どうしても「憤死」や「血の涙」などの感情がストレートに感じられず、


(これでは小説家になる資格がない。)


と、諦めてしまった過去を思い出していたのだったのだ。


すると、ユーコが横から俺をつんつんしてきたかと思うと、ファミット王子から叱責するような声が聞こえてきた。


「おい!聞いているのか!」


「あー、はい。」


「それとも、何か言いたいがあるのか?」


「いえいえ、突然のことで、心の準備が出来ていないだけだ。」


俺がそう答えると、


「どちらにしても、今は忙しい。こいつらを幽閉しておけ」


そう言って、ファミット王子は部屋を出て行ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ