137.優劣
その後も、一週間置きぐらいに、魔獣であるコボルトのスタンピードと通常の獣である野ウサギやイノシシのスタンピードが交互にあった。
魔獣のコボルトの場合は、死ぬと姿は亡くなり、剣と『魔石の欠片』を残して行った。
野ウサギやイノシシのスタンピードの場合は、コボルトの残した剣を城壁から投げて殺害した。
こうして、剣と『魔石の欠片』と食肉(野ウサギ、イノシシの肉)がどんどん貯まって行った。
食肉は俺のリュックしまって、レジスタンス軍には『魔石の欠片』を配った。
『魔石の欠片』を俺の所に持ってくれば、食肉と交換出来るということだ。
また、ゴブ達がこちらの世界に来るときに野菜の種を持って来ていたので、栽培した野菜も採れはじめ、それらも『魔石の欠片』と交換可能とした。
こうして、こちらの世界でも、経済が回りはじめた。
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人間達の生活の報告を受けたザイード王子は、だんだんとリョータ達に恐れを抱くようになった。
「やはり、人間は侮れなかったか。」
魔人たちはスタンピードに対しては、魔法で焼き払うなどの対応をしていたので、得るものはほとんどなかった。
「それに比べると、人間は経済を構築してしまった。これは、人間が優れていると同時に魔人が劣っているということか?」
ザイード王子の頭は、これまでにない考えで混乱していた。